食用のイメージが全くない“コケ”だが、未来のスーパーフードになる可能性があるとして、現在神戸大学では開発が進められているという。

開発されているのは「ゼニゴケ」という種類。
外に自生しているゼニゴケの場合、虫や病原菌に抵抗力を持たせるために人体にとって外のある物質を蓄積していることが多く、食べることはできないそうだ。
しかし、虫や病原菌といったストレスのない環境下で育てることにより、有害物質のないゼニゴケをつくることができるという。

また、ゼニゴケはほうれん草の25倍ほどの鉄分と、青魚に含まれているEPAが含まれているそうで、未来のスーパーフードとして注目されているのだ。
さらに、遺伝子組み換えにより、簡単にゼニゴケに様々な物質を作る遺伝子を導入できるとのこと。具体的には、タンパク質やビタミンなどをつくる遺伝子も組み込むことができるという。

では、味はどのようなものなのだろうか。
屋外で自生しているコケはもっさりとしたイメージだが、食用として育てたゼニゴケはレタスに近いようなシャキシャキした食感になるそうだ。
このように生でもおいしいそうだが、乾燥させると海苔にとても似た味になるという。

現時点ですでにメリットが多いように見えるが、ゼニゴケは少ない水で育ち、成長過程で大量のCO2を吸収してくれるという大きな特長もある。
これらのことから、ゼニゴケを宇宙食として育てることも考えているという。すでにJAXAと共同研究を行っているようだ。

ちなみに、ゼニゴケの開発を行う神戸大学の石崎教授と水谷教授は、大学教授としての仕事を続けながら、ゼニゴケの事業化を目指したベンチャー企業の立ち上げを考えているという。

少ない水で育つうえ、CO2も吸収するゼニゴケ。さらに栄養価も高いというのだから宇宙食としてぴったりだろう。さらに注目されるようになれば、スーパーなどでも普通に見かけるようになるかもしれない。