おはようございます。
昨日から5月に入り、私は日本では全く気にならないメーデーをイタリアで迎えました。
幸い、イタリアでは大きな公共交通機関の運休などはなく、昨日も天気が悪かったことを除けば、概ね旅程どおりの旅をできたので、4年前のフランス・ニースやリヨンの時のような目には遭わずに済んでいます。
それはそうとそろそろ旅も後半、昨日午後からハイライトのヴェネツィアに舞台を移しており、この3日間を通じて念願だった「水の都」を心行くまで堪能するつもりです。
ヴェネト州散策① ~パドヴァ~
さて、本題のイタリア・スロベニア周遊旅行ダイジェストは4日目のヴェネト州散策から再開します。
ホテルで朝食を済ませ、メストレ駅から思いの外混雑した鉄道に乗って約20分、
下車したのは古代からこの地方の文化と芸術の中心地として栄えたパドヴァでした。
1222年開学のパドヴァ大学(写真1枚目)やその同時期に着工されたサンタントニオ聖堂(同2・3枚目)、市場が賑わうエルベ広場(同4枚目)など、中世以来の見どころに事欠かないこの街ですが、
ダイジェストではこの歴史的建築が並ぶ街において、一際有名な2つの世界文化遺産を取り上げます。
【スクロヴェーニ礼拝堂】
古代ローマ遺跡に設けられた公園内に建つ、1305年に創建された礼拝堂です。外観こそ街中の礼拝堂と見分けがつかない質素なものですが、ひとたび入場すると、
そこには中世後期のイタリア人画家ジョット・ディ・ボンドーネの手掛けたフレスコ画と、鮮やかな青で彩られた神秘的かつ壮麗な空間が広がっていました。
「アレーナのマドンナ」「ジョットの青」などの異名を持つこの礼拝堂は、複数回の大規模な修復を経ているものの14世紀の創建以来姿形が変わることなく、
そのあまりに美しい空間を今に留めているのです。
【パドヴァ植物園】
そしてもう1つは、街の中心部から少し南に歩いた先にある植物園です。
元々はパドヴァ大学薬学部附属の薬草園として1545年に設立されたもので、研究目的の大学付属施設の植物園としては世界で最古とされています。
敷地自体は決して広くありませんが、用途・分類別に配列するよう設計されたこの植物園では、
イタリアをはじめヨーロッパ、南方の多種多様な植物を見ることができ、また用途面に着目して毒草や薬草の区画を設けているのは大学の研究施設らしさを感じました。
また、園内には植物の博物館や近代のグリーンハウス(順に写真1・2枚目)、近年(2014年)になって整備されたガラスの温室(同3枚目)などの施設もあり、
個人的にはグリーンハウスの一角で栽培されている食虫植物が、とてもキモくて(誉め言葉)興味深かったです。
賑やかなパドヴァの街とは対極に位置する静かで緑豊かな植物園なので、上述のスクロヴェーニ礼拝堂等を見た後の自然の癒やしに訪れるのもよいかもしれませんね。
ちなみにこの日のランチは、パドヴァ駅にほど近いカジュアルなレストランでパスタを賞味♪
もちもちパスタが美味しいのはもちろん、トマトソースとパンの食べ合わせもよかったので、デザートを食べることなくお腹が満腹になりました(笑)。
ヴェネト州散策② ~ヴェローナ~
続いて午後は、パドヴァからさらに西のヴェローナを訪れます。
パドヴァと同じく古代ローマ以来の歴史ある文化・芸術都市であるヴェローナには、1世紀に建設され3世紀に現在の地に移転したアレーナ(円形闘技場)などに当時の名残が見られますが、
この街を語る時に欠かせないのがW.シェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の舞台とされる点です。
あくまでモチーフこそあっても創作のため、信憑性はともかく旧市街にはこの物語の遺産が今も多く残り、
とりわけジュリエットの家(写真1~3枚目)は、ヴェローナで最も人気の高い観光スポットですし、また現在はフレスコ画美術館となっているカプチン派修道院(同4枚目)の中庭の地下埋葬所には、
赤大理石の石棺がひっそりと置かれた、ジュリエットの墓とされる一室を見ることができました。
ちなみに、ロミオの家(モンタッキ家)も旧市街の路地に残っていますが、こちらは中に入ることはできません…(写真4枚目は家の一角に入るレストラン)。
そんなロミオとジュリエット所縁の場所巡りが王道のヴェローナですが、当然ながら歴史的名所は随所にあり、また世界遺産に登録されている旧市街の美しさはイタリアでも屈指と高く評価されています。
