横歩取り 青野流01 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

時間が取れる内に、気になる戦型の整理をしておきたい。

今回は、現在流行している△8五飛戦法 対 青野流について。

初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角 ▲5八玉
(下図)

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青野流の狙いには、
「3四に飛車を置きっぱなしにする事で後手に歩を突かせない」というものがある。

また、△8五飛・△8四飛と△4一玉・△5二玉を組み合わせ、
計4パターンを面妖に使い分けるようになった昨今、
青野流で良ければ話が単純、という事も流行の理由かと思う。
事実、△5二玉型が多く指されるようになった2011年周辺から、
上図の出現率が跳ね上がっている。

▲5八玉が青野流の第一歩。
▲3六歩から桂を活用していくのが青野流の特徴なのだが、
居玉で▲3六歩と突くと△8八角成~△3三歩で王手飛車が受からなくなる。

上図では、
1.△4一玉
2.△7六飛
3.△2二銀
4.△5二玉
がある。順番に見て行きたい。

1.△4一玉

△4一玉 ▲3六歩 △5一金 ▲3七桂 △6二銀 ▲3八銀(下図)

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△4一玉を選択すれば、上図まではこう進むかな、という感じ。
(もっとも、△4一玉型に固定された事に満足して▲3六飛もある)

上図からの先手の狙いは、両桂を跳ね出して5三に強襲する事。
よって、△4二銀と備える実戦例も指されたが、
▲3五飛 △8八角成 ▲同 銀 △3三桂 ▲7七角 △8四飛
▲6六角 △2四飛 ▲2五歩 △5四飛 ▲8二歩(下図)

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と進行した実戦例がある。上図は先手が良いだろう。

△8八角成~△3三桂は先手の飛車を2筋に戻させない意味。
▲2五飛と戻られると飛車が楽になるし、△2三歩と謝るの悔しいから。
しかし反面、▲7七角が厳しかった。

参考棋譜:
青野-高橋戦(順位戦)
青野-泉戦(順位戦)

こういった不便を考慮してか、あえて△2二銀とする実戦例も多い。
代表例は青野-飯塚戦(順位戦)

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この手に対し、先手は前述の通り5三に強襲を仕掛ける。

上図以下
▲9六歩 △9四歩 ▲3五飛 △8二飛 ▲7七桂 △8七歩
▲9七角 △4四角 ▲4五桂
(下図)

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▲9六歩▲7七桂と跳ねる準備。
後手も△8七歩の小技を入れて▲8五飛のぶつけを防ぐ。

上図では△9五歩が気になるが、
▲8三歩 △同 飛 ▲8四歩と連打して先手がやれそうだ。
▲7五角の準備をしておけば、堂々と▲6五桂と跳ねられる。

上図以下
△3三桂 ▲同桂成 △同 銀(下図)

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実戦は上図で▲6五飛と回ったが、△6四桂の局面は案外難しかった。
▲8三歩~▲7五桂や▲5六桂を防ぎつつ、将来の△7六桂を狙った手だ。

それでも少し先手がやれている気がしているが、
個人的には▲2五飛と回った方がより良いと思っている(下図)。

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△2四歩と打てばそこで▲6五飛。先手は3筋の歩を伸ばすのが楽しみだ。
また、△2二銀と頑張っても▲2四歩と垂らしておいてどうだろう。

いずれにせよ、この進行は先手ペースの気がする。


2.△7六飛

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少数ながら、△7六飛の実戦例も存在する。

上図では▲8四飛が一般的・・・なのだが、
ここで最近の実戦例で▲3三角成が現れた(順位戦 金井-平藤戦)。

何故▲3三角成だったのか?
そのルーツは堀口(弘)-真田戦 にあると考えている。
堀口(弘)-真田戦 は上図から▲8四飛△8二歩▲3三角成と進行し、
▲3三角成~▲8四飛とした金井-平藤戦と同じ事になっている。

堀口(弘)-真田戦 以前は、上図から、
▲8四飛△8二歩▲3八金とするのが定跡化していた(下図)。

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ここでは△5二玉が定跡手。
△7二金を優先させると▲3三角成が嫌味な手となる(下図)。

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△同 金は形が乱れるので△同 桂と指したいのだけど、
▲2四飛が機敏な手で、以下
△2二銀▲2一角△2三銀▲同飛成△同 金▲4三角成(下図)

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△7二金と上がったせいで▲4三角成が飛車取り詰めろになってしまった。
上図は後手大失敗の図だ。

実際には▲2四飛に△2二銀とは上がらないけれど、
△2三歩と打つのでは悔しいだろう。

よって、上図の▲4三角成を防ぐ意味で、
▲3八金には△5二玉が本線なのだ。

じゃあ、「△5二玉と上がられる前に▲3三角成だと?」
という問題提起が堀口新手の価値である(下図)。

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堀口(弘)-真田戦 では真田先生が危険を回避して△3三同金。
後手に△8二歩と△3三金の悪形を強要し、先手は主張を通した。

しかし、平藤先生はこう考える。

「△7二金と上がっていない形は▲4三角成が詰めろにならない。
先手の主張を通してたまるか。」


そう、平藤先生は実に男らしい棋風なのである。

上図から
△同 桂 ▲2四飛 △2二銀 ▲2一角 △2三銀 ▲同飛成
△同 金 ▲7二歩(下図)

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対する金井先生の主張は上図の▲7二歩。
「強制的に7二に駒を移動させてやる」という訳。
(△7二同銀でも▲4三角成が詰めろだ)

これは憶測なのだけれど、
平藤先生は上図で△5二金を考えていたのかも。
横歩取りの超急戦定跡△3三角によく似ている条件だから。

初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △8八角成 ▲同 銀 △3三角
▲7七角 △同角成 ▲同 桂 △8九角 ▲8七銀 △同飛成
▲同 金 △3八歩(下図)
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この図では▲5八金が定跡。
△3九歩成には▲8八金と角を殺して先手良しである。

また、▲5八金に△7八角成も
▲6九角△同 馬▲同 玉△3九歩成▲6五桂で、
次の▲5三桂不成を狙って先手良しだ。

ところが本譜で同じように進めるとまずい事になる。

▲7二歩以下
△5二金▲3二角成△4一角▲同 馬△同 玉▲7一歩成
△4五桂(下図)。
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▲5八玉が効いていて△5七桂不成が無い。
よって▲2四歩くらいで先手優勢だろう。

という訳で、
「主張の張り合いは▲5八玉の分、先手優勢」
というのを本ブログの結論としたい。
後手は意地を張らなければ(△3三同金)、
ちょっと気分が悪いだけで良い勝負だとは思います。

ただし、△7六飛以下の手順は、
▲5八玉が最高に効いた展開ばかりなので、主流にはならないかな、と。
△8二歩を打ちたい人はあまりいないよね。

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といったところで、ひとまず一区切り入れさせて頂きます。
3.△2二銀、及び、4.△5二玉も書いていたんですが、
一つの記事で書いてしまうと長くなりすぎてしまい、
読むのも大変になってしまったので(この将棋は変化多すぎ・・・)。

続きも出来るだけ早くUPするので、
興味あったら読んでね。

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