JAMSTEC(海洋研究開発機構)を含む研究グループは、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ってきた砂の中に、アミノ酸などの材料となる分子が含有されていることを発表。

研究グループは、砂を熱した水に浸してピックアップする手法を用いて、84種類の分子が含まれていることを証明したそうだ。84種類のうち、65種類が有機酸素群、19種類が窒素分子群だったという。
この中には、生き物の体をつくり出すのに必要不可欠なアミノ酸の材料となるピルビン酸をはじめ、遺伝物質であるRNAに含まれる核酸塩基の材料となるリンゴ酸が存在していたそう。また、細胞膜の材料となるメバロン酸やエネルギー代謝に欠かせないクエン酸も見つかったという。

今までの研究でも、砂の中にアミノ酸や核酸塩基が含有されていることは判明していたそうだが、それらがどのようなプロセスを経て出来上がったかどうかはわかっていなかったとのこと。今回の研究では、それを解明することに繋がるというのだ。

JAMSTECの上席研究員は、「リュウグウが誕生した太陽系初期に、すでに生き物に必要な原材料が存在していたことを示す結果であり、生命の起源が小惑星から地球にもたらされたという仮説をより強めた」と語っているそうだ。

また、1950年にアメリカに落下した「マレー隕石」とリュウグウで、マロン酸の比率を比べたところ、リュウグウのほうが低かったそう。同分子は水に触れることで不安定になる性質を持っているため、これはリュウグウが長きにわたって水・氷で覆われていたことの証明になるという。

上席研究員は、「地球の水は小惑星からもたらされたと考えられてきたのは仮説でしかなかった。今回の研究結果で裏付けられたのは大きな意味がある」と話しているという。

ふと地球の起源について考えたことがある人もいると思うが、今回紹介したニュースに書かれているような内容を見るとよりロマンを感じる。