そのため以下、ヴェローナで訪れた見どころをハイライトで紹介させていただきます。
【ランベルティの塔】
エルベ広場とシニョーリ広場に面するラジョーネ宮のシンボルの時計塔で、1172年にランベルティ家によって建てられた高さ37mの塔を起源としています。
現在は高さ84m(1463年に改築)となっており、エレベータと階段で内部を上った先に広がる、
360°のパノラマによる赤茶色の屋根が続く街並みは、まさに中世都市の趣でとても素晴らしかったです。
【スカラ家の廟】
シニョーリ広場の東側に建つ、13世紀後半~14世紀後半にヴェローナを治めたスカラ家の墓碑です。
通りからは2つの墓が見えますが、いずれもレース編みのような繊細な尖塔や装飾が見事です。
【サンタナスターシア教会】
1290~1481年にかけて、ドメニコ会の修道士らによって建立されたヴェローナ最大の教会です。
内部は12本の赤大理石の円柱により、3つの身廊に分割された造りとなっており、壁面や礼拝堂に鮮やかな宗教画が描かれているのは他の教会と同じですが、
特筆すべきは最初の柱の下部の2体のせむし像です。
せむし(=背骨が弓なりに曲がり、前かがみの体形になる病気。現在は差別用語とされあまり使わない。)の男性が水盤を支えるその姿は、どこか異様さ・奇怪さを感じますがこの重厚な教会には自然と溶け込んでいました。
また、この教会はアディジェ川の河岸にもほど近く、川沿いを散歩がてら河岸の景色を楽しむのも一興です。
【サン・ピエトロ城】
旧市街からアディジェ川を渡った先の高台を上ったところに建つ城跡です。
高台の下にはテアトロ・ロマーノ(1世紀頃のローマ劇場)の遺構が残り、古代には宗教儀式が行われた聖なる地とのことですが、
現在は展望スポットとして人気で、アディジェ川を挟んでヴェローナの街並みを一望する景色は、ヴェローナの街の魅力を最もよく表現しているといえます。
旧市街の中心からはやや北に離れますが十分に徒歩圏内ですし、高台の階段もそこまできつくないので、ヴェローナを訪れた時には一押しの場所です。
以上、帰り際にイタリア名物のジェラートをダブル&コーンでいただき、レストランが並ぶ大通りからバス&鉄道に乗ってヴェローナを後にし、4日目は終了となります。
ヴェネト州散策③ ~ヴィチェンツァ~
そして5日目(昨日)は、同じくメストレ駅を朝に出発すると、パドヴァの隣のヴィチェンツァで下車。
こちらもパドヴァ・ヴェローナと同じくユネスコの世界文化遺産に登録されている街ですが、
その理由は街の至る所に残る華麗な館で、今も現役の住居や商業施設、オフィスとして用いられているためそのほどんどが内部見学不可とされているものの、
この小路や小規模な街に対して中世~ルネサンス期の様々な様式による豪壮な邸宅が並ぶ様は、外観を見るだけでも思わず圧倒されるほどです。
そして、このヴィチェンツァの建築様式を代表する人物が、
16世紀に活躍したアンドレア・パッラーディオであり(写真は彼の石像)、彼の作品として、
シニョーリ広場に面するバジリカや、
彼の名を冠するアンドレア・パッラーディオ大通りの北端に位置するキエリカーティ宮(現在は市立博物館)などを見ることができます。
このようにパッラーディオの作品を含め、1つ1つの邸宅が「宮」と呼ばれるのも納得の壮麗さですが、一部の美術館等では入場見学することもでき、
その中で訪れたのが、パッラーディオが都市型の住居として手掛けたバルバラン宮の一角を使用するパッラーディオ博物館でした。
内部の中庭はごく普通の邸宅の趣でしたが、
居室の各所にかつての邸宅としての華やかな装飾を見ることができるだけでなく、
パッラーディオの作品を模型を通じて立体的に、かつ丁寧な解説で知ることができる点で、コンパクトながら一石二鳥の施設だと思った次第です。
他にも公園の川沿いの邸宅(写真2枚目)やシニョーリ広場に面するヴェネツィア共和国総督官邸(同3枚目)、
11~16世紀に建てられたドゥオーモなど、小さな町ながら見ごたえのある建物には事欠かないので、日本人的には隠れた名所として十分お勧めです。
こうして1日半をかけて、ヴェネト州の3つの世界遺産都市を散策した後は、メストレに戻って手抜きにマクドナルドで昼食を済ませてから、ついにこの旅行の最大のハイライトであるヴェネツィアに出発しました。
そして、5日目の午後から7日目にかけてのヴェネツィア市内散策のダイジェストは次回から、やや早足で紹介させていただく予定です。
ではでは。