まだ頭がぼーっとしたまま、納棺の儀を執り行った。

手甲、脚絆、白装束、あの世への渡り賃の三文銭を身に纏わせながら。。。

白装束の主人を見つめながら、それは改めて死と向き合う時間だった。

遺影はほんの気まぐれに何年ぶりかで2ヶ月前にある、ゆるキャラの前で撮った写真にした。

その写真はいつも気難しい顔をした主人が、わたしの冗談に満面の笑顔を浮かべたそんな貴重なショットだった。

あの時はまさかこの写真が遺影になるなんて思わなかった。


夕方になって会社関係の方が参列に来てくださった。

その中にとても懐かしい方々がいらしてくださった。

主人は若い頃はテニスや大型バイクに乗っていてサークルやツーリングによく出かけていた。

わたしも一緒に着いていって結婚する時も皆さんから祝福された。

それから転職したり、会社を変わった人もいてまた会うのは20年ぶりくらいだろうか。

まさか来てくださるなんて。

〇〇がこんな事になるなんて、〇〇ちゃんなんて言葉をかけていいか分からないよ。

聞けばLINEの連絡網が回って皆さん主人の死を知って駆けつけてくださったそうです。

わたしはその時にあっ、主人はこんなにもみんなに慕われていたんだと思った。

そして人の絆ってすごいな、ありがたいな

悲しみの中だけどじんわりとしんみりと暖かいものに包まれていった。