こんにちは、税理士の正垣です。 


「99平米以下なら節税効果が高い」と聞いて、専有面積90平米の物件を選んだ社長。実は、その物件では特例が使えない可能性があります。

なぜなら、税務上の床面積には「共用部分(エントランス、廊下など)」の按分も含まれるからです。

専有面積:90平米

共用部分の按分:12平米

合計:102平米 = 特例対象外!

こうなると、自己負担2割の魔法は解け、通常の50%負担(またはそれ以上)が必要になります。 特に都心の高級マンションは共用施設が豪華なため、想定外に面積が膨らむケースが多発しています。契約前に必ず「登記簿上の面積」と「共用部分の比率」をプロに確認させることが重要です。

 

こんにちは、税理士の正垣です。 前回、社宅にすれば家賃の半分を経費にできるとお伝えしましたが、実は「もっと個人の負担を減らす方法」があります。

それが「小規模住宅」の特例です。

マンションの場合、床面積が99平米以下(木造なら132平米以下)であれば、国税庁が定める計算式(固定資産税評価額ベース)を使って家賃を計算できます。これを使うと、驚くことに社長の自己負担は実際の家賃の20%程度まで下げられるケースが多いのです。

例:家賃20万円の場合

  • 通常:個人負担10万円(50%)

  • 特例:個人負担 4万円(20%)

なんと差額の16万円(年間192万円!)が会社の経費になります。法人税率を30%強とすると、年間で約64万円もの節税になる計算です。

ただし、この特例を受けるには「面積」の判定が非常にシビアです。その詳細は次回解説します。

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

社長、毎月支払っているその家賃、まさか「個人の財布」から全額払っていませんか? 実は、自宅を「役員社宅」として法人契約にするだけで、家賃の約半分を経費に落とすことが可能です。

なぜ家賃が経費になるのか?

会社が家主に家賃を支払い、それを社長に「貸し出す」形を取るからです。 ただし、ここで注意が必要なのは「タダ」で住んではいけないということ。

もし無償で住んでしまうと、その家賃分は「社長への給与(役員報酬)」とみなされ、所得税や住民税が跳ね上がってしまいます。 そのため、一般的には家賃の50%程度を社長から会社へ「賃料」として支払うのが安全なラインとされています。

例:家賃20万円の場合

  • 法人が20万円支払う

  • 社長が10万円を会社に払う

  • 差額の10万円が法人の経費(損金)になる!

これだけで、会社の利益を圧縮しつつ、社長個人の手出しを減らすことができます。 でも、実はこれ、「もっと経費率を上げる方法」があるのをご存知ですか?

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

全6回にわたってお届けしてきた「役員貸付金」シリーズも、いよいよ最終回です。 これまでは「溜まってしまった後の対策」をお伝えしてきましたが、最も大切なのは「そもそも貸付金が発生しない仕組み」を作ること。つまり、会社と個人の財布の「黄金バランス」を整えることです。

1. 役員報酬は「手残り」で決める

節税や社会保険料の削減ばかりを優先して役員報酬を低くしすぎると、結局、生活費が足りずに会社のお金に手をつけることになります。 大切なのは、「自分の生活には最低いくら必要なのか」を把握し、そこから逆算して報酬を決めること。無理な節税は、かえって「役員貸付金」という大きなコストを生む原因になります。

2. 「会社のお金」という意識をアップデートする

1人社長にとって、会社のお金は「自分が稼いだ金」に違いありません。しかし、法的には「他人(法人)の金」です。 この意識のズレが、決算書を汚す原因になります。

  • 個人の買い物は個人のカードで

  • 会社の経費は会社のカードで この「当たり前」を徹底するだけで、役員貸付金の発生はほぼゼロに抑えられます。

3. 定期的な「健康診断」を

決算書の汚れは、気づかないうちに溜まっていきます。 半年に一度、あるいは毎月の試算表で「貸付金が増えていないか」をチェックする。もし増えているなら、その場ですぐに原因を特定し、役員報酬の再設定を行う。このスピード感が、健全な経営には欠かせません。


