コメントで面白い書き込みがあって、
それに付随して発見した事があるので、
忘れないうちにメモしておこうと思います。
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「どのくらい手を読んでいるんですか?」
これ、よくある質問ですよね?
で、こちらが「いや、わからないですねぇ」みたいに答えると、
何かちょっと不満そうな顔というか(笑)
イマイチ納得いかないという顔をされるんですよ。
でも、こちらからすると
「何手読むかってそんなに大事ですか?」
って感覚があるんですよね。
この違いって何かなー、って思ってたら、
さっきちょっと閃いたんですけど、
『先まで読んだり幅広く読んだりする事が、成熟である』
という前提で話が進んじゃってるんだな、って思ったんですよ。
いやいや、違いますって。
確かにそういう方向性っていうのはあるし、
それが出来ないとギリギリの部分では勝てないんですけど、
ある程度のレベルまではそういう成長は必ずしも必要じゃないんですよ。
このブログは学生の方に結構読んでもらってるみたいなので、
学生生活で例えてみますけど、
入学したての時は、
「家を7時半に出なくちゃ」とか
「あの角を右に曲がって、その先の交差点を・・・」とか、
学校にちゃんと着くために色々注意を払ってるじゃないですか。
じゃあ、それが慣れてきた時、
どのように成熟していきますか?って事なんですよ。
その生活を続けている内にエスカレートして、
「あの角では7時40分。あの店の前では7時50分」とか、
「あの道は右斜め45度で渡ると一番早い」とか、
注意事項がどんどん増えていきますかね?
私が不真面目なせいかもしれませんけど、
いくら遅刻したくないからって右斜め45度までは考えませんわ(笑)
で、これを踏まえて
「どのくらい手を読んでいるんですか?」
っていう問いについて考えていきますけど、
これって
「どのくらい歩いているんですか?」
って聞いてるのと一緒なんですよね。
これ困りますよね。
学校までの道のりが何歩なのかなんて意識してないし、
時間があれば、その先の市役所まで歩いちゃうよ、って話なんですよ。
それでも「どのくらい歩いているんですか?」って言われたら、
「学校に着くまで歩いてます」って答えるしかない(笑)
だから、
『先まで読んだり幅広く読んだりする事が、成熟である』
っていうのは何か違うんですよ。そりゃ、出来るに越したことはないけども。
多くの人にとって歩く事って自動的ですよね?
でも、あるレベルを超えると、手を読む事も自動的になります。
見通しの良い局面だったら、見ただけで何十手後の局面が浮かびます。
そして手を読む事は目的ではなく、手段です。
1000手読んで結論が出なかったら、1001手読むんですよ。
読みの精度が甘かったら、読みの量で勝負するんじゃないですかね。
じゃあ成熟した読みって何なの?って言ったら、
頭の中で自動的に駒が動いている時に、同時進行で何を考えているか、
って事じゃないですかね。
登校時だって、
「あの角では7時40分。あの店の前では7時50分」とか、
「あの道は右斜め45度で渡ると一番早い」とか、
そういった歩く事自体になんて意識は無くて、
「給食の後の体育嫌だなぁ」とか、
「テストの範囲どこかなぁ」とか、
違う事を考えている訳じゃないですか。
プロは1000手でも2000手でも10000手でも読めるでしょうけど、
自分の手番が来るたびに10000手読んでいますか?って言ったら違うと思うんですよ。
駒が頭の中で勝手に動いている中で、
「これはあかんわ」と決断を下して、10手も読まない内に切り捨ててたり、
「これは行ける!」と思って、1手しか候補を挙げなかったりしてると思うんですね。
最近「ソフトが1秒に何手も読んでいる」なんて話を聞きますけど、
人間の凄さっていうのは、あらゆる要素を同時に行う部分じゃないかなぁ。
読み・形勢・相手・持ち時間・会場・勝負の背景・・・
こういうものを全部計算に入れて次の一手を指すソフトが出てきたら、
その時は人間の完全敗北ですわな。
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当たり前の事を書いてきたんですけど、
「どのくらい手を読んでいるんですか?」
という質問をする心理が分からなかったので、自分の中では凄い発見なんですよ。
ずっと「そりゃ結論が出るまでですよ」って思ってたんで。
注:諦めるというのも結論です。
「どのくらい手を読んでいるんですか?」
と思っていた時代が自分にもありますけど、
その頃の心理なんて忘れてますからね。
こういう溝が埋まっていったら、
もっと将棋の普及が進むんだろうなぁ。
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