相掛かり プロ実戦 王将戦第1局 佐藤康光 対 渡辺 明 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

棋戦速報ブログみたいになってきましたが、
0から検討をスタートするより更新が楽かな?という試みです。

色んな試みをしてますが、安定した形を見つけたいなぁ・・・

王将戦第1局公式サイト
王将戦ブログ


順位戦と違って、みんなで棋譜を共有できるのが良い所ですね。
いや、順位戦のような有料サービスもあるべきだと思ってるんですが。

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相掛かりでの中原玉は久しぶりに見たなぁ、と思ったら、
上図と同一局面は3局だけ。そして、最後に指されたのは2004年のようです。

同一局面
淡路-清水戦(王座戦)
行方-中川戦(順位戦)
森下-佐藤(秀)戦(NHK杯)

ちなみに、相掛かり+中原囲いのスペシャリストは中川先生です。
先述の行方-中川戦以外では・・・

北浜-中川戦(順位戦)

中原-中川戦(王位戦)
羽生-中川戦(王位戦)
中原-中川戦(王座戦)
森内-中川戦(銀河戦)
佐藤(康)-中川戦(王位戦)
堀口(一)-中川戦(王座戦)
内藤-中川戦(順位戦)
(時系列順。下に行くほど古いです。)

・・・他にもあるんだろうけど、
棋譜でーたべーすで今確認出来たのはこんな感じです。
少しずつ形を変えて、何とか手を作ろうとしているのが分かります。

中川先生自身はそれほど勝率も悪くないんですが、
何でこの形があまり指されないかというと、
羽生先生が後手で2連敗したのも大きかったと推測しています。

谷川-羽生戦(順位戦)
谷川-羽生戦(王位戦)

相手が谷川先生だった事もあって、
「あぁ、高いレベルでは無理な作戦なんだな・・・」と、
低レベルながら思ったものです(笑)

また、類形含め、後手の勝率は基本的に良くないんです。
横歩取りのそれに比べて、先手にボコボコ殴られる傾向があるんです。
駒の損得が無い分、手の損得も無いので、
先手がリードを奪いやすいのかな?と思っています。

という訳で、今回の渡辺先生の起用はちょっと意外。
どこに工夫ポイントがあるんだろうか・・・(下図再掲載)

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ポイントとして、
1筋の位取りが早かった(というより後手が誘った)事が挙げられます。
「端の2手の分を中央に回せば、優位を築けるのではないか」と。
スペシャリスト中川先生でも、端は受けている展開が多いんです。

また、本局の注目として、佐藤先生の対抗策があります。

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本譜に見られるような▲4五銀からの積極策は、
あまり指されていないんです(△5五歩型ならある)。
矢内-清水 みたいな将棋はありますけど、本譜の方が過激ですよね。

ただ、上図からの△7三桂に▲6六歩は少し違和感がある。
▲4五銀は「ガンガン行くぜ!」って意味だったと思うので、
本当なら▲3四銀と踏み込みたいところ。

△7三桂▲3四銀△8八角成▲同 銀△7五歩▲5六角
△6五桂▲6八玉△7六歩▲2三銀成・・・

そうか、先手が少し自信無いかな。
でも、ここでの▲6六歩は変調の気がする。
△7三桂を軽視していたのかな?

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渡辺竜王の△5四歩からの構想は素晴らしかった。
先手の銀が5六に戻るのを防がないと攻め切れないと見たのかもしれない。
指されてみればなるほどと思うけれど、なかなか浮かばない着想でもある。
上図の▲2五銀はちょっと辛そうな手だ。

少し進んで下図。

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桂を捨ててジッと△3四飛かぁ・・・
これも指されてみればだけど、私には絶対指せません。

▲6八金などと指すと、
△3六歩▲同 銀△同 飛▲同 玉△3五歩で受け切れない。

そこで▲4八金だけど、△3六歩▲同 銀にジッと△2四桂が好着想だった(下図)

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以下▲3五歩に△3六桂▲同 玉△4七銀▲同 金△同 飛が好手順。
しっかし、きれいに手が繋がるものです。

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本譜は最後にドラマがあったのだが、
「序盤の」Strategyとしては検討はここまで。

序盤は先手の率が良かったはずだが、
佐藤先生の積極策に乗った形で渡辺竜王が局面をリード。
本譜のように手が繋がるなら、後手を持ちたい人も多いと思う。

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