斗真から連絡があった。
これから楠さんと夕飯食いに来るってことと、例の交流会の話は内緒にしてくれってことだった。
はいはい。
んなこと 言われなくても言わないけどさ。
でも 楠さんに会いたかったから、
ちょうどいい。
…ちょっと前、翔さんから連絡来てたから
ニノが 楓にかけた魔法、効いたみたいだ。
…サンキューな。
って……。
2人が上手くいってるんだってわかって嬉しかったし、翔さんが そんなふうに報告してくれたのも…めちゃくちゃ嬉しかった。
2人が惹かれあってるのなんて、初めて会った時からわかってた。
まあ最初は 楠さんが 既婚者だとかいうから惑わされたけど…
なにはともあれ、お互いの気持ちが繋がりあったのなら、あとはその…工藤のことだけだもんな。
さっさとそいつの尻尾を捕まえて、辞表ださせるか、クビにでもなればいい。邪魔者はいなくなって、2人は仲良く暮らしました。めでたしめでたし。って、なればいい。
よし。
金曜、頑張ろ。
店の目の前に車が停る。
まーくんが 翔さんちの猫を預かってきたんだ。
前に泊まった時に合鍵もらった…って、、
恋人同士かよ!!
全く!!
車から降りてきた まーくんは、なんかバカでかいケージを片手に持ち、恐らく猫が入ったリュックをしょっている。
「カズ〜みてないでさ。ちょ、手伝えよ〜」
「んー。」
「休憩室に ケージおくからさ。組み立てんの手伝って。」
「はいはい。全く 人使い荒いんだからさ。だいたい翔さんも、夜遅い日なんて多いんだから、動物飼うなんて無理なんだよ。…この間の人断っちゃったんだろ?」
「うん。っていうか、もうこの子達に惚れちゃってる感じだったよ。優しいからね、翔ちゃんは。愛着湧いちゃったんだよ、きっと。」
休憩室にケージをセッティングして、猫達をリュックから出して入れようとする まーくんの手から猫が離れない。
「かっわいいな〜」
「…だね。」
「翔ちゃんが手放せないの わかる気がする。」
2匹は喉をゴロゴロ鳴らし、まーくんにべったりくっついて離れようとしない。
「…今から また斗真くるって。楠さん連れて。」
「え!そうなの?」
「ん。なんか、奥の席がいいって。込み入った話するからって。」
「…込み入った話するのに、うちを選ぶなんてね〜 愛されてんのかな、オレら。」
「…昼も夜も来るくらいだからね。つーかその前は全然来なかったくせに、あいつ。」
「まあまあ、それは置いといて。楠さん、久しぶりだね。翔ちゃんと上手くいってんでしょ?」
「ん。そうみたい。」
「翔ちゃん、オレにはなんも話さないからな〜なに照れてんだろ!よし!今日 楠さんに色々聞いちゃお〜 」
まーくんは ニマニマ笑いながら猫達をケージに入れた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
少しして、斗真と楠さんが 来た。
「いらっしゃいませ。」
斗真「…ニノ! なんだよ、そのスマイルは!オレの時は見た事ないぞ!」
ニノ「おまえにオレの笑顔は まだ早えーんだわ。」
斗真「…意味わかんないな。」
楠「二宮さん、こんばんは。」
ニノ「楠さん、、連れが斗真で正解?」
楠「…? え? 」
斗真「どーいう意味だよ。ニノの言葉は独特なんだよ、解説つけなきゃわかんねーからな。」
まー「ハイハイ!解説しまーす!…楠さんには 翔ちゃんと2人のラブラブを見せつけに来て欲しかった って、ことかな〜 ムフフ♡」
楠「え//////////」
まー「あー真っ赤になっちゃった〜 楠さん可愛い〜」
まーくんが 楠さんを嬉しそうに見つめてる。
オレも…嬉しい。
まーくんの解説は大正解だから。
翔さんと、2人で来て欲しかった…
ニノ「…ま、とりあえず 座って。奥の席 とっといたっていっても、まだ誰もいないけどね。」
席に案内して、オーダーを取りに行く。
一通りオーダーを聞いた後で、
楠「…二宮さん。」
ニノ「ん?」
楠「/////あ、あの…あの時のお礼が言いたくて。」
ニノ「…あの時?」
楠「…魔法をかけてくれましたよね。ウィンクしてるクマくんのラテアートで。」
翔さんと同じこと言うんだなって思ったら、
胸ん中が ホワホワしてきた。
ゆりのこと以外でさ、ホワホワなんてしないのよ通常はさ。
あ、まーくんは 特別だけど。
ニノ「…効いたんだ。魔法。」
楠「//////////」
ニノ「…じゃあ教えたげる。あの時は『好きな人と結ばれる魔法』って言ったけど 本当はね…」
楠「…はい。」
ニノ「…『 翔さんの想いが、真っ直ぐあなたに届きますように…』って、魔法をかけたんだ。」
楠「/////」
ニノ「だから 届いてからどーするかは、楠さん次第だったわけ。そりゃあね、上手くいけばいいなって思ってたけど…魔法がとけたらなくなっちゃうような恋はダメでしょ? 」
楠「…」
ニノ「翔さんの想いが伝われば、あなたの気持ちも動くと思ったわけよ、オレはね。」
楠「……専務の想いを受けて、私が選択した未来、、ってことですね。」
ニノ「ん。そう。所詮魔法だから、とけるもんなのよ。とけないのは…翔さんの気持ちと、あなたとの間に芽生えたモノだけ。」
斗真「…なんか、めちゃくちゃいい事いってんな〜 ニノ〜 オレにも魔法かけろよ、何でもいいからさ〜」
ニノ「オレの魔法は 素直ないい子限定だから。おまえはムリだな( ̄▽ ̄)」
斗真「オレは 素直ないい子だぞ? な、楓。」
楠さんが 笑って、
斗真が なんで笑うんだよ〜って笑って。
ああ この2人も きっと凄くいい関係なんだなって感じた。