おはようございます。

昨日から始まった3連休、私は予定どおり四国周遊旅行の第2部に挑んでおり、初日は愛媛県の中予・南予地方の国宝建築と駅メモ巡りに励みました。

 

残念ながら今日・明日は四国全域が雨模様のようですが、その中で徒歩で結構歩く必要がある国宝建築を思うと今から億劫にはなりますが、四国に何度も気軽に訪れるのも難しいので、この機に決着を付けるつもりです。

 

先送りしてもいいことが何もないのは公私問わず共通しているので、3日間適度に頑張りたいと思います。

 

 

【歴史の中で変化を受け入れる古湯】

 

 

 

さて、本題の四国周遊旅行の第2部の初日(土曜日)は、いつもどおり早朝に羽田空港に着くと、手荷物検査場は大混雑(写真3枚目)、搭乗する飛行機は満席という連休初日らしい体験を経て、


 

 

第1部から1カ月も経っていないため、何の懐かしさもない松山空港に到着します。
前回との違いといえば、航空会社をANAにしたくらいで、これも着いてしまえば同じです(苦笑)。
 
 

ただ、前回は自動改札すら存在しないJR松山駅でリムジンバスを降りたのですが、今回は街の中心に位置し百貨店の高島屋も入る松山市駅(伊予鉄道)まで行き、
 
 
JR松山駅前との賑わいの差を肌で感じつつ、意外にも新車を導入している伊予鉄道の市内線と呼ばれる、所謂路面電車に乗り換えます。
 
(ButuCC - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49744442による)
 
ここで伊予鉄道について少し触れると、愛媛県の旧国名である「伊予」を冠するとおり、愛媛県の地方鉄道会社であり、松山市を中心に路面電車(市内線)を5系統、松山市外に向かう鉄道路線を3本運行しています。
 
その他、バス事業は関係会社を含め県内で幅広く行っていますが、鉄道・軌道事業自体は中予地方に限定されるため、その名前のイメージより小規模に感じました。
 
ただ、伊予鉄道の歴史は1887年創立と民営鉄道の中では日本で2番目に古く(最古は南海電鉄)、バス事業を含め現在に至るまで、JR四国と並んで愛媛県の公共交通の基幹を担う存在といえるでしょう。
 
 
また、同じ四国の民鉄でも琴電と違って経営破綻の経験もなく、国や自治体の資本も入っていない純粋な民間経営を継続できている点も、この商圏が決して大きくない四国では素晴らしいことですね。
 
 
それはそうと、振り返ると約6年半ぶりだった道後温泉駅で路面電車を降りると、その駅前は、
 
 
アーケード街の入口(写真1枚目)や放生園(同2枚目)など、以前とほとんど変わらない姿でした。
 
こう書くと、歴史ある温泉街だしそんなに変わるものでもないのではと突っ込まれそうですが、実はこの街のメインである「温泉」が諸々のリニューアルしている最中で、
 
例えば1953年に国体が四国各県で開催されたときに建設された「道後温泉 椿の湯」は、2017年に内部を中心にリニューアルされましたし、
 
その隣の「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」は、同じ2017年に観光施設として新たにオープンしました。
 
 
 
また、写真1・2枚目のとおり飛鳥乃湯泉の中庭(ハダカヒロバ)は、地域活性化プロジェクトの一環として蜷川実花氏の手による「飛鳥乃湯泉インスタレーション」が展開されており、そのビビッドな情景はインパクト抜群です。
 
そして、まだ朝のため人出がそれほどでもない商店街(同4枚目)を進んでいくと、
 
その出口にこちらもド派手な壁が立っていましたが、
 
 
これは実は、複数年計画で営業しながら順次保存修理工事を進めている道後温泉本館の素屋根テント幕で、画家の大竹伸朗氏の筆によるものだそうです。
 
現在は東正面が入口となっており、2024年末の工事完了まではこの和風建築とビビッドなアートという一種異様な趣が続く訳ですが、
 
 
 
その向かいの高台に建つ湯神社(写真2・3枚目)の脇に整備された足湯等の休憩施設「道後温泉 空の散歩道」(同4枚目)のテラスからは、
 
 
大竹氏のアートを見下ろすことができ、逆に期間限定の景観と考えれば貴重な体験かもと思いました。
 
 
【道後温泉にほど近い国宝寺院】
 
 
こうして、約6年半ぶりの道後温泉の変貌を目の当たりにした後は、道後温泉駅前から伊予鉄バスに乗り、
 
 
10分に満たない距離にある、四国霊場八十八カ所の第51番道場である石手寺(いしてじ)を訪れます。
 
 
 
