秘書課からでて 更衣室に行こうとした…
更衣室前の警備員と目が合った。
チッ!
忘れてた
警備員が 外にも中にもいるんだった。
あまりにもムシャクシャしたから、腹いせに誰かのロッカー荒らしてやろうと思ったのに…
発散出来ない怒りを抱えたまま…
屋上に行った
あの、女。
全てあの女のせいで、上手くいかなくなってきた。
楠 楓 …
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あの女が入ってすぐ、専務の秘書になったと聞いて、派遣のくせに優遇されて ムカついて仕方なかったけれど、
既婚者だし、人妻特有の色気なんて皆無だし
仕事人間の地味な女。
私が気にするほどの女じゃない。
それに、専務のいい虫除けになると思って
放っておいた。
でも その頃から 専務が 優しくなったと噂されだして…女がいるんだって思った。
早く見つけて 除去しないと…って思ったけれど
いくら調べても それらしい女は 会社内にはいなかった。だから、外部の人間なのかと思っていた。
それが…
菜月ゆり
あいつの海外勤務の話をみんなにしていた専務が、とても優しい顔で…
今まで見たことないそんな顔をさせてるのが、こんなくだらない女なんだと思ったら、吐き気がしてきた。
だから、すぐに ターゲットにした。
最初は みんな乗り気だったけど、、
やめたいとか言い出して、私の言うことを聞かないやつがでてきて。
…手を貸さないそいつらにも、それなりの報復をもちろんしておいた。
その頃、
菜月に負の感情まるだしでいる女をみつけた。
調べてみたら、
企画課で突然解雇された森村の女だった。
なぜかは知らないけど、菜月を恨んでるのは わかっていたから、さりげなく近づいて、話し相手になってあげた。
思ったより かなり病んでて 会社で 嫌なことがあったから、辞めると 言っていた。
だから、、上手く利用してやろうと考えた。
「企画課の菜月さんて、知ってる? 彼女のせいで、森村って企画課のエースだった人が辞めさせられたみたい。それで自分は あの海外勤務の責任者とか、、怖いわ〜 誰に取り入って そんな待遇にしてもらってるのかしらね?」
菜月への怒りが増すように適当な話をしたり、
仲のいいふりをして、
一緒に屋上で、お弁当を食べたりしていた。
その時に、いいアイデアを思いついた。
屋上…。
私の素敵なアイデアを実行する為に、
彼女には「実行犯」という素敵な役を与えた。
屋上が 内側からしか開かないとか…
閉じ込められたら、怖いとか。
土曜出勤なんて いつもよりあんまり人がいないから、発見されないだろうしね〜とか。
ランチをしながら 毎回 話していく。
暗示みたいに。
それから、守衛室で鍵を借りる時の防犯カメラに映らない角度を話したり…
彼女は、いつも興味津々で聞いていた。
それなのに 何日か経っても…
何も起こらなかった。
そもそも大人しい女で、馬鹿みたいに真面目だから、自分の役割を果たさずに、そのまま辞めてしまいそうだった。
だから、、
最後に…
「…嫌なことってさ、ずっと持ってると心が壊れそうになるじゃない? だから 壊れる前に その原因を 壊してしまえばいいのよ。ねぇ? そう思わない? 自分自身を守る為なんだから、仕方ないでしょ? …そういえばさ、企画課の菜月さんて、櫻井専務と付き合ってるって 知ってた? だから海外勤務の責任者になったとか。…可愛い顔して、したたかな子よね〜。凄いわ〜打算で恋愛出来る人って〜 ね?」
思った通り
速やかに 実行犯役を引き受けてくれた。
ほらね。
他人は…
利用できる 駒。
私の思い通りに 使い、 動かせる。
…それなのに、、
あの女が…
すぐに菜月を見つけてしまい、更にやった人間の特定までも 迅速に導きだした。
彼女から 自分がやったことがバレてしまいそうだと 泣きながら電話がかかってきた。
「えっ。そんなこと考えてたの。…信じられない。私はただ冗談で話してただけなのに。菜月さん、可哀想 閉じ込められて…。あなたって酷い人ね。菜月さんが 可愛いからって 嫉妬してるの?……いくら辞めるとはいえ、、明日 皆んなに話してしまおうかしら…驚くだろうな〜みんな。」
って 言ったら、誰にも話さないでくれと懇願してきた。
精神的に追い詰めてくと、私が誘導したんだってことも わかんなくなるのよね。バカな女。
まあ、あんな病んだヤツが 何を話しても
誰も信じなかっただろうけど。
菜月ゆりが アメリカへ消えて、予想外のことが 起こった。
…専務があの女と なんて 考えもしなかった。
女なんて 選びたい放題の専務が
不倫なんてするはずないし
ましてや 地味な既婚者。
けれど、岡田社長のパーティーの時
駐車場であの2人を見かけて…
専務が あの女に好意をもっているのが
わかった。
…許せない。
あの女、専務を騙してるんだわ。
岡田香澄に 巧みに情報を与えて、上手くやってくれると思っていたのに…失敗した。
だいたい 今更 既婚者じゃないって…
最初から 何か 企んでたんだわ。
生田部長も、あの女の男みたいだし。
今日からきた 上田って 男にも 媚びていて。
汚い女。
邪魔で仕方ない。
さっきも、、前から気に入らない飯田を辞めさせようと思って 仕組んだミスを、庇われて…
あれじゃ、、飯田は 辞めないわ。
飯田と楠、両方いっぺんに…
片付ける 方法…
2人とも いなくなれば
またその…場所が空く。
専務に懇願させたい
あの時は 悪かったと。
秘書になって 傍にいて欲しいと。
本当の愛がどこにあるのか気付かない
可哀想な 専務。
早く 私の愛に 気付かせてあげたい。
あなたの為なら、私はなんでも…
どんなことでも出来るのだから。
自分の体を抱きしめた。
指先で 背中を辿れば、
彼にそうされてるような錯覚をおこす
ああ 翔…
私を 拒んだあなたを
私は絶対に
許さない
めちゃくちゃに 愛してあげる
私の愛する …翔
※ 「菜月ゆり」「森村」は、
TheRose 第1章にでてきています。
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