駒落ち 香落ち 上手△8二玉△4一金型 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

分かっていたことではあるけれど、
香落ちに関する記事は相当マニアというか、
一般受けしないなぁ、と書いていて思う(笑)

二枚落ちや大駒落ちならもう少し需要あるんだろうけど、
香落ちはねぇ・・・指す場所無いもんね。

でも・・・だからこそ・・・書く価値があるというか、
ネット上で香落ちに対して大幅に記事を割く変わり種は、
私くらいのものだろうという、変人っぷりへの挑戦ですよね(笑)

・・・今、無性に佐藤先生の香落ち必勝法 が欲しいんだけど、
amazonで最安値19,938円!?高過ぎて目玉が飛び出ます。

持ってる人、いる??

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初手から
△3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲2六歩 △3二飛 ▲2五歩
△3三角 ▲1六歩 △4二銀 ▲1五歩 △6二玉 ▲4八銀
△7二銀 ▲6八玉 △7一玉 ▲7八玉 △3五歩 ▲5八金右
△8二玉
(下図)


上手△8二玉△4一金型、という分類名が、
果たして的確かどうか・・・というところから分からないのだが、
とりあえず、上図が一つの基本形ではあるようだ。

上図から下手は、▲1四歩△同 歩▲同 香と仕掛ける(下図)。


上図で△1三歩と打つ手には、
▲同香成△同 桂▲1八飛△1二飛▲1四飛
と進めるのが香落ちの基本手順(下図)


途中▲1八飛に対し、△2五桂と逃げる手は、
▲1三飛成 △3六歩 ▲同 歩 △4五歩 ▲2三龍 △8八角成
▲同 銀 △3六飛 ▲2五龍 △3八飛成 ▲3九歩 △1八龍
▲2三角
と進めて下手が良い・・・というのが定説である。
(が、最近になって佐藤先生が新手を出す。後で書くね)

上図は下手がみすみす香損しているようだが、
▲1四飛に換えて▲1四歩としても、
△2五桂▲1三歩成△1七歩で上手く行かない。
▲1四飛は角桂の死角に入り、上手の悪形を咎める手段なのだ。

上図で△1一香と打てば▲1七桂がピッタリ。
下手は腰掛銀から▲4五歩と仕掛ける手が楽しみだ。

上図からの一例は
△4三銀 ▲4六歩 △3二金 ▲1七桂 △5四銀 ▲4七銀
△6五銀 ▲5六銀 △7六銀 ▲8六歩 △8七香 ▲7七歩
△8八香成 ▲同 銀
(下図)

のような進行が理想で、▲2一銀を狙って優勢である。
途中▲8六歩が手筋の一着で、下手はこの手を知らないとうまくいかない。

また、専守防衛策に徹した増田-高野戦 もあるが、
上手が優位を得るのは難しいようである。

ただし、△4三銀▲4六歩の時に△5一角と引く変化はあって、
以下▲1七桂△5二金左の局面でどう上手陣を攻略するかは難しい。以下
▲4五歩 △同 歩 ▲2四歩 △3四銀 ▲3六歩 △2四歩
▲3五歩 △2三銀 ▲1六飛 △1五歩 ▲3六飛 △3三歩・・・
と進めば下手大変。
▲4五歩では▲4七銀と力を溜めるのが正解で、
△6四歩 ▲5六銀 △7四歩 ▲4五歩 △同 歩 ▲2四歩
△同 角 ▲2五桂
という要領で指せば下手が十分だ。

なお、増田-高野戦 で9筋の突き合いを入れているのは、
上記変化▲1七桂△5二金左の時に▲4五歩△同 歩▲9五歩と攻める手を含んでいる。
▲9六歩には△9四歩と受けない変化も検討すべきなのかもしれない。

よって、▲同 香には△3六歩とし、捌きに勝負を懸ける(下図)


類形において、
△3六歩には▲1八飛と寄る手もある」
という記述を将棋世界で見掛けたが、上図からの▲1八飛には、
△4五歩▲1一香成△8八角成▲同 銀△3五飛と応じて上手捌け形。

また、上図で▲2四歩と突く手も有力ながら、
△同 歩 ▲3六歩 △1三歩 ▲同香成 △同 桂 ▲1八飛
△2五桂 ▲1三飛成 △4五歩
(下図)


この時、▲2四歩と突き捨てた事で、
単に△1三歩と打った変化に比べて、歩が2四に進んでいるのが大きい。

△2三歩型の時は▲2三竜と寄り
△8八角成と「上手から角交換させて」△3六飛▲2五竜と進んだが、
上図で△2五桂を回収するには、
▲3三角成と「下手から角交換して」△同 飛▲2四竜とするよりないので、
直後に△3七歩という手筋が生じる(下図)


