農研機構を含む研究グループは、6月9日に、牛が吐き出すメタンの排出量における新しい算出式を開発したことを明らかにした。

牛1頭から1日あたり200~800lのメタンが吐き出されており、CO2に換算すると全世界で年間およそ20億トンが放出されているという。つまり、全体のCO2排出量の約4~5%を占めているため、地球温暖化の原因の一つとして考えられているそうだ。

そんな牛のゲップ由来のメタンを削減するために、まずはメタンを測定する手段が必要になるわけだが、現時点で国内では測定方法が限られていて、技術や削減効果の検証があまり進んでいないという。これまではチャンバーを用いた測定方法が標準とされていたようだが、精度が高い反面、施設の建設や維持管理などでコストが高くなってしまうのだとか。

また、1日の呼気の一部からメタン排出量を予想するという「スニファー法」というものもあるそうだ。この技術をメタン削減研究の加速化に繋げるため、農研機構で蓄積してきたチャンバーでの正しいメタン排出量のデータを使って、スニファー法で使用されていたものと比べ更に使いやすい算出式を開発したという。

乳牛では、搾乳ロボットを使って、搾乳中に呼気を採取しCO2濃度を測定。メタンとCO2濃度を測るシステムはとても簡単なようで、携帯できるガス分析計を用いれば、多くの農場での測定が可能になるそうだ。

同グループは、今回開発されたメタン排出量の算出式を記載したマニュアルを、専門の研究機関や食品企業、飼料メーカー、生産者などに普及していくという。
これにより、各機関がそれぞれのアイデアで、メタン排出削減技術の開発を進めていくことが期待できそうだ。