「コロンブスの卵」の正否と今月の将棋倶楽部24の結果 | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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「将棋大好き雁木師の将棋本探究」をリニューアルしたブログです。
主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんばんは。雁木師でございます。今日は右玉にまつわる自戦譜と今月の将棋倶楽部24の結果を報告したいと思います。長文となりますが最後までお読みいただけると幸いです。

まずは右玉にまつわる自戦譜から。前回の途中経過報告にて、右玉が石田流相手にも可能であることを示唆しました。

 

 

今回は私の自戦譜からそのメカニズムを紐解いていきます。今月2日の将棋から。持ち時間設定は「早指3」、解析には「ShogiDroid」を使用。先手番で右玉狙いが私です。

初手からの指し手

▲7六歩    △3四歩    
▲6六歩    △3五歩    
 


4手目△3五歩で相手の石田流が確定。対する私はまだ態度を保留しています。
 
▲4八銀    △3二飛
▲4六歩    △3六歩    
 


ここで△3六歩と突かせることがポイントになります。突いてくれないと右玉の成立は難しくなります。その理由は次の3手1組を成立させるためです。
 
▲同 歩    △同 飛    
▲4七銀   
 
 


▲4七銀の一手が大事で、3六の歩交換を飛車アタリで咎めようとする構想です。相手は△3四飛と浮き飛車でかわします。
以下は
▲7八銀    △6二玉    
▲3六歩    △7二玉    
▲3七桂    △6二金
▲3八金    △9四歩    
▲9六歩    △1四歩    
▲1六歩    △3二金
▲4八玉    △7四飛    
▲6七銀    △8四飛    
▲7八金    △4二銀
▲2九飛    
と下段飛車に構えて、私は右玉を完成させました。
 


これまで実現は無理と思っていた石田流相手の右玉は完成には成功しました。ここまでの流れでポイントは以下の2つです。
後手の3筋交換はあえて突かせる
角道は止めること
①は歩を交換させる間に右銀を前に繰り出すことが目的です。右銀を繰り出せれば右桂を跳ねることができるため、下段飛車に持ち込むことが可能というメカニズムです。②は右玉狙いならとても大事なことだと思います。角道を止めないと、どこかのタイミングで角交換を許す、もしくは角交換をしないと打破できない状況に陥ってしまいます。穏やかに右玉を進めたいなら角交換を避ける手順がベターかと思います。個人的には「コロンブスの卵」と表現したい今回の右玉。果たして「勝利」という形で成立するのか。この続きは今月の結果報告の後で行いたいと思います。
 

それでは今月の将棋倶楽部24の結果を報告します。私は24にいくつかのルールを設けて指しています。詳細についてはこちら

 

なお、今週は諸事情により木金土の3日間で20局指しました。解析には「ShogiDroid」を使用し、先週は8局、今週は8局解析を行いました。なお、今回の解析からデバイスを変更。これまではスマホで解析を行ってきましたが、新しくタブレット「Lenobo tab M10」(Androidタブ)を購入し、アプリの導入、思考エンジン「水匠2」を実施しています。

それでは結果報告に入ります。

総合成績:38勝42敗。勝率.475
手番別の勝敗は以下の通りです。
手番別勝率:先手番勝率.454 後手番勝率.500
今月は負け越しで終えました。先週は右玉狙いのパターンが不発に終わり、途中からモデルチェンジを図るも大きく負け越し。今週はモデルチェンジがなじんできたのか、後半に3連勝と4連勝をマークして勝ち越すも先週の大負け分の完済には至りませんでした。内容としては、先週の右玉狙いは長手数の粘るもしくは粘られる将棋が多かったですが、途中からモデルチェンジしたら短手数での決着が増えました。決めるところで決めきれない将棋も多く、まだまだ反省点は多いです。では次に戦型別の勝敗を見ていきます。
まずは自分から見た戦型から。今月はトータルで右玉が多かったです。しかしモデルチェンジを図ったところから採用数を減らし、今週はゼロ。以前も話したことがありますが、右玉は「受け」のイメージが強く、「攻め」を重点に置く現代将棋とは対極の位置にあります。わたしのモデルチェンジは、現代の定跡を基軸とした攻め将棋。とりわけ矢倉を志向するスタイルです。それが今月後半、とりわけ今週に集中しています。ただし、相手に矢倉にさせてもらえないのが現状でそれがelmo囲いに来ているという感じでしょうか。モデルチェンジの境目を経て、どう変化するかは注視したいです。次に相手から見た戦型を見ていきます。
相手から見た戦型は居飛車は矢倉、振り飛車は三間飛車が多かったです。どちらも自分が右玉狙いになった頃に多かった戦型で、今週に限れば四間飛車が最も多いのが現状です。四間飛車にはelmo囲いで対抗することが多く、今週に限って言えば対四間飛車は全てelmo囲いに組んでいます。elmo囲いは金銀の連結が非常に強く、横からの攻めには簡単には崩れません。最近では、将棋ウォーズのエフェクトにも登場しました。今後の振り飛車との戦いにおいて、elmo囲いが軸となることは間違いありません。
 
 
では先ほどの右玉の将棋のその後を見ていきます。右玉を完成させた局面を再掲します。
 


先手の主張は下段飛車。駒の打ち込むスキがないのが特徴です。相手は浮き飛車で先手の左辺を揺さぶってきました。上図以降は私は駒を前進させ、相手は浮き飛車と左銀を使って攻め込みます。そして迎えた下図の局面。ここでの一手で相手に形勢が傾きます。
 


