テレビ局などの放送局では、取材・制作・編集・オンエアなど多くの業務で“映像のどのシーンに誰が映っているか”をとても重要視しているという。特に、“別の人物の名前をテロップ表示”したり、“意図した人物ではない他の人物の映像を放送”してしまうなどの誤報と呼ばれているものは社会的に大きな影響を与えてしまうだろう。そのためテレビ番組を制作している現場では、たくさんの人手と時間を割き、映像の人物確認を実施しているそうだ。本人であるかどうかの確認作業が間に合わないと、放送素材をオンエアするタイミングを逸してしまう場合があるので、番組制作における本人確認作業をどれだけ正確かつ効率よくできるかが課題とされているようだ。

 

そこで、東芝デジタルソリューションズ株式会社が放送局などメディア向け顔認識AI「カオメタ」のサービス提供をスタートさせた。このサービスは、映像に映っている人物の顔を高精度で即時に認識して、人物の特定を行うことで、正確でスピーディーな番組制作をサポートできるとのことだ。

 

では、「カメオタ」どういったものなのか、紹介してみよう。

同社が提供しているカメオタは、映像の中から特定の人物を認識する「顔認識AI」で、メディア方面からの必要性が高い、即時性を重要視した“オンプレ版サービス”だそうだ。このサービスは、米国国立標準技術研究所主催の顔認識ベンダーテスト評価指標の1つ、撮影条件の制約がないWildデータセットの評価で、日本1位、世界6位の実績(2019年6月時点)を残している東芝研究開発センターによるオリジナルの顔認識技術を用いたものだという。

 

多様な撮影環境や顔の向きなどに対し、迅速で高い精度の認識を可能としているという。また、照明や顔の表情などといった多数の変動要因が含まれている画像からでも正確に人物を特定するために必要な情報を取り出せる技術があるので、顔画像を複数パターン用意することが不要で、1人あたり1枚の顔画像を登録するだけで高い精度の顔認識を実現。さらには、見つけ出した顔の領域を追うことで認識を中断させない人物トラッキング機能や、数パターンの映像を同時に利用するマルチ画面に映った小さな顔の認識など、放送局向けに特化している機能も兼ね備え、様々な場面にフレキシブルに対応できるそうだ。

 

同社では、今後も番組制作現場の負担を軽くするため放送システムとの連携や、システム環境を気にすることなく利用できるクラウドサービス化など、放送局の業務に連動した機能を拡張するとともに充実させていくそうだ。