【最後に:正垣事務所からのメッセージ】 役員貸付金は、放置すればするほど解消が難しくなる「経営の重荷」です。 しかし、正しく向き合い、一つずつ解決していけば、銀行からも、税務署からも、そして将来のご家族からも信頼される「強い会社」に生まれ変われます。

あなたの会社の決算書を、誇れるものにしましょう。 私たちが、その伴走をいたします。

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

役員貸付金の問題は、社長が生きている間だけの話ではありません。もし、多額の貸付金を残したまま社長に万が一のことがあったら……。 実は、これが残されたご家族にとって最大の悲劇になることがあります。

1. 「使ってしまったお金」に相続税がかかる

役員貸付金は、会社にとっては「社長に貸しているお金(資産)」です。つまり、相続が発生した際、それは社長の「借金」ではなく、相続人が引き継ぐ「債権(財産)」とみなされます。 手元に現金がなくても、帳簿上の貸付金が5,000万円あれば、国は「5,000万円の価値がある財産」として相続税を計算します。お金はすでに使って手元にないのに、税金だけは容赦なくかかってくるのです。

2. 相続人が会社から返済を迫られる

さらに過酷なのは、会社を誰かが引き継いだ場合です。会社に残った貸付金は、新しい経営者(あるいは銀行)から「返してくれ」と相続人に請求される可能性があります。 社長が生前に会社から引き出したお金を、遺族が身銭を切って返済しなければならない……そんな事態になりかねません。

3. 事業承継の大きな足かせ

次世代に会社を譲ろうとしても、決算書が役員貸付金で汚れていると、スムーズな承継は不可能です。後継者に「負の遺産」を押し付けることになってしまいます。

役員貸付金の解消は、社長ご自身の「経営責任」であると同時に、ご家族への「愛」でもあります。


【本件に関するお問い合わせ先】 税理士 正垣事務所では、事業承継や相続税対策も見据えた役員貸付金の解消支援を行っています。 「家族に苦労をかけたくない」「自分の代で綺麗にしたい」という経営者様。万が一の時にご家族が路頭に迷わないよう、今から準備を始めましょう。まずは当事務所へご相談ください。

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

これまで、役員貸付金がいかに銀行融資や税務調査で不利になるかをお伝えしてきました。 「もう手遅れだ…」と諦める必要はありません。時間はかかりますが、正しい手順を踏めば決算書は必ず綺麗になります。

本日は、その具体的な「解消ステップ」を公開します。

ステップ1:役員報酬の適正化と「天引き返済」

最も確実で現実的な方法は、役員報酬を「生活に十分な額」まで上げることです。 その上で、増額分をそのまま会社への返済に充てます。毎月コツコツと返済の実績を作ることで、銀行に対しても「解消の意思がある」という強力なアピールになります。

ステップ2:「金銭消費貸借契約書」の締結

「いつまでに、いくら、何%の利息で返すのか」を明記した契約書を今すぐ作成してください。 これがないと、税務署に「貸付ではなく賞与だ」と言わせる隙を与えてしまいます。実態として「借りているもの」であることを客観的な証拠で固めるのが鉄則です。

ステップ3:財布を物理的に分ける

今後、貸付金を1円も増やさない仕組みを作ります。会社のカードと個人のカードを明確に分け、「会社のお金は1円たりとも私的に使わない」という運用を徹底します。当たり前のように聞こえますが、これが最大の防御です。

最後に:一人で悩まずプロの伴走を

役員貸付金の解消には、所得税と法人税、そして社会保険料の絶妙なバランス計算が欠かせません。自己流で報酬を上げすぎると、逆に税負担で首が回らなくなることもあります。

あなたの会社の状況に合わせた、「最短・最安の解消ルート」を一緒に描きませんか?

