食べ過ぎ、飲みすぎなど食生活の乱れは生活習慣病のもとだが、なかでも塩分は現代人の多くが気付かないうちに過剰摂取しているという。WHOでは、1日あたりの推奨塩分摂取量を5gとしているが、日本人は平均10.1gもの塩分を摂取しており、塩分の摂りすぎを問題視しているそうだ。
そこで、キリンホールディングスがこのような問題に取り組むために「エレキソルト」というデバイスを開発。なんと、これを使うだけで減塩食品の塩味を約1.5倍増強させる効果があるという。

ここ最近は減塩を意識した食事を心掛ける人が増えている印象もある。ところが、キリンが首都圏に住む人を対象に行ったアンケート結果では、減塩を意識した食事をしているまたは行う意思があるという人の中で、およそ6割超が減塩食に課題を感じていたという。特に、減塩食の味の薄さに不満な人が多いようだ。

現在、減塩食品は豊富になりつつあるが、キリンがあえて食器に注目したのは「食事の根本から大きく変化させるため」だという。塩味がなくなることで物足りなく感じ、食べることに対する喜びを感じにくくさせないために、エレキソルトの開発を行ったそう。

エレキソルトには、微弱な電流で食品に含まれるナトリウムイオンの動きを操作して塩味を強める方法を取り入れているという。機器本体にコンピュータを埋め込んでいるそうで、電流の流し方を工夫することにより塩味の強度をコントロールできるようだ。さらに、塩味だけでなく、旨味や酸味なども強めることが可能とのこと。

エレキソルトのデバイスは現時点でスプーン、お椀が開発されているという。スプーンは柄の部分、お椀は側面のスイッチをオンして、自分好みの味の強さを4段階から選ぶ。口に触れると味覚を強く感じることができるが、電流は0.5~1秒かけて流れるようなので、しばらく口をつけている必要があるという。

エレキソルトは電極部分を切り離せるため、普通の食器と同じように洗えるそう。また、電源は5分で自動的に切れるようになっているようなので安心だ。
課題点は口から離すと効果が途切れることだそう。そのため、口から離れても効果が続く新たなデバイスが開発されたり、歯に直接組み込むなど、今後技術が進んでいけば味わいの幅がより広がるのではないだろうか。