おはようございます。

イタリア・スロベニア周遊旅行は今日で4日目、舞台をスロベニアからイタリアに移して現在はヴェネツィアの島々の玄関口のメストレに滞在しています。

 

同じヴェネツィア市内ながら、イメージするヴェネツィアとは全く違いごく普通の街という印象ですが、ヴェネト州を散策する拠点としては非常に優れており、またホテルのお値段も良心的で大変ありがたいです。

 

なお、今日から明日午前にかけては、鉄道に乗ってヴェネト州の見どころを散策する旅程を楽しみ、ヴェネツィア本島の訪問は明日午後以降を予定しています。

 

日本人のツアーではあまりない行程ですが、これもフリープランの良さと思った次第です。

 

 

  水銀の恩恵を受けた山間の街

 

さて、そんなイタリア・スロベニア周遊旅行ダイジェストの第2回は2日目の午後、リュブリャナ中央駅に面するバスターミナルから、

 

 

路線バスに乗ってリュブリャナ郊外から西の山間部に入り、のどかな車窓の景色(写真3枚目)を眺めつつ約1時間15分(約60km)を過ごして、

 

 

イドリヤという山間部の小さな街で下車しました。

 

イドリヤは、今でこそ鉄道も通らない辺境の街ですが、かつては水銀鉱山で栄え、ラテンアメリカで産出される銀の精錬(アマルガム法)を通じて、ヨーロッパへの大量の銀流入を陰で支える役割を果たしたそうです。

 

そのため、15世紀末にこの地で水銀鉱が発見されて以降、多くの関連施設が整備され、

 

 

今もシャフト(写真1枚目)や鉱夫の家(同2枚目)などの産業遺産や、

 

 

 

当時の富を基に築かれた瀟洒な邸宅や教育・産業施設が数多く残っています。
 
ちなみに写真2枚目は刺繍のレース学校ですが、ボビンレースは今も続くイドリヤの名産品であり、学校周辺には刺繍製品の土産物店が数多く見られました。
 
 
そんな華やかさと、山間部のゆったりした空気が漂うかつての水銀鉱山の街において、私が今回入場観光したのは以下の2箇所です。
 
 
【アントニイェフ坑道】
イドリヤ最古の坑道であり、16世紀初期から水銀を含む鉱石(辰砂。Cinnabar)の採掘が始まりました。
 
 
 
最深約400mまで坑道が掘られ、約500年にわたって稼働したこの坑道は、1時間半のガイドツアーで実際にその一部を散策することができ(写真4枚目:順路)、
 
まるでダンジョンのような内部を、
 
 
 
ガイドの丁寧な解説と採掘の様子を再現した人形等を通じて巡る体験を通じて、掘削技術の進展と木材をふんだんに使った坑道整備の模様、
 
さらに実物の鉱石や鉱夫が信仰したとされる教会の現物も見られるのは、とても貴重な経験といえます。
 
【ゲヴェルクニック城】
16世紀にこのイドリヤを統治するための拠点として設けられた城で、現在は市立博物館・芸術学校が入る複合文化施設となっていました。
 
この小さな町に写真のようなお城が建てられること自体、イドリヤがいかに水銀で潤ったかを体現しており、
 
とりわけ中庭の壁の装飾の華やかさは見応え十分です。
 
 
 
 
他にはバスターミナル近くのカフェでケーキを食べつつゆっくり休憩したり(写真1・2枚目)、丘の家の教会(同3枚目)など気になる施設を眺めて過ごし、
 
 
約4時間のイドリヤ散策を終了。
片道2ユーロと信じられないくらい安い路線バスに再び乗って、リュブリャナ市街に戻りました。
 
そしてリュブリャナでは、もう一通り街中を散策していたので、ホテルで外が暗くなるまで休んでから
 
 
夜の街並みをブラブラ散策します。
正直、そこまでガヤガヤ騒がしい感じはなく、また治安は肌感覚的にはとてもよかったので、
 
日中に訪れた三本橋の周辺を安心して歩くなど、
 
 
リュブリャナの夜の趣も堪能して、そこまで長居もせずホテルに戻り、2日目の行程を終えたのでした。
 

 

  もう一度リュブリャナ市街を散策

 

 
3日目は、前日にリュブリャナ市内中心部を一通り散策していたのでホテルでゆっくり朝を過ごし
 
それから国立博物館に入場観光します。
1885年に建てられたこの建物では、古代ローマを中心としたスロベニアの遺産を見ることができますが、
 
 

 

すでにイタリアだけでなくヨーロッパの各地で古代ローマの遺跡や博物館を巡ってきた自分としては、正直言ってそんなに印象深い展示はなく、
 
唯一、ローマ時代の青銅の青年像大理石でなくて却って珍しく感じた次第です。
 
解説を読む限りでは、大理石像と違って青銅の像は後世になって溶かして武器等に転用されることが多く、むしろ貴重とのことで思わず納得してしまいました。
 
 
 
そしてこの午前中、国立博物館以外は国会議事堂(写真1・2枚目)やフランシスコ会教会(同4枚目)など、前日に訪れた建物を再び巡るという、
 
 
真新しさこそない時間でしたが、最近の海外旅行はそれぞれ1回ずつしか訪れないなど急ぐ行程が多かったため、これはこれでたまによいものですね。
 
そんな中で、改めて三本橋界隈を見て回っていると前日に見落としていたスポットも発見でき、
 
 
写真のリュブリャニツァ川沿いの中央市場は、実はこれもヨジェ・プレチュニクの作品であるとか、
 
 
前日はケーブルカーで上った小山を、この日はハイキング気分で徒歩で上り
 
 
リュブリャナ城の外観をぐるっと鑑賞したのは、2度目ならではのよい体験でした。
 
 
 
 
そしてお昼前には、リュブリャナ城内のカフェでスロベニアのご当地スイーツ「ブレイスカ・クレムナ・レズィーナ」を約8年半ぶりに味わったり(写真3・4枚目)、
 
 
昼食には市内屈指の人気ピザ店ピザ1枚を丸ごと平らげてから(これでスモールサイズ…。)、
 
 
食後の散歩として最後に三本橋界隈を再度ブラブラして、2日間のリュブリャナ市内散策を終えた次第です。
 

 

  国境を渡り、イタリアへ

 

 
 
そして午後は、前日バスに乗ったリュブリャナ中央駅から今度は鉄道に乗り、南西の山間部を越えてイタリア東端の港湾都市のトリエステを目指します。
 
ただ、これが約100kmの距離を3時間かけて走るというJR芸備線どころか今は亡きJR三江線並みの緩慢な移動で、こういった経験をすると、日本の鉄道の線形や運行がいかに優れているかが実感できますね…(苦笑)。
 
 
そんなこんなで午後5時半前、緩慢な運行に加え10分近く遅延してトリエステ中央駅に到着しますが、大きなスーツケースを抱えて観光する気分にはなれず、
 
 
隣のバスターミナル(写真1枚目)などを眺めつつ駅前を少しブラブラするとすぐに駅に戻り
 
 
 
今度はトレニタリア(民営化した旧イタリア国鉄)の在来線に乗り、今度は約120kmを2時間とまだ許容範囲のスピードで、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州を横断して目的地のヴェネト州に入ります。
 
そして午後8時過ぎ、リュブリャナ中央駅を出て6時間余りが経ってようやく、
 
 
 
現在滞在するホテルの最寄りのメストレ駅に到着し、下車後はホテルに直行して3日目を終えたのでした。
ではでは。