私の一手は▲7五銀。単純な飛車取りで、当然相手は△4四飛と逃げます。この時に先手の左辺の駒の働き、特に角の働きが悪いことがアプリにマイナス査定につながっています。以下
▲4五歩    △4一飛
と私は交換した持ち駒を早い段階で手放してしまいました。このままでは効率の差で負けると判断した私は▲7九角と角を転回します。相手は△2二角と一旦角を引きました。これは角交換を避ける狙いが考えられます。私は    
▲4六角    △8二銀    
▲2四歩    △同 歩
▲同 角    △2三歩    
▲4六角    
と飛車先の歩を交換して角を4六に配置。
 


相手は△5四歩から   
▲8六銀    △5一飛
▲9五歩    △5五歩    
▲同 歩    △同 角    
▲同 角    △同 飛
▲5六歩    △5四飛    
とさばいてポイントを稼ぎます。
 


しかし、この△5四飛は危険な浮き飛車と判断しました。つぎの一手が厳しく見えたからです。それが▲6五角。しかしアプリは▲9四歩を推奨。9筋の端を圧迫させることをプラスとみているのでしょうか。  
本譜は▲6五角に対し△5二飛と逃げ、以下    
▲9四歩    △4三歩
▲2二歩    △3三桂    
▲2一歩成  △1三香    
▲3一と    
と私は9筋の端に圧力をかけながら右辺でと金を作ることに成功。▲3一とに対し△5四銀と角取りに出た手が悪手で、
▲同 角    △同 飛    
▲3二と    
と角と金銀の2枚換えに成功し先手優勢。以降はと金を活用して右辺を攻め込み、駒得を狙います。しかし下図の局面からの3手1組を手順前後したことで形勢がもつれます。
 


本譜は下図から   
▲1三銀不成△6八角
▲4六桂    
と香車を入手してから飛車取りを狙いました。しかし途中の△6八角が反撃の起点。▲4六桂と飛車取りで返すも△5七角の王手で食いつかれて飛車取りの桂馬を食いちぎられました。ここでは▲4六桂~▲1三銀成とすれば反撃のスキを与えることはなかったかと思います。
ただし、私も2枚の馬を作られるも金を使って馬を1枚取り、優勢を何とか維持します。以降も私は懸命の守りで自玉に隙を与えません。そして迎えた下図の局面。私に気持ちいい一手が来ました。
 




ここでの気持ちいい手の条件は
①相手の飛車と玉の位置
②自分の持ち駒
③自玉の安全度
という具合でしょうか。ほかにも局面次第で条件は変わってきます。さて本譜のこの局面では①相手の飛車と玉は同じ9筋にいます。そして②自分の持ち駒には香車があります。ここまでくれば香車を使った必殺技、「田楽刺し」が決まります。ただし、将棋の必殺技は相手に駒を与えるリスクもあります。その際に反撃をしのげるか否かのポイントが③自玉の安全度という訳です。今回の場合、先手玉は角の後ろに玉がいますので香車を渡すと田楽刺しの反撃を食らうリスクはあります。私はそのとき、角を渡しても大丈夫と判断して田楽刺しを決行しました。
その一手は▲9五香。飛車が逃げれば後手の負けなので取るか受けるかしかありません。本譜は相手は△9三歩と受け、以下
▲9四香    △同 歩
で飛車を取ることに成功します。以降は相手に馬の逃げ道を間違えてしまうミスもあって先手勝勢。終始リードを保って迎えた下図の局面。詰みがあったのに見逃してしまいました。    
 


正解の詰め手順は
▲8二金 △同玉
▲7二飛 △9一玉
▲8二角 △9二玉
▲7一角成
までの合い利かずの即詰みです。しかし私はその詰みが見えなかったのか
▲8二金    △同 玉
の後    
▲7一角    △9一玉    
▲7二成桂  
と詰めろをかけてしまいました。当然相手は△5七歩成から反撃を敢行して粘ります。
私は一転受けに回って粘りを押さえ込みます。幸い下段飛車の形が生きて反撃をかわすことに成功。結局155手にて私の勝ちとなりました。投了図は下図の局面です。
 


 
この一局を振り返ってみると勝ったことは良かったのですが、細かいところでミスが目立ち、優位を築いてからが長かったというのが率直な感想です。とはいえ、右玉で勝てたことはよかったと当時は思っていました。
 
さて、「コロンブスの卵」的な今回の右玉の正否ですが、あえて飛車先の歩を突かないことで模様をよくする点は工夫としてよかったものの、飛車先の歩を突いてないことがどう響くかという視点が欠けていたように思います。あと、本譜は相手の駒組みがそんなに堅くなかった部分に助けられた感はあります。これが美濃囲いのようなしっかりした囲いだったらどうなのかは検証の余地があったと思います。
なので1局だけで結論をだすのは難しいですが、振り飛車側の急戦との両狙いにどう対応していくかが難しいので、私が攻撃主体の将棋にモデルチェンジに踏み切った経緯があります。今回の私の将棋が、今後右玉に挑戦したい方の参考になればうれしいです。
 

以上が今月の将棋倶楽部24の結果です。現在のレートは662点。最高レートは1,106点です。このところレートが下がり気味なので、しっかりモデルチェンジを成功させたいと思います。なお、来週は将棋倶楽部24の実施はお休みします。8月の24の開始は8/6(木)を予定しています。

今日はここまでとさせていただきます。本日も長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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