石手寺は、寺伝では8世紀前半に聖武天皇の勅願によって創建され、伊予の豪族・河野氏の庇護下で石手寺とその名が改められました。
 
 
現在は四国霊場八十八カ所巡りで多くの巡礼者が参拝するとともに、境内には鎌倉期以降の多くの歴史的建築が良好な保存状態で残っています。
 
例えば三重塔(写真1枚目)や本堂(同2枚目)、
 
 
 
鐘楼堂・銅鐘(写真2枚目左)は、いずれも鎌倉時代末期のもので国の重要文化財に指定されているそうです。
 
 
 
そんな道後温泉の片隅の境内の中で、最も歴史的に貴重な遺産とされているのが、
 
境内の入口に構える仁王門であり、郷土の史書では河野氏が1318年に建立したとされる国宝建築です。
 
 
 
運慶一門(湛慶)の作と伝えられる金剛力士の逞しい立像(写真1・2枚目)が安置され、また蛙股(同4枚目)はあの運慶が手掛けたと言われており、
 
 
 
彩色がなくとも精緻に築かれた建物全体の均整は、鎌倉期に築かれた全国の楼門の中でも屈指の優れた作品と、高く評価されています。
 
この石手寺の創建に携わり、仁王門を設けた河野氏は飛鳥時代から安土桃山時代まで40代を経て断絶しますが、彼らの歴史は今も、この石手寺や道後公園の湯築城跡などに面影を残しているのです。
 
 
 
この後は、再び伊予鉄バスに乗ると今度は道後温泉を通過して街の中心の大街道で下車し、
 
ランチにはせっかくなので愛媛県のご当地グルメを楽しもうと思い、松山城ロープウェー商店街に3店舗を展開している「鯛めし もとやま」を訪れました。
2023グルメ記事 #84
 
 
私が利用したのは3号店でしたが、こちらはやや奥まった縦長の造りになっており、また半個室とテーブルの配置なのでグループで来ても入りやすそうな印象です。
 
そして今回チョイスしたのは、王道の宇和島鯛めしの一人前ですが、こちらは鯛の大盛も可能となっています。
写真は普通盛です。)
 
 
 
鯛や薬味(写真1枚目)を、玉子をかき混ぜたタレ(同2枚目)とともにご飯でいただく南予風は、刺身が好きな方にはぴったりで、最後の刻みのり(同4枚目)をかけての味変を含め舌もお腹も満足できました。
 
 
 
さらに、食後のスイーツを楽しむため、安藤忠雄氏設計の「坂の上の雲ミュージアム」(写真2枚目)を通り過ぎ、約6年半前に見学した旧松山藩主の子孫の久松定謨伯爵の別邸「晩翠荘」(同3・4枚目)の敷地内に店を構える、
 
 
お洒落なカフェ「漱石珈琲店 愛松亭」に入店。
2023スイーツ記事 #83
 
 
 
その名のとおり、夏目漱石に関する展示(写真1枚目)が店内に複数見られ、近代洋風をイメージした建屋と、
 
 
竹林に囲まれたテラスのいずれも素敵なこのカフェが建つ地には、かつて夏目漱石が松山に英語教師として赴任した当初に下宿した小料理屋「愛松亭」があったそうです。
そんな歴史を感じる名前のカフェでは、
 
ご当地スイーツのみかんのショートケーキと、最近売りにしている抹茶のロールケーキを注文♪
 
 
 
いずれも単品500円とお手軽価格ながら、生クリームに安っぽさがなく丁寧に仕上げられており、いい意味で期待を裏切る内容でした。
 
 
立地自体、晩翠荘の手前と散策前後のティータイムには最高なので、松山の歴史を感じつつご当地スイーツを楽しむにはお勧めのカフェといえます。
 
 
 
こうしてランチとティータイムを満喫したところで、次は松山城ロープウェー商店街を北に進み(写真2枚目:松山藩初代藩主の加藤嘉明公の騎馬像)、
 
 
再び伊予電鉄市内線に乗車。
ぐるっと街中を回って5系統(重複部分あり)をコンプリートしてから、
 
 
 
やたらと線路が並ぶ古町駅で下車し、松山市中心部から港湾エリアのある北西に伸びる高浜線に乗り換えます。
 
松山市駅から瀬戸内海の島々や広島方面を結ぶ航路を持つ高浜港・松山観光港の玄関口である高浜駅を結ぶ、路線総延長9.4km・計10駅の短い区間のこの路線では、
 
 
途中の美津駅で下車し、午後の国宝建築巡りに入っていく訳ですが、時間の都合(現在、高知県四万十町の窪川駅で特急待ち中)から今回はここまでとします。
 
次回は、初日(土曜日)の午後から2日目(日曜日)の半ばくらいまでは進めていきたいと考えています。
ではでは。