四間飛車 松尾流居飛車穴熊 対 △4四銀型02 櫛田流周辺 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

今回は、△4四銀型に対して松尾流居飛車穴熊で対抗する形の第2回となります。
参考記事:四間飛車 松尾流居飛車穴熊 対 △4四銀型01

今回は、いわゆる櫛田流と呼ばれる仕掛けの周辺について考えていくのですが、
この形はアマチュア間でもマニアが多い戦形で、
私はそういった方達に追いつけている気が全くしません。

私の知識は、表面化している部分にオマケを付けた程度であると、
先に断っておきます。

初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛
▲6八玉 △3二銀 ▲7八玉 △7二銀 ▲5六歩 △6二玉
▲5八金右 △7一玉 ▲5七銀 △5二金左 ▲2五歩 △3三角
▲7七角 △6四歩 ▲8八玉 △7四歩 ▲9八香 △7三桂
▲6六歩 △4五歩 ▲9九玉 △4三銀 ▲8八銀 △4四銀
▲3六歩 △5四歩 ▲6七金 △8二玉 ▲7八金 △6三金
▲6八銀(下図)
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上図は前回の基本図でもありましたが、
この戦形の最重要局面の1つという事です。

前回はここで△5三銀でしたが、
少し後手が勝ちにくいんじゃないかと思っています。

というわけで今回のテーマは△5五歩(下図)。
四間飛車側からより良さを求めに行ってみます。
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これは▲同 歩と応じるよりないのですが、
そこでちょっとした分岐点になります。

一般的には△4六歩と突き捨てるのですが、
△同 銀とジッとしておくのも有力です(下図)。
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これは先手の仕掛けを誘っている手で、
仮に▲2四歩 △同 歩 ▲3五歩と仕掛けると、
△6五歩 ▲3四歩 △4四角(下図)
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こう進んだ時に、4筋を突き捨てていない方が角が安定する意味があります。

ただし形勢は難しいところで、上図から
▲5六歩 △6六銀 ▲同 金 △同 歩 ▲5五銀
と進めて、居飛車穴熊側もまぁまぁじゃないかと思います。

この変化に限らず、△6五歩と仕掛けていく攻めは諸刃の剣で、
将来▲6四歩と叩く手が高美濃の最急所となります。

また、穏やかに指すのであれば
△5五同銀に対して▲5六歩もありますが、
その手に対しては△8五桂が嫌味な手の1つで、
▲5五歩 △7七桂成 ▲同金寄 △5五角
となれば後手も戦えます。
(実際には△8五桂に▲8六角で難解ですが、▲2四歩を突き捨て損ねた雰囲気はある。)

以上の理由で、単に△5五同銀と取る手はやや無理ではないかと思うので、
△4六歩が本線になります(下図)。
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▲4六同歩は
△5五銀 ▲2四歩 △4六飛 ▲2三歩成 △4四角
という余計な変化が生じるため、
先手はここで▲2四歩を入れるのが手堅いと思います。以下
△同 歩 ▲4六歩 △5五銀 ▲3五歩 △4六飛 ▲3四歩
△4四角 ▲2四飛 △2二歩(下図)
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まで進むのが、一般的な進行です。

ただし、 ▲3五歩のところで▲5六歩とするのもなかなかの変化。以下
△4六銀 ▲6五歩 △同 桂 ▲3三角成 △同 桂 ▲2四飛
△4五桂(下図)
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この進行はやや後手が良いと言われている。

ただし、上図はかなりきわどいので、
△5五銀のところで△8五桂を利かす手もあるが、
▲8六角 △5五銀 ▲6五歩
と進むが、これは後手が自信ない。やはり上図へ踏み込むよりないようだ。

△4五桂の局面では、
▲2一飛成・▲2三飛成・▲3三角がよく見る変化で、
後手も△5七桂左成が気持ちの良い攻めなのだけど、
直後に▲5五桂の切り返しがあるので、これはこれで難しい。

本来であれば、ここからの寄せ合いも検討しないと、
四間飛車側を持って指すわけにはいかないのだが、
ごちゃごちゃした終盤戦を延々と書いていると、
本記事のテーマが見えなくなる恐れがあるので、割愛します。

ただ、1つ言えるのは、
この変化になると居飛車側も陣形を相当剥がされてしまうので、
結局△2二歩の局面に進める事が多いという事だ(下図再掲)。
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この局面も手段が多く、主に
1.▲2五飛
2.▲4五歩
に分かれる。順に見ていきたい。

1.▲2五飛

▲2五飛(下図)
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現在一番人気なのが、この▲2五飛だと思う。
次の狙いは▲4五歩~▲2二飛成だ。

その手を防いで△4五歩と打つ手もよく指されているが、
▲3三歩成 △同 角 ▲3七桂でどうか。以下
△6五歩 ▲4五飛 △6六歩 ▲5七金 △4五飛 ▲同 桂
△5六歩 ▲5八金 △4四角
のような進行は、直後の▲6四歩が厳しく先手が指せる。
△6四同銀は▲4一飛が絶好となるので、後手は応接が難しい。

よって上図では△8五桂 ▲8六角 △5六歩を本筋としたい。以下
▲4五歩 △2六飛 ▲同 飛 △同 角(下図)
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△8五桂の意味は、この局面での▲6五歩を防いだもの。
先手の角が働く展開になると、まず勝てない。

上図は飛車交換なので穴熊良しに見えるが、
駒効率が大差なので後手も指せる。

上図以下、筋は▲2五飛なのだが、
△4八角成 ▲2二飛成 △6五歩の展開は先手が冴えない。
また、▲2二飛成のところで▲5三歩も手筋だが、
△6二飛の自陣飛車が強靭な受けで、これは△4六歩が間に合うだろう。

上図の形勢判断は難しいが、
1.▲2五飛と△5六歩の交換自体は後手が得していると思うので、
私は先手を持ってこの局面にはしたくない。

2.▲4五歩


▲4五歩 △同 飛 ▲5六歩 △8五桂 ▲8六角 △4六銀
▲3三歩成 △同 角 ▲6四飛 △5七歩(下図)
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▲4五歩 △同 飛の局面で、▲5六歩を本線としたが、
この手に換えて▲3七桂はつまらない。以下
△4八飛成 ▲4五歩 △3五角 ▲2二飛成 △8五桂 ▲8六角
△5六歩
これは後手が手厚い変化だろう。

よって▲5六歩と打つが、
後手はこのタイミングで△8五桂と跳ねるのが急所となる。

一見▲5五歩△7七桂成▲同金寄で先手良しのようだが、
直後に△4八飛成とされてみると、次の△4六角を見て後手良しだ。
この進行は先手の飛車が働かず、逆に目標になっている。

よって▲8六角とかわすよりないのだが、上図は後手良しだろう。
△4六銀からの辛抱強い指し回しがポイントだ。



四間飛車 松尾流居飛車穴熊 対 △4四銀型02 櫛田流周辺
いかがだったでしょうか。

冒頭で書いた通り、この形のマニアには及ばない知識なのですが、
私自身の感触としては先手を持って指したい将棋とは言えません。

以前の記事でも書いた通り、
私は▲6八銀と引く手がやや欲張りすぎだと考えており、
違う形の方が先手の利が活かしやすいと思っています。

ただし、
「どちらが勝ちやすいか」という観点で言えば、先手の方が勝ちやすいでしょう。
アマチュア大会の短い持ち時間では、先手の勝率が高い気がします。

真理と勝率がイコールになりづらい将棋・・・。
振り飛車党にとって、対居飛車穴熊戦は葛藤があります。

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