日本では生活に必要な手仕事があった。それは庭仕事、畑仕事、縫い物、織物、染色、編み物、木工など日常に当たり前にあった。しかしそういう時代はとうに過ぎた。学校の家庭科以外で針と糸、布地に触ったことがない人も珍しくない。

 

手仕事に憧れ、ぜひやりたいという趣味の人は居る。しかし、隔週販売のシリーズキット品の売れ行きは書店の棚をみるとよくないようだ。人気キャラクターもの、刺し子、つまみ細工が続くのみである。

 

いまや人口の半分以上が中高年である。「昔はやったけどね、今はできなくなった」と細かい根気のいることを止めたという人も居る。

 

リハビリや施設の作業療法、障害者支援施設でも指導できる人、やりたい人が少なくなっているような気がする。手間もかかることを潤沢に人や物の資源を使って行える余裕がないのかもしれない。

 

推測ばかりの物言いだったが、数年前に精神科の現場の工芸作業や扱う内容を調査したことはある。現場では手工芸は簡便な方向へとシフトし、コミュニケーションや日常生活の技術や管理、心理支援のほうに時間を割いていた。

 

北茨城、五浦に行ったときに美術企画展と並行して一般ギャラリーでは「手仕事展」が開催されていた。閑散とした企画展ではなく「手仕事展」は20人~30人以上の中高年の女性が来ていて、たいそう楽しそうであった。にぎわっていた。

キルトの大作が並んでいる。日常の合間にコツコツと作った感じである。同じような光景が北陸や東北への旅であったことを思い出す。手仕事が大事にされているなあと感じることがある。

 

100円ショップでは簡易手芸の材料のコーナーがかわいく置いてある。やろうとする若い人は一定以上いるのかもしれない。手仕事はどうなっていくだろうか。