体のかゆい箇所をかくのは気持ちがいいと同時に、かけばかくほど皮膚は傷ついてしまう。そこで、皮膚を傷つけずにかゆみを抑えられるデバイスが開発されたという。いったいどのような製品なのだろうか。

かゆみを軽減するデバイスは「サーモスクラッチ」といい、大阪ヒートクールにより開発されたものだという。なんと同社の役員は全員、大学に籍のある現役の研究者が務めているそうだ。
そんな同社が開発したサーモスクラッチは、ペンケースほどのサイズとのこと。かゆいところに押し当ててスイッチをオンするとかゆみが抑えられるというが、仕組みはどうなっているのだろう。

同社の代表・伊庭野氏は「サーモスクラッチは人の錯覚を利用している」と語る。「かゆみは痛みより弱い感覚なので、かゆい箇所をぶつけたら痛みがそれを上回りかゆみが打ち消される。それを利用したのがサーモスクラッチで、あくまで感覚だけで皮膚は傷ついたりしないが、やけどしそうな熱さの感覚を与える」という。

サーモスクラッチには先端に金属部分が付いていて、それを押し当てると、人によっては熱い・痛いというような感覚になるという。氷に触れた時のような感覚にも似ているそうだ。
なぜこのようなことが可能なのかというと、同製品には、体が温度を間違って感じる「サーマルグリル錯覚」が応用されているからだという。

例えば、40度と15度の物体を近くに並べて手で触ると、やけどしそうな熱さに感じる。サーモスクラッチは、二重になっている口の部分の外側を40度、内側を15度にして、これらを同時に皮膚にあてると実際の温度より熱く感じるという仕組みのようだ。
この仕組みを理解したあとに触れても、やはり非常に熱く感じ、感じ方は人それぞれでもかゆみは抑えることができるという。

かゆみは、時に“痛みを感じるほどの緊急度が高くない異物を知らせる合図”としても機能するので、ある程度必要なものだろう。実際に免疫を活性化させる意味もあるという。
しかし、夜にかゆみで眠れないなどの悩みがある人などは、ひどい場合まずは病院に行くことが優先だとは思うが、今回紹介したデバイスも役立つのではないだろうか。