http://book.asahi.com/review/TKY201102150198.html
■自分の愛だけに生きる切実な思い
本書の著者、オルハン・パムクはイスタンブールという街を一つの文学的時空間にまで高めた功績で2006年にトルコ初のノーベル文学賞を受賞したというのだが、私はイスタンブールに行ったこともなければ、なんの関心もない。だから、たいして期待をせずに本書を読み始めた。ところが、上下巻の長い小説から目を離すことが出来なくなるほどひきつけられた。
主人公ケマルは裕福な実業家の息子で、誰からも祝福される相手スィベルと婚約しながら、同時に遠縁の18歳の美しい娘フュスン