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

「自分の会社からお金を借りるのに、利息なんていらないだろ」 そう考えている社長、実はその考えが税務調査で命取りになります。

税務署は「会社」と「個人」を厳格に別物として見ます。会社が社長にお金を貸しているのに利息を取っていない場合、税務署はこう判断します。 「本来取るべき利息を取っていない=その分、社長に給与(ボーナス)をあげたのと同じだ」

これが恐ろしい「認定利息」の落とし穴です。

1. 「認定利息」という見えない税金

会社は利息を受け取っていなくても、税務上は「受け取ったもの」として法人税を計算させられます。さらに、社長個人も「利息相当額の得をした」として所得税・住民税が課せられます。1円も現金を動かしていないのに、税金だけが増えるのです。

2. 最悪のシナリオ「役員賞与認定」

もっと怖いのは、貸付金の実態がないと判断された時です。「これは貸し付けではなく、実質的な役員報酬(ボーナス)だ」と認定されると、会社側では経費として認められず(損金不算入)、社長個人には所得税と社会保険料の追い打ちがかかります。

まさに、会社と個人の両方からお金が吸い取られる「最悪の二重課税」状態です。

3. 税務署は「実態」を見ている

契約書もなく、返済もされていない貸付金は、税務調査官にとって絶好のターゲットです。「うちは大丈夫」と思っている間に、リスクは膨らみ続けています。


【本件に関するお問い合わせ先】 税理士 正垣事務所では、税務調査で指摘を受けないための「適正な金利設定」や「貸付金の適正な処理」のアドバイスを行っています。 「税務調査が不安だ」「認定利息がいくらになるか怖い」という方は、手遅れになる前にぜひ当事務所へご相談ください。

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

決算書上、役員貸付金は「資産」の欄に並びます。会社が社長にお金を貸している以上、理論上は「いつか返ってくるお金」だからです。 しかし、銀行員の目は全く違います。彼らは貸付金を見た瞬間、心の中でこう呟きます。

「あぁ、この会社の資産は、実質マイナス(欠損)だな」と。

なぜ、銀行は役員貸付金をこれほどまでに嫌うのでしょうか?

1. 「返ってくる見込みがない」と見なされる

銀行にとっての資産とは、将来キャッシュを生むものです。しかし、役員貸付金の多くは、生活費や私的な支払いに消えてしまっています。銀行はこれを「会社から社長への資金流出」と捉え、実質的には価値のない「穴の空いたバケツ」だと判断します。

2. 「公私の区別」ができない経営者への不信感

銀行が最も重視するのは、経営者の資質です。多額の貸付金があることは、「会社のお金と自分のお金の区別がついていない」という動かぬ証拠になります。「追加融資をしても、また社長の私生活に消えるのではないか?」という不信感を持たれたら、融資の審査を通るのは絶望的です。

3. 自己資本比率の悪化

銀行の格付け審査では、役員貸付金の額を純資産から差し引いて計算します。表面上の決算書が黒字でも、貸付金のせいで実質「債務超過」と判定されるケースは少なくありません。

融資が必要になってから慌てても、汚れた決算書をすぐに綺麗にすることはできません。銀行との良好な関係を保つためには、「今」この貸付金をどう解消していくかの計画が必要です。


【本件に関するお問い合わせ先】 税理士 正垣事務所では、銀行融資を有利に進めるための「決算書の磨き上げ」を支援しています。 「融資を断られた」「貸付金をどう説明すればいいか分からない」という経営者様。銀行との交渉を優位に進めるための戦略を、共に立てましょう。まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。

こんにちは、税理士の正垣です。

1人社長や同族経営の決算書で、必ずといっていいほど問題になる項目があります。それが「役員貸付金」。 「自分の会社のお金を自分で使って何が悪い?」と思われるかもしれませんが、実はこれ、放置すると会社を倒産に追い込みかねない「決算書のガン」**なんです。

なぜ「役員貸付金」は溜まっていくのか?

理由は大きく分けて2つあります。

  1. 公私の混同:会社のカードで私的な買い物をしたり、生活費を会社の口座から引き出したりする。

  2. 役員報酬の抑制:社会保険料や所得税を抑えるために報酬を低くしすぎた結果、足りない生活費を会社から補填してしまう。

これらは経理上、そのままでは経費にできません。税務調査で「役員への賞与(多額の課税)」として叩かれないよう、税理士がやむを得ず「貸付金」として処理することで、雪だるま式に増えていくのです。

「借金」を放置するリスク

「紙の上の数字だけのことだろ?」と甘く見てはいけません。 多額の貸付金がある会社に対し、銀行は「この社長は公私の区別がつかない」「会社のお金を私物化している」と判断し、融資の蛇口をピシャリと閉ざします。

「役員貸付金」は決算書の大きな「汚れ」です。 あなたの会社の決算書は大丈夫ですか? 膨らみすぎた貸付金を放置していませんか?

