こんにちわ。今回は③の割増賃金を支払う替わりの代替休暇の新設についてお話します。


ポイントは労使協定で定める事項と就業規則で定める事項を明確化すること。

年次有給休暇との違いに注意すること。



1. 目的
 労働者の健康を確保する観点から、特に長い時間外労働をさせた労働者に休息の機会を与えることを目的として、1箇月について60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとした

2. 代替休暇に係る労使協定の締結
 代替休暇を実施する場合には、事業場において労使協定を締結する必要があること。
 個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではないこと。
 労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によるものであること。

 労使協定の締結によって代替休暇を実施する場合には、代替休暇に関する事項を労基法第89条第1号の「休暇」として就業規則に記載する必要があること

3. 代替休暇に係る労使協定で定める事項

(1)
代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法(計算方法を明確にすること
  労働者が代替休暇を取得しなかった場合と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率は、いずれも労基法第89条第2号の「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就業規則に記載する必要があること

(2)
代替休暇の単位
 1日又は半日とされており、労使協定では、その一方又は両方を代替休暇の単位として定める必要があること。

 「1日」とは労働者の1日の所定労働時間をいい、「半日」とはその2分の1をいうものであること。「半日」については、必ずしも厳密に1日の所定労働時間の2分の1とする必要はないが、その場合には労使協定で当該事業場における「半日」の定義を定めておくこと。

 代替休暇として与えることができる時間の時間数が労使協定で定めた代替休暇の単位(1日又は半日)に達しない場合であっても、「代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇」と合わせて与えることができる旨を労使協定で定めたときは、当該休暇と代替休暇とを合わせて1日又は半日の休暇を与えることができる。時間単位年休を活用することも差し支えないこと。

 割増賃金の支払に代えることができるのは、代替休暇の部分に限られるものであること。

(3)
代替休暇を与えることができる期間
 時間外労働が1箇月について60時間を超えた当該1箇月の末日の翌日から2箇月以内とされており、労使協定では、この範囲内で定める必要があること。

 代替休暇を与えることができる期間として労使協定で1箇月を超える期間が定められている場合には、前々月の時間外労働に対応する代替休暇と前月の時間外労働に対応する代替休暇とを合わせて1日又は半日の代替休暇として取得することも可能であること。

(4)
代替休暇の取得日及び割増賃金の支払日
 (1)から(3)までの事項以外の事項として労使協定で定められるべきものとして、次のものが考えられるものであること。
 () 労働者の意向を踏まえた代替休暇の取得日の決定方法
 () 1箇月について60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の支払日

4. 法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間
 法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間は、1箇月について60時間を超える時間外労働のうち労働者が取得した代替休暇に対応する時間の労働とされており、具体的には、労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とされているものであること。

 したがって、代替休暇取得の意向があった労働者が実際には代替休暇を取得できなかったときには、取得できなかった代替休暇に対応する時間の労働については、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が必要となること。

5. 代替休暇と年次有給休暇との関係
 代替休暇は、年次有給休暇とは異なるものであること。

 労働者が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、正当な手続により労働者が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定基礎となる全労働日に含まないものとして取り扱うこと