にのの、スースーという寝息が聞こえてきた。起こさないようにそっと離れながら 仰向けに寝かせて、ソファの上にあったブランケットを掛けた。


スースー


にのの横顔が好きで、つい見つめてしまう。

丸みを帯びた可愛らしい鼻先。
唇から顎にかけての綺麗なライン。

相変わらず、色っぽい。


グラスに残っていたビールをグイッと一気に飲み干した。


はあ〜
葵ちゃんも、にののいいとこに、早く気付くといいんだけど。にのは、分かりづらいからな〜

クールに見えて、実は誰よりあったかい。見えない壁を自分から作る癖に、気付けば 壁の隙間からちょっかいだしてきて、かまって欲しそうにして、上目遣いでみつめてくる。

うーん、、あざと可愛いって、男にもいえるのか?いや、30過ぎて、それってどうかと思うけど...でもそれがにのらしさでもある。


ん...

フフッ


オレ、なんでこんなに にののこと、、
心配したり分析したりしてんだろ。



昔からの友人ってわけでもないのに。
ずっと一緒にいた大好きな人みたいな感覚。

前世、恋人だったとか?笑


にのの幸せばっかり考えてる自分に呆れる。

それに羨ましくもある。

誰かをこんなふうに柔らかな気持ちで好きになっているにのが。にのの恋愛相談にのりながら、なんだか自分までドキドキしたりワクワクしたり、楽しませてもらってる。


オレも遊べる子は.....
たくさんい過ぎるけど...

どうも昔から、本気で惚れるっていうのがよく分からない。好きか嫌いかは、わかるけど。ずっと一緒とか、オレの全部で好きとか.....理解出来ない。


にのが、葵ちゃんのことを話す時のような顔、オレは一生しないんだろうな。


恋愛に冷めてるんだと、自分でも思う。

燃えるような恋とか、100年先も愛してるとか、そんな言葉には 永遠に縁がないんだろーな。


まあそれが、オレらしいのかもしんないけど。

美容師っていう仕事は 天職だと思ってるし、自分の店を持ってからは、より仕事が楽しくて、女の子と遊んでる時間も勿体なく感じている。というより にのとこうしてご飯食べてるのが、至福の時...なんて思ってる。


スヤスヤ眠るにのの隣で、眠ることにした。


目の前のにのをみながら、明日の朝のにのの髪型をめっちゃカッコよくセットしようと、決心した。


打倒 葵ちゃん!
にのに惚れさせるぞ💪