暫くして、


兄貴から メッセージがきた。



『今から そっちに向かう。工藤に右手を刺された。たいしたことはないけど、出血が酷いから病院に行くつもりだ。』 




すぐに 二宮にメッセージの内容を話す。



「…じゃ、オレは 自分の車で 後着いてくから。ああ、森村の後…ね。……工藤、、やっぱ あいつ なんとかしねぇーとな、、翔さんのこと 刺すって…わけわかんねぇーわ。




そう言って 車から降りて、自分の車に向かう…

ん?なんだ 隣の車を…見てる?

いや、気のせいか?



二宮は オレと目が合うと、ニヤリと笑って 自分の車の方へ行った。








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兄貴の知り合いの病院に着いて、2人が降りる。
オレは 駐車場で待つことにした。



病院までの走行中、森村らしき車が 後ろを走っているのを バッグミラーで確認していた。


さすがに、病院の駐車場には 入って来なかった。どうせ近くで 停めて待ってるんだろう。きっといつまでもパンクしなくて、イライラしているだろうな。



でもこのままだと、、
兄貴の自宅に帰ることになる。


森村が 既に 兄貴の自宅を把握しているのかどうかはわからないが、もしまだ知らないのなら、あえて案内するようなことは したくなかった。



二宮からの連絡を待っていたが、いつまでもこないから、こっちから連絡した。



「もしもし、今どこだよ?」



「んー。まだ ホテルの駐車場。」



「は?…なにやってんだよ。こっちは もう病院着いてんのに。後ろ、走ってたんじゃねえーのかよ?」



「証拠、みつけちゃったからさ。今 手に入れたとこ。じゃ、そっち行くわ。病院どこ?」



「○○病院。って、、えっ…証拠?なんの?…手に入れたって、、」



「んー。会ってから話すよ。あと、翔さんの怪我 大丈夫そうだったら、運転 楠さんにお願いして、おまえそこで 降りろ。オレが拾うから。」



「えっ、だから 家がバレたらって…」



「多分 もうバレてるっぽい。」



「そうなのか?…なんで、わかるんだよ?」



「 んー。まぁ…色々と。じゃ、すぐ そっち行くから。じゃーねー」



「えっ、、おい!!」




通話が切られた…

いや、ちょっと待てよ。

話してるのに 勝手に切るなよ。

はああああ。マジムカつく。




だけど、、


証拠って? 森村が 仕掛けた証拠ってことか?
だけど、どうやって…?


わからないことだらけだが、
二宮が なにかつかんでいるのは確かなようだ。



仕方ない。二宮の指示に従うことにした。






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兄貴と楠さんを見送ると、すぐに 二宮から連絡がきた。



「 今、翔さんでたね。通りまできて。すぐだから。」



通り沿いに出ると、すぐに二宮がきた。
車に乗り込むと、



「翔さん、怪我どうだった?」



前を見ながらも、口調は 心配そのもので。


数針縫ったものの、大丈夫そうだと告げれば 
「よかった」と、安堵していた。



「あんたさ、、兄貴のこと 好きだよね。」



「 ん〜。そりゃそうよ。…あんなにいい人 滅多に出逢えないからね。」




そう。オレも そう思う。

こんな時なのに、心が ふわっとした。



「あっ、そうだ。さっきの、証拠とかなんとか 詳しく話せよっ!!」



二宮は 悪い顔して ニヤつくと…話始めた。




「自分の車に戻る時にさ、気付いたんだけど。左隣の車に ドラレコ付いてたのよ。しかも 駐車監視機能付きのやつ。」



「え。じゃあ…」



「あれって、色々あるじゃん。ずっと録ってるやつとか 衝撃検知とか 動体検知とか。でも とりあえず、車の持ち主に 聞いてみようと思ったわけ。けど、持ち主いつ来るのかわからないし、、どーしよーかなんて考えてたらさ…」 



そこで 二宮が クスッと笑った。



「なんか 見覚えあったのよ。その車。で、おまえが 出てから またよく見にいったらさ…。持ち主 わかっちゃったのよ。車の。」



「え。…誰だよ?」



「おまえも知ってるやつ。パーティー会場でも、話してたじゃん?」



それって、、



「………生田部長か?」




「ん。そーいうこと。したらさ、話早いわけよ。そっこー斗真に電話して。車に来てもらって。ドラレコも、ずっと録ってるやつでさ。すぐにSDカード確認したら…ドンピシャよ。森村が タイヤになんかしてるのギリ撮れてるし。画像も鮮明だったから。あれ、警察に渡せば 器物破損で 連れてかれるよ。放火の件もあいつが犯人なら、同時に吐くかもしんないし。いや〜悪いことは 出来ないねぇー。たまたま斗真の隣に停める翔さんが もってるのかもな。」 



「つまり、兄貴に危害を与えようとしてたことの証拠が手に入ったってことだよな。じゃあ このまま捕まえて、警察連れてくか?」



「んー。もうちょい 様子みよ。どーせあいつが車から降りないと、捕まえられないしね。翔さんが家に着いたら、諦めて 家に帰るかもしれないし…そこ、狙おっか。」 






だが…


事態は オレたちの予想より
悪い方へと進んだ。