これは、ややこしい内容でした。
これを読んで女性とは、男性とはっていうことがよく考えられたと思う。
評価
★★★☆☆
内容
登場人物は
主人公である哲郎は、学生の頃アメリカンフットボールに心血を注いでいた。
そして、哲郎の妻である理沙子もアメリカンフットボールのマネージャーだった。
社会人になってからも、その頃の仲間と定期的にあって昔話をしながら酒を飲み交わしていた。
いつも通り酒を飲み交わし、帰るタイミングで、いつもは顔を出さない理沙子とは別のもう一人のマネージャー美月と偶然再会した。
その再開した美月の告白から物語は大きく動き出す。
①美月は女の身体を持ちながらも心は男性なのだということ
②美月は人を殺してしまったこと
③美月と哲郎は一度肉体関係をもったことがあること
④美月は理沙子のことを恋愛的に好きだということ
美月の犯罪を隠蔽し、美月にとっての幸せを願う哲郎と理沙子は美月を家でかくまう。そして、警察に美月が捕まらないように状態把握のために事件の内容を警察の動きを把握しようとする。
しかし問題はもっと大きかった。
美月のほかに、性へのギャップを感じる人たちが出てくる。
①女性の肉体を持ちながら女性を好きになる人
②男性の肉体を持ちながら女性の肉体、人生を望んだ人
③女性の肉体でありながら、心は男性で女性を好きである人
④男性、女性どちらの機能を持ち(半陰陽)ながら女性として生きている人。
男性のことが好きだけど、自分で子どもを産むことも産んでもらうこともできない。
運動選手だけれど、女性として出場してもいいのか、…といった問題まで
この小説では広げられた。
話はそれたけども、その性とのギャップを感じた人たちが集まって
戸籍ごと、生まれ変わろうという動きがあった。
これまでの人生を捨てて、正真正銘別の人間として生まれ変わる。
自分自身が望む性を全うするように。
そういった動きが美月の殺人事件には絡まっていた。
ちなみに、美月は人を殺していなかった。
人殺しになったのは、美月の元カレだった。
美月を助けようとしたとき、とっさに殺してしまっていた。
話変わるが、理沙子と哲郎の仲もよろしくなかった。
自分の仕事に誇りをもって働く理沙子と
家庭にいてほしいと願う哲郎。
左目がほとんど見えなくなっていた哲郎と
そんな大切なことを本人の口から伝えてほしかった理沙子
美月の性のギャップも興味深かった。
理沙子の前では美月は男の子だった。
哲郎や親父さん、元カレの前では、女の子だった。
成人式の写真でも女の子の顔だった。
この本に登場する自分の性とのギャップを感じる人たちは、
女性らしい、母性に帯びた表情や男の人の筋肉美を持つ人などがいた。
「完全な女性、男性なんていない。みんな女性らしい部分も男性らしい部分も持ち合わせていて、割合が多様であるだけなんだ」と理解した。
感想
正直、最初面白くなくて、途中で読むのをやめようかなと悩んだ。
結局読んだけど。私がフットボールについての知識があれば面白く読めたのかも。
最近親戚とジェンダーの話になった。
性とのギャップを感じている人がホルモン療法を行い、
ホルモンのバランスにギャップが生じることで
自殺につながってしまうことがあると知った。
男性ホルモンの影響で髪の毛が薄くなる現象。
女性ホルモンの影響で心理面が不安定になること。
確かにどちらもものすごく大きなショックにつながるだろうなと思った。
私もその立場に立つとつらいものがある。
女性って何だろう、男性って何だろう。
女性:ルックスの良さからハンデがある、家庭につくことを望まれる
男性:力仕事を任されがち、仕事に専念できる
難しい問題だよなぁって考えさせられた。