10月4日に開催された【2020 Virgin Money London Marathon】(通称、ロンドンマラソン)に出場して来ました。

 

まず結果です。

 

 

4位でした。

 

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ロンドンマラソンは本来、4月26日に開催予定でしたが、コロナウイルスの影響で延期となっていました。

また、今年で第40回の記念大会でしたが、大会規模も縮小されエリートランナーのみでの開催。

更にはコースも変更となり、例年のフィニッシュ地点をそのまま使用した周回コースとなっていました。

 

コースは2.135kmを19.76周。

分かりやすく言えば、2kmちょっとを20周です。

距離を合わせるために1周目のスタート地点をフィニッシュ地点から505m前方にズラしています。

 

また、車いすの部に限り、途中にスプリントボーナスが設けられていました。

フィニッシュゲートからスタートゲートまでの505mを1番速いタイムで通過した人に賞金。

更に賞金と同額をチャリティーとして獲得選手が選んだ団体に寄付。

と言った内容のイベントのようなものです。

近年のメジャーマラソンでは、必ず1ヶ所この様なボーナスが設けられています。

(大会毎に詳細は違います)

しかし今回は、42.195kmのマラソンの中で4度あり、レースを左右するような内容でした。

スプリントボーナスは、5,9,13,18周目にあり、最後の1本はラスト2周目となる為、かなり大きな影響がありました。

 

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以下、レースの内容や詳細、感情等です。

 

スタート直後から8人の集団になりました。

メンバーは、日本人の洞ノ上選手、西田選手。

地元イギリスのデイビット選手、ジョンボイ選手。

スイスのマルセル選手。カナダのブレント選手。

スペインのジョルディ選手。

そして私でした。

 

 

20分頃、ジョンボイ選手がパンクリタイヤしましたが、特にアクションのないまま、最初のスプリントポイントを迎え、そこでようやく集団が動き、選手がバラける形になりました。

私は集団の1番後ろにいた為、出遅れる形になってしまいましたが必死に前を追いかけ、ブレント選手とデイビット選手に追い付きました。

しかしその時、更に前にマルセル選手が1人で飛び出していました。

 

私の今回の目標は「最後まで先頭集団で走ること」だったので、ためらわずに2人を抜き、前を行くマルセル選手を追いかけました。

しかし、なかなか差が縮まらないまま私の体力が消耗し、後ろの2選手にも追いつかれてしまいました。

通常ならここで3人になった集団で前を行く選手を追いかけるのですが、2人の後ろにつく事が出来ず、1人-2人-1人とバラバラで走る形となってしまいました。

なんとか1.5~2秒差で前を行く2人を追いかけていたら、前の2人がマルセル選手に追いついてくれて、マルセル選手がそこで逃げるのをやめたので、ペースが落ち私も追いつく事ができ再び先頭集団となりました。

その際、私の後ろにいた選手もみんな追いついて来て、再び7人の集団になりました。

 

展開によっては、ここで勝負がついている様な重要な場面でした。

ペースが落ちてくれたので、助かった感じです。

 

54分過ぎに同じ集団にいた西田選手がパンクリタイヤし6人の集団に。

 

その後も、スプリントポイント以外で目立ったアクションはなく、最後まで集団のままレースは進みました。

 

ただ、レース中に圧倒的なスプリント力を持っているのは、カナダのブレント選手だと感じました。

同じ集団にいた、僕を含め全選手がそう感じていたはずです。

それぐらい1人抜き出ていました。

 

スプリント力という部分においての僕の感覚では、その次にデイビット選手とマルセル選手の力があると感じていました。

デイビット選手は、自らアクションは起こさないものの、他の選手のアクションに毎回素早く対応していました。

マルセル選手は、何度かアクションを起こしたりしていましたが逃げ切るには至らず。

 

私はというと、大会前にスイスでマルセル選手と2ヶ月間一緒にトレーニングをさせていただいており、今大会は上手くいけばマルセル選手に勝つチャンスがあると思って臨んでいました。

レース中にもやはりチャンスはあると睨んでおり、2,3位争いに絡めると思っていました。

 

しかし、ラスト2周のスプリントポイントで気づいてしまいました。

私自身にもう力が残っていない事に。。

 

 

それでもラストのスプリント勝負は、ポジション次第で表彰台のチャンスはあると思っていましたが、4番手からのスプリント勝負にしてしまいました。

 

結果、ブレント選手は圧勝。

デイビット選手にも差を広げられ、マルセル選手には迫る事は出来ましたが差しきれずに4位でゴール。

 

レース後に、こういうレースでチャレンジャーになりきれない自分に腹が立ちました。

 

あの位置からスプリント勝負をしてる様じゃ勝ち目なんかありません。

 

少しでも前で勝負をしなくてはいけない立場にもかかわらず、最後にへばって漕げなくなる事を恐れ、体力を残す為にアクションをせず、4番手のままスプリントを迎えてしまいました。

本来、そんな事を恐れずに、少しでも前でスプリント勝負を迎えるという事をしないといけない立場にも関わらず。

 

 

今回の集団は、私以外の全選手がパラリピアンで、各国のレコードホルダー達がいました。

誰がどう考えてもチャレンジャーの立場で、もちろん私もそのつもりでしたが、無意識にリスクを恐れる小さい走りになってしまった事を悔やんでいます。

 

競技を始めてから私自身の力がつく度に、新たな課題や弱点が見えて来ましたが、今回もそういう事だと自負しています。

 

2012年ロンドンパラの金メダリストのデイビッド選手、2016年リオデジャネイロパラの金メダリストのマルセル選手に勝てる可能性を感じた結果の精神的な弱さです。

 

勝てる可能性を感じる事自体が弱さと言われるかも知れませんが、私はいつもレース中に客観的にレースを見ています。

その時に感じていた事です。

この事に関しては、決して間違っていなかったと思っています。

 

 

コロナウイルスの影響で、次回いつ対決できるかは決まっていませんが、次に戦うその日までに必ず心身共に成長して、次は彼らと競り合いたいと思います。

 

その時は、本当のチャレンジャーになりきれる様、精進します。

 

 

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長いブログになってしまいましたが、7ヶ月振りのマラソンは、楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。

また、今回レース中に感じている全ての感情がレース以外では感じることの出来ないものでした。

 

この状況下で大会を開催してくれた、ロンドンマラソン事務局、私を招待してくれたミッシェルさん。

海外遠征を理解してくれた、所属企業や家族。

本当に本当に多くの方々に感謝しています。

 

ありがとうございました!!

 

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次の大会は、11月15日に開催される「大分車いすマラソン2020」です。

日本人選手のみの出場ですし、沿道等での声援は自粛要請が出ていますので、テレビ放映等の情報が分かり次第、報告させていただきます。