当事務所では、この「汚れ」を適正な手順で解消し、銀行から信頼される決算書へ再生させるための個別相談を承っております。


【本件に関するお問い合わせ先】 税理士 正垣事務所では、役員貸付金の解消計画から、社会保険料を最適化する役員報酬の設定まで、経営者の手元現金を最大化する戦略的なコンサルティングを行っています。 「貸付金が溜まっていて不安だ」「融資を受けたいが決算書に自信がない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

こんにちは、税理士の正垣です。

全10回にわたってお届けしてきた本連載も、今日がいよいよ最終回です。 ある芸能人の息子さんが選んだ「相続放棄」というニュースから始まり、長崎年金事件の奇跡的な勝利、そして不動産や株式の承継に立ちはだかる「二重課税の壁」について、法理と実務の両面から深く掘り下げてきました。

最後に、私たちが直面しているこの「税制の真実」について、一つの結論を出したいと思います。

1. 裁判所の理屈と、国民の生活実感の断絶

この連載を通じて浮き彫りになったのは、裁判所が守り続けている「形式的な法理」と、私たちが日々感じている「生活実感」との決定的な乖離(かいり)です。

裁判所は「課税の原因が違えば、何度課税しても二重取りではない」と言い張ります。しかし、一生をかけて築いた知的財産や不動産、あるいは心血を注いだ自社株に対し、相続の瞬間にその価値を吸い上げられ、さらに入ってくる収益にも課税される構造は、納税者の目には「国家による略奪」と映っても不思議ではありません。

特に知的財産権の問題は、まだ手元にない「将来の稼ぎ」に相続税をかけ、現実の稼ぎに所得税をかけるという点で、かつての長崎年金事件と酷似しています。それにもかかわらず、救済の道が狭められたままなのは、極めて不条理だと言わざるを得ません。

2. 「アメとムチ」を使い分ける国家への向き合い方

2026年現在、国は中小企業に対して、賃上げ促進税制や固定資産税の軽減措置、あるいはM&Aを支援する準備金制度など、多くの「アメ(支援策)」を提示しています。これらは確かに、事業を伸ばすための強力な武器になります。

しかし一方で、相続という出口には、本連載で解説したような重い「ムチ(二重課税)」が用意されています。 「国は事業を成長させることは応援するが、その結果として蓄積された富を引き継ぐことには非常に厳しい」。これが、今の日本の現実です。

だからこそ、私たちは「ただ真面目に稼いでいれば報われる」という思考を一度捨てなければなりません。制度がちぐはぐであるならば、私たちはその制度を徹底的に学び、合法的かつ論理的に、自分たちの努力の結晶を守り抜く必要があります。

3. 税理士として、私が信じる「本当の節税」

私が考える本当の節税とは、単に税金を安くすることではありません。 それは、「次世代が、安心して事業や創作活動を継続できる環境を整えること」です。

相続放棄を選ばざるを得なかった芸能人の息子さんのような悲劇を繰り返さないために、私たちができることはたくさんあります。 権利を法人化し、所得の性質を変えること。国の支援策(措置法)を最大限に活用し、現金の流出を抑えること。そして何より、自分たちの権利の価値を正しく知り、早い段階から出口戦略を立てることです。

不条理な税制に嘆くだけでは、財産は守れません。 「無知は最大のコスト」であり、「知識は最強の防衛策」です。

全10回、長きにわたりお読みいただき、本当にありがとうございました。この連載が、皆様の大切な財産と、その裏にある想いを守るための一助となれば幸いです。


【本件に関するお問い合わせ先】 税理士 正垣事務所では、相続税・所得税の二重課税リスクの分析から、最新の優遇税制(賃上げ・投資促進など)を組み合わせたオーダーメイドの財務戦略をご提案しております。 「自分の場合はどう守るべきか」という具体的なご相談は、お電話または当事務所の問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。