大阪大学などの研究チームが、突然腎臓機能が低下する急性腎障害から慢性腎臓病へと悪化することを防ぐタンパク質を見つけたと発表。マウスの実験中に発見されたようだ。
これに関する論文は国際科学誌に掲載されているという。

現在、日本には慢性腎臓病の患者が1500人ほどいるとされているそう。急性腎障害が発症してしまうと慢性化しやすくなる傾向があるらしいのだが、詳しい仕組みはわからないままだったという。

研究チームは、実験でマウスに急性腎障害を発症させ、腎臓の内部を詳細に調査したそうだ。結果として、症状が回復する際にタンパク質の「TFEB」が盛んに働くことが判明したという。このタンパク質は「トレハロース」という糖により活発になるとのこと。
急性腎障害が発症したすぐあとにマウスにトレハロースを与えると、症状が治っていく様子が見られたという。
急性腎障害を発症するとエネルギーを生み出す「ミトコンドリア」という細胞小器官の機能が落ちるようなのだが、TFEBの働きが強まるとその機能が回復し、慢性化を防ぐことができるそうだ。

TFEBは人体にもともと存在するものだという。チームに所属するY氏は「慢性化を事前に抑える有効な治療法はまだ発見されておらず、創薬につなげていきたい」と話しているようだ。

慢性腎臓病に悪化するまでの仕組みの一部を発見できたのは意味のあることだ。腎臓だけでなく、他の臓器や老化を抑える研究にも活かせる可能性がある」と述べているそう。

現時点では、慢性化することをあらかじめ防ぐことはできないというが、悪化するのを抑制できるようになるだけでも大きな進歩だと言えるだろう。