△3七歩を取ってしまうと、△5五角のキズがあるので、
上図からは▲2五龍△3八歩成▲5九銀 △4三飛と進む(下図)


とある定跡書には、上図から▲1六角と打って下手良しと書いてあるが、
△2九と ▲2一龍 △3二角 ▲4三角成 △同 銀 ▲2九龍
△5四銀
(下図)


と進み、次の△6五銀~△7六銀、
そして持ち駒を8七に足し算して行く攻めがうるさい。

そこで△3六歩には▲同 歩と応じる(下図)


ただし、▲2四歩の突き捨てを入れなかった事で、
上図では△1五角の幽霊角が生じている(下図)


この手に対する応接がまた難解を極める・・・

昔からある手は▲1八飛で、
△4八角成 ▲同 金 △3六飛 ▲3七金 △1七歩 ▲同 飛
△2八銀 ▲3六金 △1七銀成 ▲4六金
で下手良し・・・というのが定跡書の教える手なんだけど、
△1七歩と叩く手が相当に厄介である(下図)


流石に▲同 飛と取るより無いが、△2六角と出られて・・・


これで飛車の行く所が難しい。

▲1六飛には△3六飛、▲2七飛には△4八角成~△3六飛。
いずれも、従来の定跡より優れているだろう。
(と、飯島先生が将棋世界の付録に書いていたような記憶がある。
無くしちゃったのでホントかどうか確認できませんが・・・)

そこで、村田顕弘先生のご推奨は▲1八飛に換えて▲1一香成(下図)


これは将棋世界で記されていた変化。

上図以下は△3六飛▲2一成香と進む順が書かれており、

1.
△4八角成 ▲同 金 △3九飛成 ▲3八金 △2八龍 ▲同 金
△4八飛 ▲6八銀 △2八飛成 ▲5五角

2.
△3八歩 ▲4四角 △3九歩成 ▲1八飛 △7六飛 ▲7七歩
△2六角 ▲7四桂

いずれも下手良しとなる。

が、上図で△1六歩と垂らすのはかなり強敵だと思う(下図)。


上図で▲2一成香と取って良ければ一番だが、
△1七歩成▲同 桂△3六飛の時に何を指して良いのかわからない。

また、▲4四角と指すのは△1七歩成▲同 角△3三角の筋があるので、
▲2四歩と突き捨てる手は考えられるが、構わず△1七歩成されて、
▲同 桂△3六飛▲2三歩成△2七歩で、下手自信無さそう・・・

こんな事をボンヤリ考えた結果、▲1八歩と謝る手に行き着く。
△1三桂と逃げられてしまうのが非常に悔しいんだけど、
▲4四角△3六飛の局面で手を探そうと(下図)


しっかし、これがまた滅茶苦茶難解な局面。

暇な時にずっと考えてたんだけど、
結局分からないまま、この記事を書いている。

筋としては▲1二成香と引くところなんだけど、
△2五桂▲同 飛△4八角成▲同 金△3九飛成
という荒捌きがまず気になった(下図)


変な受けだと△3四竜と引かれて痺れるけど、
▲3七金で凌いでるのかな?
以下△3六歩が嫌だけど▲4六金でどうか・・・

しかしまぁ△2五桂は奇抜すぎるので、△4八角成が本手ですか。
で、▲同 金△3九飛成(下図)


上図から、
1.▲5五角は、△5四歩▲4六角△4五歩でうるさいか。
2.▲3八金は、△2八竜▲同 金△4八飛▲6八飛△4七飛成が角に当たり、
  ▲2二角成に△2五桂と逃げられてしまうのが悔しい。

で、行き着いたのが▲3八飛△2九竜▲1三成香の順(下図)


しかし、ここで上手の手番ってのもなかなか不気味ですね。

上図以下、底歩防止の△3九銀が一例。下手はどう指すんだろう?
受けに自信があればこれで良いのかもしれないんですが、
それなりにうるさいような気がしないでもない。

△4八角成と切られる変化が嫌となると、
▲3七歩と受けるくらいですかね(下図)


上図では△7六飛と△3三角があって、
これまたどちらも難しい変化だ・・・

△7六飛以下、▲7七歩△7五飛(下図)


上図は△2五飛のぶつけは受からないので、
▲1二成香か▲2二角成で攻めを催促するくらい。

▲1二成香以下は
△2五飛 ▲同 飛 △同 桂 ▲1三飛 △3三角 ▲同角成
△同 銀 ▲2三飛成 △2八飛 ▲3三龍 △2九飛成(下図)


