おはようございます。
今週から7月に入り、これから夏本番といったところですが、ここ数日は全国的に豪雨が続いており、土砂災害などが危ぶまれる状況となっています。
夏~秋にかけて台風の到来も見込まれる中、今後は新型コロナウィルス感染症対策と併せて、台風・豪雨など自然災害への対応も意識しなくてはと思う今日この頃です。
さて、本題のチュニジア旅行記は「チュニジアのルーブル」と呼ばれる歴史と美の殿堂、バルドー博物館の散策を中心に取り上げます。
細やかな古代ローマのモザイク画と豪華なオスマン様式の宮殿、異なる2つの文化をお楽しみください。
2月15日(土曜日) チュニス⑥
バルドー博物館では、まず手前の階段(写真1枚目)から2階に上り、チュニスの南東のマハディアの沖の沈没船の宝物を鑑賞し、
その品々の多彩さ・豊富さに驚きます。それだけ当時、チュニジアでは地中海交易が盛んだったことを実感した後、
その隣の小部屋に展示された「ヴェルギリウスの肖像」の前で立ち止まり、隅々まで見つめました。
古代文学史上の偉人、ヴェルギリウスの肖像画としては世界最古とされるこの作品は、彼を中心に左右に2柱の女神を配し、あの叙事詩「アエネイス」を執筆する様子を表現しており、
無数の石やガラス、陶片を敷き詰めて描かれたその精巧ぶりは、細かく見ればみるほど感心してしまいます。
続いては、1階に戻ってかつて宮殿だった区画に入ると、壁や床の装飾が大きく変わり、対称・幾何学的な模様(写真2枚目)が目に入るようになりますが、その床の一部にも、
2人の男性が手に持った武器で争うモザイク画が展示。
一方の男性が頭から血を流している様子(写真2枚目中央)は、上手く表現できているなあと思わず感心しました。
そんなモザイク画とオスマン様式の装飾、それぞれを見逃すことなくじっくり眺めつつ、再び2階に上がると、
壁一面に装飾が施された、美しい居室に出ます。写真のとおり、壁や床も見どころ十分ですが、特に印象的だったのが、
白の化粧漆喰にカラフルな装飾が施された天井です。
思わずその美しさに魅入られ、ずっと見上げてしまいました。
この後は、宮殿の大広間だったカルタゴの間を訪ね、
人や動物、植物、神々を精巧に表現した巨大なモザイク画や、
古代ローマの彫像群を鑑賞しましたが、個々の作品の魅力とだけでなく、イスラム宮殿とのコントラストも興味深かったです。
また、この広間の一角には、2015年3月の銃乱射事件の弾痕(写真中央)が見られ、この博物館が凄惨なテロの舞台だったことを改めて実感させられました…。
次に、全く時代が異なるにもかかわらず、白亜のドームと幾何学模様のモザイク画がよくマッチした宝の間を挟み、
金地に象嵌細工を施した木天井(写真1枚目)、そして豪華なシャンデリア(同2枚目)が目を惹くスースの間に入ります。
この広間は、宮殿としての豪華な装いはもとより、
古代ローマの大農園主の暮らしを表現した「ユリウス卿のモザイク」(写真1枚目)のような、人々の営みをテーマとした作品から、海の生き物をリアルに描いたもの(同4枚目)まで、多種多様なモザイク画も1つ1つが見どころ十分です。
本当によく、石や陶片でこんな精緻に表現できますよね…。
こちらは、スースの間の隣の部屋の展示ですが、ブドウ(写真1枚目)や魚(同3枚目)の作品は、普通に描かれた絵画よりよほど美しいのではないか、と思うほどでした(驚き)。
そして、この後見学したバルドー博物館の中でも最も有名な作品の1つが、
ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」の一節、セイレーンの伝説を描く「オデュッセウスとセイレーン」です。
中央に帆柱に身を縛り付けたオデュッセウス(写真1枚目)、小島に鳥の足を持つセイレーン(同2枚目)を配したこの作品は、伝説を明瞭に表現しておりとても興味深かったです。
他にも様々なモチーフのモザイク画を鑑賞した後、
締めに訪ねたのは、キリスト教の洗礼水盤の窪み(写真2枚目)を中央に配したキリスト教徒の間、
そしてバルドー博物館の秘宝の一つとも言われる、「ケリビアの初期キリスト教の洗礼水盤」(写真2枚目)でした。
この見事な水盤は、遠くからしか鑑賞できませんでしたが、曲線形の内側の壁面を埋め尽くすモザイク画は、まさに圧巻の一言だったように思います。
こうして、限られた時間ながらバルドー博物館のハイライトをしっかり巡った後は、途中にショッピングモール(写真2枚目)での買い物を挟んでから、海にほど近いレストランを訪れ、
海産物たっぷりのシーフードパスタ(写真1枚目)をメインとした夕食をゆっくりと満喫♪
中東・北アフリカの伝統料理に加え、地中海沿岸ならではの海の幸を楽しめるのは、チュニジアの大きな魅力といえます。
食後は、前日に続き夜のチュニスの街を散策。
映画館では「アナと雪の女王2」のポスター(写真2枚目左上)を眺めて世界的なヒット作だったことを実感しつつ(笑)、
ハビブ・ブルギバ通りから並木道(フランス通り。写真2枚目)を真っすぐ進み、旧市街に向かいます。
日中、あれだけ賑わっていたバブ・ブハル(写真左)界隈の人影はすっかり少なくなり、
その先のスークに至っては、メインストリートでさえほとんど人影のなく、突然モンスターや盗賊が出てきてもおかしくなさそうな、不気味なくらいの静けさでした(汗)。
そんな若干の不安を抱いただけに、旧市街の街歩きはこのメインストリート周辺に留め、
旧市街のシンボルのグランド・モスクを仰ぎ見たり、
路上でお茶と歓談を楽しむ人々(写真1枚目中央)の様子を眺めたりしたところで、早々に散策を終了。
最後にハビブ・ブルギバ通り沿いの美しい建物を再度堪能してから、ホテルに戻り5日目を終えたのでした。
さて、チュニジアで過ごす最後の夜まで進んだところで、ちょうどキリがよいため、今回はここまでとさせていただきます。
次回はいよいよ旅も終幕、実質的な旅行最終日となる6日目のカルタゴ散策を中心にお届けする予定です。
ではでは。