放射線治療が始まり、毎日病院に通うことになった。

毎日顔を合わせるのは、二人の技師さんである。



○優しい目の年配の男性。とにかく目が優しい。


○小動物のように目がくりくりしている若い男性。小動物と名付けよう。



まずは身体の照射する部位がずれないように、黒マジックで線を引くことから始まった。



同じところに照射し続けねば意味がないからだ。

つまり、私はロボのように身体に線を引かれた状態で1ヶ月を過ごすこととなった。


1ヶ月の中で、もちろん線は薄まっていくので薄くなってきたら途中で書き足すというわけだ。




1ヶ月間は胸元の空いた服は着られず、奇しくもその間に教え子の卒業式があったため、首元にはスカーフを巻いて参列した。

よもや生徒たちも私がロボ化しているとは到底思うまい。





余談だが、口の端に線を引くとロボじみてくるのは何故だろうか。


「細かすぎて伝わらないものまね選手権」で、かつて審査員をしていた芸人さんがやっていたメイク、あれである。


よく小学校に来る、交通安全人形マモルくんみたいな、あれである。



これである。




身体に線を引かれている1ヶ月間、なんとなくこの人形のことが何回も頭をよぎった。