▲1三飛があるから、飛車をぶつけられる苦痛にも耐えられるんだけど、
△2八飛が「両取り逃げるべからず」の好手。

上図から、▲2二成香と活用する手が間に合えば分かりやすいが、
上手にも△3六歩と打ち捨てる好手があって難しい(▲同 竜は△5四角)。


▲2二角成以下は、
△2五飛 ▲同 飛 △同 桂 ▲2三馬 △5一金左 ▲1三飛(下図)


▲1二成香との違いは▲2三馬と引ける事で、
▲1三飛の時に3三まで横利きが通る。

上図から、△2六角には▲1六飛成が絶品チーズバーガーで、
以下△2八飛▲2五竜△2九飛成▲3八桂を含みにして下手やれそうだ。

上手は△3三角と勝負手を放ってどうか?
▲同 馬△同 銀▲同 飛成で銀損になるが、
安全に(?)△2八飛と打ち込める、という意味(下図)。


しかし、流石に下手銀得だもんな。
▲4三角△2九飛成▲2四竜くらいで、良いって事にしよう。


ということで、△7六飛の変化を切り上げて、
△3三角以下を考えてみる(下図)


対し、▲3六歩△4四角の進行は最悪なので、
▲同 角成△同 飛までは進むと思う(下図)


上手の狙いは△3六歩~△5五角。

手堅く指せば▲8八角だが、
△3五飛▲2二角成△2五飛▲2六歩△5五角のサーカスがある(下図)


以下▲1三馬には
△1五飛▲2三馬△5二金左▲8八銀△1一角と派手に捌く。
これはこれで難しいが、▲2六歩と打たされているのも気になる。

よって、▲8八角のところで▲2二角と内側に打ってみる(下図)


今度は桂取りなので△3五飛は利かない。

恐らく△3六歩と暴れてくるだろうが、
▲3三角成△同 銀▲1二成香とサッパリ指してどうか(下図)


この瞬間が怖いが、受け止めてしまえば下手勝ち。
何かありますかね・・・

しかし、△3三角とぶつける変化は手番が下手に渡るので、
この手順以外にも何とかなりそうな気はしている。


という、長い長い検討の末、
幽霊角は何とかなる・・・という仮定にしておき、
本手の△1三歩に移るとする(下図)


何で△1三歩が本手かと言うと、佐藤当時棋王が指した手だから。
佐藤先生が指したという事は、最善手なんだと思います。

参考棋譜:佐藤(康)-村田(顕)戦

上図以下
▲同香成 △同 桂 ▲1八飛 △2五桂 ▲1三飛成 △3七歩(下図)


上図△3七歩が、かなり上の方で触れた
「後で書くね」の手である。手順は少し違うけど。

ちなみに、▲1八飛のところで▲1四歩は、
△4五歩 ▲1三歩成 △8八角成 ▲同 銀 △3六飛 ▲2四歩
△2六香
で上手ペースだそうです。

下手はと金を作らせてはいけないので、
▲同 桂△同 桂成▲同 銀までは進みそう(下図)


下手は香損だが、▲同 銀の形が後の△3六飛を防いでいる。
上手は歩切れなので、攻めが切れてしまう可能性もある。

上図から△1一香▲2三竜△1二飛は▲2五桂で押さえ込む。
上手はやはり△4五歩と捌くところ(下図)


ここでどう指すのが正解かがまたまた難しい。

村田先生の感想によると、上図で▲1八竜と引くか、
▲3三角成 △同 飛 ▲8八角 △3四飛 ▲2三龍 △7四飛
▲2二角成 △7六飛 ▲7七歩 △7四飛 ▲4八銀(下図)
と指すのが良かったらしい。


・・・という事だったらしいが、
そう言われても「将棋って難しいなぁ」という感想しか湧いてこない(笑)

ま、私はどちらかと言えば▲1八竜の方が好きな指し方ではある。
上手に歩を渡さず、▲1四歩と垂らして地道に指せれば・・・

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・・・というのが、知り合いに教わりながら検討した結果である。
私の数倍強い人なので、信頼してます。

が、本記事に関しては大部分を私が考えているので、
せいぜい参考程度にして、あまり信用しないで欲しい(苦笑)
こんなのはオジさんの趣味でしか無いんだから。

「香落ちは必勝」と言ったのは升田先生だと記憶しているが、
死ぬ頃になってもその域に達していない自信がある(笑)
とにかく、滅茶苦茶難しいとしか思えない手合である。

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