E.H.ウェーバーは,

 

基礎刺激量の強度をI,これに対応する「弁別閾」をΔIとすると,

 

 

という関係が成立する。

ここでCwはウェーバー比であり,定数である。

また,弁別閾(JND:just noticeable difference)とは,

 

感覚上,丁度感知可能な物理刺激の最小変化量

 

の事で,丁度可知差異とも言う。

 

この式(1)を日本語にすると,

 “「弁別閾」と「初めに存在する刺激量」の比は一定である”

という法則である。

 

日本語になっているのか?

と思ってしまうくらい,分かりにくい文章かも知れませんが・・・。

 

例えば,

「100[Hz]の音を鳴らし,1[Hz]ずつ周波数を上げていく時,

何Hz上昇したら認知出来るのか」

という実験をします。

 

Aさんは110[Hz]になった段階で,

「音が高くなった!」

と気付いたとします。

この場合,(1)において,

 

 

であるので,

 

 

と,定数Cwの値が 1/10 

であることが分かりました。

よって,Aさんの場合には,

 

 

が常に成り立つということです。

これにより,1000[Hz]の音を鳴らした場合,Aさんは,

 

 

となるので,Aさんは,

 

“1000[Hz]の音を鳴らした場合,1100[Hz]になった段階で,

「音が高くなった!」

と気付くことが出来る”

と,推測出来るわけです。

 

重要な点は二つです。

 

・基礎刺激強度Iが同じ場合,感覚量の増分は刺激強度の増分に比例する。

 上記の実験において,

 20[Hz](刺激強度の増分を2倍に)に増加したら,

 感覚量の増分も2倍になるという事です。

 10[Hz]増加するより,20[Hz]増加した方が,

 高い音になったと感じるのは,まあ当たり前ですね。

 

 

・刺激強度の増分に対する感覚量の増分は、基礎刺激強度Iに反比例する。

 上記実験の初期条件の周波数(基礎刺激強度)を

 100[Hz]から1000[Hz]にした(基礎刺激強度を10倍にした)場合,

 同じ感覚量を得る為には100[Hz]の増分が必要なわけですから,

 10[Hz]当たりの感覚量の増分は100[Hz]の時の1/10ですね。

 

この後,弟子のグスタフ・フェヒナーによりこの法則が拡張されます。

次回に続きます。