こんばんは。

この3連休は、予定どおり中国地方のローカル線をブラブラ巡ってきましたが、恒例の早朝出発は体力の消耗が激しく、ブログを更新する余裕が全くありませんでした。

 

そろそろ、余裕を持って旅をする年齢に差し掛かっていることをつくづく実感する一方で、時間を無駄にしたくない貧乏性もあって未だ行動変容には至っていません

 

プライベートは最後は自己責任なので、可能な限り自分のやりたいことをやるつもりですが、もし仕事に迷惑をかけるようなことがあれば本格的に見直すつもりです。

 

まあ、そんなことを言っている時点でまだまだ余裕なのかなというのが現状なのでしょうけどね(苦笑)。

 

 

  飛鳥時代に遡る播州最古の国宝寺院

 

 

さて、本題の3連休の中国地方周遊旅行は、自宅の最寄駅を始発で出発して、午前6時に羽田空港に到着

 

こんな時間なので、朝食もラウンジ休憩もなく手荷物検査を通過し、神戸行の便に搭乗します。

 

 

そして7年ぶりとなる神戸空港は、これから搭乗するお客さんの大行列(写真2枚目)に驚きつつも、特に何もせず神戸新交通ポートアイランド線に直行しました。

 

 

神戸新交通ポートアイランド線は、神戸空港に直結し街の中心の三宮駅まで行けるので、伊丹空港や関西国際空港よりよほど交通の便がよいのですが、

 

 

そもそもの便数の少なさに加え、羽田発着のJAL便がないのがイマイチな印象を受けます。まあ、このポートアイランド線の輸送量からしても現状が限界なのかもと思いつつ、終点まで車窓を眺めて過ごしました。

 

 

そして三宮では、朝マックで遅めの朝食を済ませると、JRだけ「ノ」が付くややこしい三ノ宮駅から、

 

 

JR東海道本線・山陽本線に乗り、同じ兵庫県でも播磨地方の加古川駅まで移動します。

 

人口約25万人の中規模の地方都市である加古川市は、隣の姫路市と比べるとあらゆる点でマイナーな街ですが、敢えて今回私が立ち寄ったのは、

 

 

駅前からバスでさほど時間を要せずに行ける、多くの文化財を残す古刹「鶴林寺」を訪れるためでした。

 

鶴林寺は、伝承では飛鳥時代の587年に聖徳太子が渡来人の有力氏族だった秦河勝に命じて精舎を建立させたのが始まりとされ、当初は四天王寺と呼ばれていました。

 

 

そして、9世紀初めに慈覚大師円仁が訪れたのを機に天台宗に改宗し、平安後期の1112年に鳥羽天皇から鶴林寺の勅額を下賜されたこの古刹には、白鳳時代以来の多くの文化財を残しており(写真:仁王門)、

 

 

 

境内には常行堂(写真2枚目)や行者堂・鐘楼(同3・4枚目)など、平安時代~室町時代にかけて建てられた6つの文化財を見ることができます。

 

 

そして、6つの文化財(写真2枚目:護摩堂)の中でも、国宝に指定されているものが2つあり、

他の4つは重要文化財。他に県指定文化財もあり。

 

その1つが仁王門をくぐった先に建つ本堂です。

室町時代の再建と伝わるこの本堂は、

 

 

和様・大仏様・禅宗様の折衷様式の代表作とされ、

 

 

 

観光的な知名度は決して高くないものの寺社建築の中では高く評価されているそうです。そんなマイナーな位置付けのためか本堂はがらんとしており、混雑を気にせずにじっくり鑑賞してから、

 

もう一つの国宝建築である太子堂を鑑賞。

こちらは外観のみの拝観となりますが、

 

 

宝珠をいただいた檜皮葺の屋根が優美なこの御堂は、鳥羽天皇から勅願を下賜されたのと同年(1112年)に建てられた兵庫県内最古の現存建築とのことです。

 

室町時代の全盛期を経て、戦国時代の戦火や江戸時代の厳しい宗教政策を乗り越えたこの歴史的建築は、本堂と並び、今も地元の人々に「播磨の法隆寺」と称えられるこの古刹のシンボルとなっています。

 

 

他にも重要文化財に指定されている仏像や仏具が多数展示されている宝物館(写真1・2枚目)や、聖徳太子が仏教の修学に励んだ建物の門跡(同3枚目)などの見どころがあり、思った以上に境内散策に時間を要しました。

 

ちなみに、加古川駅からのバスは1時間に2本程度、また山陽電鉄の尾上の松駅からも同様のアクセスが可能なので、交通の便は中々よかったです。

 

 

  姫路のB級グルメと黒歴史の公共交通

 

こうして加古川随一の観光名所を満喫した後、加古川駅に戻った頃にはちょうど昼食によい時間だったので、駅の高架下に店を構えるManeki Diningに入店します。

2024グルメ記事 #14

 

姫路のご当地麺「えきそば」で有名なまねきがプロデュースするこのお店は、

 

 

えきそば以外にも創作系の麺料理や丼などのセットメニュー、ビールなど居酒屋的な装いとなっており、本家本元よりゆっくり過ごせる印象を受けました。

 

 

そんな印象は、テーブル席が豊富に設けられている点からも伺えるところですが、

 

それでも食べるのは定番のえきそば(天ぷら)炊き込みご飯のセットという手堅いチョイス。

 

 

和風だしと中華麺、そして天ぷらの絶妙な組合せ和なのか中華なのかよくわからないものの(苦笑)、まあ美味しいのでよしとしておきましょう。

 

あと、炊き込みご飯は特筆すべき点はないものの、650円のセットとしては基本を押さえたお得メニューというのが率直な感想です。

 

