同族嫌悪ではなく普通に嫌悪する | 波羅さんの戯言

波羅さんの戯言

ヘタレコスプレイヤー・波羅さんが、
日々の愚痴と衣装制作とその他もろもろをつぶやく場所です。
ツンデレ上等!ババァ上等!!って方も、そうでない方も
読みたい人は読めば?的なツンツンテンションでお送りします(たぶん)。

すんごい久々になりました。
というのも単に書く時間がリアルにないからです。おかしいな、時間が欲しくて転職したのに。


というわけでさっそく本題。
一ヶ月前に公開になってたのに今更話題になってるニトロプラスの同人ガイドラインですが、
ざっくりまとめるとこういうかんじです。

・トレスとかパクりは論外。
・直接販売または自宅通販はOK。書店委託はNG。
・200『個』以下、売り上げ(生産数×販売価格(税抜))10万未満
(※つまり200個つくるなら、1つあたり500円以下。それ以上経費がかかる場合は赤字分自己負担)
・その他、『これはオフィシャル商品じゃない』とわかるようにすること
・キャラのイメージを壊すな

※これらが守れない状況があるなら、まず相談すれば場合によっては許可する。


これについて世の中の反応として、
賛否両論あるわけですが、
私はそもそも「は?何言ってんの?」と思いました、その反応の「否」の多くを見ながら。

活動しにくくなるなぁ、とか、好きな作家さんの買えなくなるのかなぁ、とかの「つぶやき」ならまだしも、
「あの会社オワコンだわ」「嫌悪感覚えた」とかは、
もうホント、そういう考えの人はそもそも二次創作同人に向かないからさくっとオリジナルにジャンル移動すればいいのに、と、私は思います。


長い事私の事を知っている方は知っていますが、
私はもともとコスプレから同人活動をスタートしています。
そこから派生するような格好で、衣装制作(オリジナルメイン)の同人や、
某青年マンガや少年マンガの二次創作同人をやっていたりして、
今はまたオリジナル分野で同人をやってます。

そもそも二次創作は他人のふんどしで商売させてもらってる訳で、
『グレイゾーン』という単語こそよく使われますが、
訴えられたら100%負けるブラックゾーンなんですよね。
そこを「まぁ愛があってやってることだから」と版権元が黙認してくれている。
これが二次創作同人業界の立場です。

確かに同人から作家が育つ文化はあります。
同人で生活している知り合いもいます。
でも、「二次創作」はあくまで「黙認してくれる程度」を守らなきゃ、
もうそれはNGだと思います。

私は前の仕事では版権元だったし、
今の仕事も、版権元であり、著作権保有者であり、肖像権保有者でもあったりして、
前よりもさらに『二次創作同人』から見れば「本家」という立場にいます。
そこから見て、容認しているのは「愛があってやっていることだから”許そう”」という意識からです。
しかしそこで「金を儲けよう」が見えたら正直私(担当者)も気分よくないですし、
なにより会社として『許す訳にいかない』んですよ。
会社が許してしまったら、作家や権利元に被害が出るし、信頼関係も崩れるし、新しいコンテンツを作って行けなくなる。
だから許したくても許せない。

なのにそれを大々的に大腕振ってやりだす人があまりに多くなってしまった。
だから「規制しなきゃならなくなった」。
それが今の二次創作同人の実態だと思います。


ここ10年くらいの同人業界しか知らない人はご存じないでしょうが、
かつて、二次創作同人は、ビクビクしながらやるのが普通でした。
というか私は自分が活動していた時も、そして今もそうあるべきだと思っています。

キャラの名前を作中で出すなんてとんでもない。
不自然なくらい名前を呼ばずに、どう展開させるか(呼ぶときは『お前』とかでごまかしたり、あえて似て非なる偽名をつけたり)って作品や
髪型や服装なんかから想像して、
ファン同士が暗黙の了解のもと「あれは●●×△△本」と判断するような作品を私も持ってましたし、
私がもし読み手だった当時から同人作家やってたらそうしてたと思います。
だっていくら大好きな作品とはいえ、
先生が生み出したキャラクターを勝手に使ってるんです。
許してくれる先生もいますけど、気分は良くないだろうななんて想像つきまくります。

コスプレもそうです。
許してくれる先生とそうじゃない先生は今でもいますが、
そうじゃない先生を私は悪人だとは思いません。
むしろそれで普通で、許してくれる先生が「コスプレに寛容でありがたい」と感じるだけです。

それなのに、
200部作ったら500円以下にしなきゃならないなら赤字にしろってことでしょ?実質禁止ってことだろ?
みたいな文句とかどうなのかなって。

むしろ明確に、

200部までで売り上げ10万未満にするなら、同人活動していいですよ

って言ってくれたのは、かなりの譲歩だと思う。
すごい寛容だと思う。

それに、
「どうしても大々的にやりたいなら法人通すか設立して相談しろ」っていうのも寛容。

そもそも「個」で名言されてることを考えると、
グッズ防止が目的の中で大きいんだろうなと思う。
公式ロゴを平気で使って平気でグッズ作る人が本当にどのジャンルも増えてきた。
昔からいたけど、
印刷屋も増えたし、自家製も簡単にできるようになってますます増えた。
増えて、ネットでロゴが手に入るから、クオリティがあがって、
本当にオフィシャルと見分けがつかなくなった。
同人誌はまだ『創作性』がある。
けど、グッズは正直『創作』かと言われれば自作イラストを使ってるならまだしも、
ロゴを使ったりするのはもう確実に閉め出すことができる。
だから条件の一つめに「創作性があること」をあげているんだと私は感じた。
まぁフィギュア同人とかの人は10万は結構きつい条件だろうなと思うけど(友人がフィギュア屋なので金額の話とかするので)。


私は自分がもともとコスプレを通じて同人業界に足を踏み入れる前から、
オリジナルジャンル(舞台業界)の人だということもありますが、

規制されたくらいで作れなくなる程度の創作なら所詮その程度だからやめてしまえばいい

と思います。
こんな緩い規制でだめになるなら、もう最初からだめなんじゃないなかって。

仕事もそうだけど、
「こんな予算じゃできない」「こんな条件じゃ無理」
そんなのばっかりですよ。
むしろ全部を思い通りにできることなんて数えるほどしかない。
それでもやるから出来るんだと思うし、
規制されたくないなら、
自分でリスクも作成も全部背負えばいいじゃん。

日本の文化は規制と抜け道の文化だと私は感じてきたし、
同人もその中で生まれ育ってきたものの一つだと思う。
他のジャンルはそれでやってこれているのに、
もしこの程度のゆるい規制で同人が廃れるなら、
同人はその程度の力しかない文化なんだと思う。

なんていうか、「今」しか知らないし、「自分の立場」でしか語らない人が
同人業界で、前よりも目立つようになったな、と思います。
コスプレも二次創作も、そしてオリジナルですら。

美しい部分もあります。醜い部分もあります。それが人間で、国で、世界だと私は思います。
けれど私が物心ついたころにとても美しい国だと感じていたのに、
成長して視界が広がって今見えたものは、とてもさもしい国でした。
美しさがかすんでしまうくらい、醜さばかりが目に付く。
見いだそうとしないと、美しさに目がいかない場面が多い。
なんというか、心が疲れます。

そんな、くらいお話でした。
とりあえず1週間に1度くらいはツイッターにいます。


そうそう、7末は久々にイベント行く予定です。