楓が シャワーからでてきて
またしても ドアからちょこんと顔をだす。



かわいいし/////



きっと、オレがまた電話してないか
それの邪魔にならないか気にしてるんだ。




「…おいで。」



両手を広げて呼べば…トコトコと オレの前まで来て…ぴたっと 胸にくっついてくる。


ふわっと ボディーソープの香りが鼻腔をくすぐる。素肌に触れたくて、スウェットの下に手を潜り込ませて、背中にまわした。


スベスベの肌を指でなぞってく。



楓は 少し恥ずかしそうに、でも…嬉しそうにしながらそのままオレに抱きしめられてた。




愛おしくて…
大好きなひと



楓と暫く会えなくなるなんて…
考えたくもない。





「翔さん、、大丈夫ですか?」



「…大丈夫って、、」



「……とても辛そうな顔してます。…さっきよりも。」



楓は、オレの顔を覗き込みながら 心配そうにそう言ってくる。




「…はあ………全く、、困ったやつだ。」



「…困ったやつって、、私の事ですか?」



「ああ。…オレの心ん中、全部見えてるみてぇじゃん。さっきから。」




「それは、、専務の秘書ですから。専務の表情ひとつで、考えてることがわかるように努めてきましたから。それに 専務は…考えてることがすぐに顔にでてしまうタイプですし。とてもわかりやすいですよ。」



子供か、、オレは…



「……じゃあさ、オレが疲れて甘いもん食いてぇなぁーとかの時、いつもタイミングよく甘いもんでてくんのも、全て把握されてるからなのか?」



「当然です (๑•̀ㅁ•́ฅ)」



嬉しいけど、、
なんかモヤっとする気持ちを言葉にしてみる。



「……そーいうの、疲れたりしねぇーの?ずっとオレのこと…伺うみたいなさ…」



楓は 一瞬 キョトンとした顔になり、でもすぐに いたずらっ子みたいに笑った。



「楽しいです♡専務のこと観察するの(∩´∀`∩) 仕事している専務は カッコイイですし。お腹の空いた専務は 可愛いですし。。疲れていらっしゃる時は 少しでも空いた時間に休ませてあげられたら…って 思ってました。」



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秘書としてだと言うのだろうけど…
それって…



「…ずっと、オレのこと、、好きだった?」




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真っ赤になった楓が ぎゅっと抱きついてきた。



「//////////そんなこと、知らないです」



って、言いながら。



なんだろこの可愛さ、、
甘えてくる楓が 無性に可愛い。



守んなきゃな。オレが。

全て解決してから、元に戻ればいいんだから。



サラサラの髪を指で掬いながら…



「…このまま少し話していいか?」



と、問えば、、すぐになんの話か気付いたのであろう楓は、ぎゅっうううっと、抱きしめてくる。



「はぃ。いいですよ。このままで。」



「さっきの電話、オレが懇意にしている探偵事務所の人なんだ。工藤のことも調べてもらってたんだけど、そしたら…オレが今までやってきたことで、恨みを持ってる奴が複数いるらしくて…」



「…はい」



「…そいつらが、オレじゃなくて楓をターゲットにする可能性があるんじゃないかって。。女性だし、狙いやすいし、オレへのダメージは最大限だし。あ、もちろん可能性だから、絶対ってわけじゃ…」



楓のぎゅっっが、、緩んでく…



「…それで、、その、、、楓と付き合ってること、会社では 隠した方がいいんじゃないかって。」




「……はい。」



「……」



「…翔さん?」 



「…探偵は そう言ってたけど、、オレは 少し距離置いた方がいいかもしんねぇーって、思う。楓になんかあったら、ヤだし。んなの、ぜってー嫌だからっ!!」



力いっぱい抱きしめると、楓は 子供をあやしてるかのように 背中をトントントンと してくる。



そして…



「……それだけですか?」



と…。




へ?



それだけって…。



酷くね?



距離置こうって、オレ言ったよな…?
全然へーきってこと?


つーか、誰か わかんねぇー奴に 何かされるかもしれない不安は?




楓の真意が知りたくて、顔を覗くと
頭を…イイコイイコと、撫でられた。










撫でてるその手を取り、楓を真っ直ぐみつめた。



「怖くねぇーのか?オレの前で 無理しなくていいんだよ。」




「怖くないと言ったら 嘘になりますが…その件は 既に把握しておりましたので。覚悟を決めてたつもりです。」




…既に把握?


…覚悟を決めて…た?



「…は? どういう意味だ? 覚悟って。つーか 誰に聞いたんだよ」




意外な言葉に 思わず問い詰めるような口調になった。けれど、楓は 表情ひとつ変えずに…




「…専務、先に私の質問に答えて下さい。」



と、静かに言い
キリッとした瞳でオレをみつめる。



その瞳は オレに落ち着きを取り戻させて。
心が静かに…なってきた。





質問って…


それだけですかって、、、やつだよな。



いや、それだけじゃねぇーけど。
けどそれは、楓には言わないつもりだ。


工藤が企んでいた話を 楓にすることは出来ない。



楓が どれほど傷付くか…
工藤を守ろうとさえしていたのだから。





「……ああ。それだけだ。」



「クスッ」



「何がおかしい?」



「翔さんは、嘘が下手ですね。」



( ˘•ω•˘ ).。oஇ
「おまえなぁ。」



「もうここまできたら、話した方がいいですよ。…私に関係することですよね? その話も。…でしたら、話してください。なにも気を使わないでいいですから。」




「…………いや。口が裂けても言いたくねぇし。」




「……月曜の会議の後の事じゃありませんか?工藤さんが 私名義で部屋を」




「ちょ、ちょっと待て!! ……それ、誰から聞いたんだ?」




慌てるオレに…
至って冷静な楓。

甘々な可愛い楓は 何処へやら…
今は キリッと秘書然とした 楓がそこにいた。