 

昼食後は、そのえきそばが生まれた姫路駅に移動し、

 

駅を出て正面に姫路城を望むその光景は、城下町の鑑のような都市設計だなあとお馴染みの印象を抱きつつ、

 

駅前のバス停から姫路城と反対方向に向かいます。

姫路に行って姫路城に行かないならどこに行くのか、と言われそうですが、

 

今回の目的地は1966年の姫路大博覧会のメイン会場となった手柄山中央公園です。

 

 

 

和洋様々な庭園や城下町に似つかわしくない洋風の建物が建つこの公園の一角には、姫路市にかつて8年だけ存在した公共交通機関である、

 

 

姫路モノレールの展示施設があり、その入口前には実物の台車(写真1枚目)が置かれています。

 

 

 

施設に入って正面には、かつての姫路モノレールのジオラマが展示されており、公団住宅の3階・4階部分を貫く大将軍駅(写真1枚目)は、その廃線後もインパクトが強い遺構として多くの鉄道愛好家に親しまれました。

 

 

 

そんな姫路モノレールの終点だった手柄山駅を改造して展示施設とした館内には、姫路モノレールだけでなく国内外のモノレールに関する紹介パネルや、

 

 

実際に使われていた機材、さらには、

 

当時の車両まで保存されており、モノレールに興味がある方にとっては歴史的遺産の宝庫となっています。

 

ただ、そんな鉄道遺産は姫路市にとって昭和の黒歴史の一部である点もまた事実であり(苦笑)、

 

 

姫路モノレールは元々、昭和の香り満点の姫路大博覧会の会場に向かう交通手段であると同時に、未来の乗り物として目玉的に華々しく1966年に開業しました。

 

そして、姫路大博覧会の開催中は話題も乗客も集めたモノレールですが、その終了後は運賃の高さや、

 

写真の時刻表のとおり、通勤にも使えない微妙なダイヤ、そして姫路駅まで徒歩30分という微妙な距離から、赤字を垂れ流す無用の長物に成り下がります(苦笑)。

 

そして1974年にわずか8年という公共交通としては異例の短さでひっそり廃止されるに至り、
 

 

 

今も鉄道愛好家の間では姫路の恥(黒歴史)として、事あるごとに語り継がれているのです。

 

この点、後述のJR三江線のように最後は華やかに運行を締め括ったのとは大違いといえるでしょう(汗)。

 

ただ、そんな碌でもない鉄道遺構ですが、2020年には土木学会から選奨土木遺産に認定される栄誉に浴しており、何事も歴史が経てばそれなりに評価されるものですね。

 

 

さて、そんな世界遺産都市・姫路の黒歴史を垣間見た後は、ブラブラとかつてモノレールが走った船場川沿いを歩いて姫路駅に戻りますが、

 

 

そこには廃止から50年が経った今でも姫路モノレールの高架跡を見ることができます。

 

 

ただ、近年は老朽化に伴う解体工事が順次進められており、特に架線部分に関しては年々現存する区間は短くなっているので、興味がある方は早めに訪れた方がよいです。

 

 

また、この橋脚跡にはJR山陽本線とJR山陽新幹線の高架と交わる部分がありますが、同じ「未来の乗り物」として開業した新幹線とモノレールが辿った結末の違いを感じるのはちょうどよいスポットかもしれませんね(苦笑)。

 

さらに上述の大将軍駅のあった公団住宅(高尾アパート)は2016~2017年にかけて撤去されてしまい、

 

現在は更地となりフェンスに囲まれた未利用地となっていました。なお、工事の過程では地下の基礎杭の撤去が困難だったため、当面は駐車場としてしか用途がないというおまけ付きという点も、最後までネタ満載です…。

 

 

 

その一方で、民家や商店から突き出る橋脚はまるで煙突のように現存しており、こちらは建物自体が再開発や災害等で消滅するまで生き残り続けるのでしょう。

 

そして、姫路モノレールの遺構群は写真のT字の橋脚でもって尽き、沿線の遺構散策を締め括ります。

 

この点、一度作ったインフラが負の遺産となった時の厄介さ国や地方公共団体の反省材料にしてほしいものですが、その後も某愛知県小牧市など全国で失敗例が相次ぐあたり、人間は懲りないんだなあと呆れる次第です(汗)。

 

 

マイナーなイメージのご当地スイーツ 

 

そんな姫路モノレールの無用の長物ぶりを実際に沿線を歩いて痛感した後は、姫路駅前の商業施設「キュエル姫路」の1階にあるcafe saintmaria NAGOMIを訪問。

2024スイーツ記事 #16

 

 

 

店頭の「和」のマークからは和スイーツのメニューが多い印象を受けますが、実際はランチは和といっても創作系、スイーツは洋菓子とトーストがメインで、あくまで「なごみ」であって和風を意味してはいないようです。

 

そして今回、名古屋でいう小倉トースト的な位置付けの姫路のご当地パンのアーモンドバタートーストのセットをいただきました。

 

 

焼き立てのトロトロのアーモンドバターふわっとしたトースト生地の組合せは、奇抜さこそないものの市販のアーモンドバターを挟んだコッペパンなどとは完成度が違い、スイーツとして十分完成されていたように思います。

 

 

店内も縦長の寛げる雰囲気なので、立地の良さを含め朝から夜まで色々な用途に使えそうないいお店でした。

 

さて、この後は姫路駅から丸2日かけて中国地方のローカル線を巡っていくのですが、記事の容量の都合上、今回はここまでとします。

 

次回はひたすら駅メモ巡りの模様を紹介していきますので、鉄道に興味のない方は読み飛ばしてもらって結構なのでその点につきあらかじめご承知おきください。

ではでは。