…… ん、、朝 か…



窓から差し込む日差しと
にゃあにゃあ 鳴く声で 目が覚めた…



あ、、何時だ?
エサ あげねーと。。薬も…



起き上がろうとして、、
頭がクラクラして…



ベッドに 再び横になる。




ニノと電話で話した後、、
随分……飲んで。

意識を失いかけそうになりながら、
ベッドまで フラフラ歩いて…


そのまま 眠ったんだ。



胸のムカムカと 割れるような頭の痛さに 
自己嫌悪に陥る



けど…
そうでもしなきゃ…



考えたくないことばかり 考えてしまうから…







にゃあお〜にゃあお〜





リビングにいる猫達の声が デカくなってきた。 
余計な思考は 遮られ、思わず 口元が 緩んだ。



ベッドサイドに置いた 携帯に手を伸ばすと
もう 8時を過ぎていた。





リビングに行くと オレの気配を感じたのか
猫達が 更にデカい声で鳴きだした。



「わかった わかった。ちょっと 待って。」



楠が洗っておいてくれた 真新しいステンレスの食器に ドライフードを入れた。2匹とも カリカリといい音をさせながら 食べている。




…よかった。




サクラも うにゃうにゃ 言いながら美味そうに食っている。…元気そうだな。



あ、そうだ。薬を、、、




飲ませ方は…食欲がある時は、美味しいものに 混ぜるのがいいとか言ってたな。




じゃあ、、

買い物した袋の中から
猫用の缶詰を取り出しあけてみる。



…あれ? 人間用? じゃねーよな、、



と思う位、めちゃくちゃ美味そうな中身に驚きながら、それを少量 皿に移し 粉薬をパラパラかけてみる。



「よし。」



これなら食べそうだと思い、ケージ前に持っていく。匂いがするのか、みなみが 物凄い勢いで鳴きだし、食べたがっている。




…そっか、、、みなみにも あげた方がいいか。




みなみには 薬抜きで 缶詰だけを皿に盛った。


2匹とも ウガウガ言いながら、明らかにドライフードより興奮しながら 食べている。
サクラは 薬がのっている部分もきちんと食べてくれた。




安堵したと同時に、あったかい気持ちが 胸の中に広がって 暫し 2匹を 見ていた。





その時 ポケットに入れていた携帯が鳴った。




楠からだった。





「…もしもし」




「おはようございます。楠です。」




「ああ、おはよう。…今 丁度 エサあげたとこ。薬も飲んだし、正確には食べたんだけど。…2匹とも元気そうだよ。」




「そうですか。よかったです。」



「…ん。…だから 今日は 」




「…はい。」




断れ と 理性が言う。


会いたい    …と 心が叫ぶ。




「…専務? どうかしましたか?」



「…いや、、、今日 さ、、」




「はい、今日 可愛い写真を撮って、里親募集のサイトに載せませんか? もちろん にのあいへ 貼っていただく貼紙も作りましょう」




「……ああ。わかった。」




「では…午前中に、、10時過ぎ位にお伺いしても大丈夫ですか? 」




「ああ。…うん。」




「…お昼には 帰りますので。」 




「…うん。わかった。…待ってる。」






電話を切った。

楠は、ただ 猫の飼い主をみつけようと 責任感からうちに来るだけだ。


その流れに 従えばいい。


多分 黙々と作業し、予定通り昼前には帰っていくだろう。



大丈夫。



この部屋に 2人でいたって、
楠は なにも感じないんだから。



会社にいるのと 同じだと思えばいい。





そう考えながらも
楠に 会えるんだと 思うと 胸が騒ぐ。





ソファーに寝転んでいたら…
いつの間にか 眠ってしまっていた。






┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈





携帯が …鳴っている



起きなきゃ…




さっきよりも酷くなる頭痛。目眩が酷く 寝転んだまま通話ボタンをタップする。




「…もしもし」




「…楠です。今 下に着きました。、、専務…大丈夫ですか?」




「ん? 何が?」




「…声が、、」




「ああ、、寝てたからだ。多分…」




「そうでしたか。…お休みのところ、、申し訳ありません。」





「…いや。 頼んだのオレだし、、今 エントランス開けるよ。」





エントランスの施錠を解除し、玄関前まで行くのが精一杯だった。




こんな酷い二日酔いは、初めてだ。
玄関にしゃがみこんだ。





インターホンが鳴り、玄関を開けた。




「 …専務、、どうされたんですか!」



「…ちょっと 飲みすぎたみたいでさ。申し訳ないけど、、」



楠が スっと 額に触れた。



「…熱が ありますよ。」



「…えっ、、」



「体温計は ありますか?」



「…ああ。確か リビングに、、」



「…専務、私が…お邪魔しても大丈夫ですか?」



「……熱あるなら、、伝染したら困るな、」



「そういう意味では、ありません!!もう! お邪魔します。リビングの何処にあるんですか?」




楠が スタスタと中へ入ってく。

そのスピードに着いていけないでいると、振り返り体を支えてくれた。




「…二度目だな、、、申し訳ない。」




楠は何か言いたげな顔をしたが、何も言わずにリビングに一緒に行って、ソファーに座らせてくれた。




「…ありがとう。…体温計は、あそこの棚の引き出しに、、あったような気がする。」




「…はい。引き出し、開けますね?」



「ああ。頼む。」




楠が 体温計を探し出してる間



やっぱ 酒だけじゃなかったか…
なんか最近体調崩し過ぎだな…



ぼんやり そんなことを考えていた。