こんばんは。

8月も後半に入る中、今週は全国的に曇り模様~雨となるようですが、気温は30℃超えが続くため、まだ当分の間、蒸し暑く過ごしにくい日々が続くようです(汗)。

 

ちなみに、週末は野球観戦と高校の同窓会のため名古屋に帰省する予定ですが、今いる離島より常に3~4℃温度が高い予報なので、普段以上に暑さ対策を徹底したいと思います。

 

 

【マレーシアの概要】

 

1 基礎情報

(出典:外務省ウェブサイト)

 

さて、今回から出発まで1カ月先に迫ったマレーシアについて、全3回の予定で概要と歴史を予習していきます。

 

まず、マレーシアの概要について紹介すると、マレーシアは東南アジアマレー半島南部及びボルネオ島北部を領土とする立憲君主制の連邦国家です。

 

陸地ではマレー半島ではタイボルネオ島ではブルネイ及びインドネシアと領土を接し、海を隔ててはシンガポール及びフィリピンと近接しています。

 

(Kirisame - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5499335による)

 

国土面積約33万㎢日本の9割ほどの大きさ、マレー半島:ボルネオ島が4:6の割合を占めています。

 

一方、人口日本の約4分の1約3,200万人(2017年)、人口比率ではマレー半島:ボルネオ島が4:1と圧倒的にマレー半島に集中しているのが特徴です。

 

次に、マレーシアの国旗は、左上の図柄はイスラム教の象徴である月と星を、赤と白の14本の線は国内の13州と首都のクアラルンプールを表しているそうです。

 

また、国章マレーを象徴するトラをはじめ、各部分がマレーシアの伝統・文化及び諸州を表現しています。

 

そしてマレーシアの語源は、サンスクリット語で「山脈のある土地」を意味する「Malayadvipa」にあり、古代インド~中国の交易路だった歴史的経緯が深く関係しています。

 

(Shesmax - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=94358265による)

 

首都はマレー半島南西部に位置し、約180万人の人口を擁する国内最大の都市、クアラルンプールです。

 

KL」と略されるこの街は、シンボルのペトロナスツインタワー(写真左)を中心に超高層ビルが林立し、シンガポール・バンコクと並ぶ東南アジア有数の大都市の1つに挙げられています。

 

そして民族構成マレー系が約69%、中国系が約23%、インド系が約7%とマレー系が多数を占めてはいるものの、3つの民族の中で各々、定住(移住)に至った歴史的経緯や部族等が複雑に分かれているのが大きな特徴です。

 

 

(写真1枚目:Vin Crosbie from Stamford, Connecticut, USA - Modern Day Orang Asli, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=64680355による)

 

例えば、マレー系であれば州や地域ごとに独自の文化や風習の下で生活していますし、中国系(華僑)でも貿易商や出稼ぎの錫鉱夫、清朝崩壊以降の亡命者などその出自は様々です。

 

また、こうした民族構成から、言語マレー語・英語・中国語・タミール語の4カ国語が主に用いられており、公共の案内表示も4カ国語以上が一般的となっています。

(写真2枚目は4カ国語で書かれた「進入禁止」の表示

 

なお、政治的にはマレー語を国語としており、1967年まで公用語だった英語は準公用語として広く普及・使用されています。

 

(globalquiz.org - http://en.globalquiz.org/quiz-image/putrajaya-2/, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27895752による)

 

基礎情報の最後に、宗教イスラム教を国教としており、マレー系を中心に国民の約6割が信仰しています。

 

イスラム教以外では仏教(約20%。中国系が中心)ヒンドゥー教(約6%。インド系が中心)キリスト教(約9%。イギリスの植民地時代の影響)の信者が多く見られるそうです。

 

2 政治体制

(首相官邸ホームページ, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=112032177による)

 

次に、マレーシアの政治体制国王を国家元首とする立憲君主制・議会制民主主義を採用しています。

 

そして、現在の国王(アゴン)は、パハン州のスルターン(君主)を務めるアブドゥラ(写真)です。(今年1月に即位

 

なお、マレーシアの王制は、国内9州の世襲のスルターンの選挙(実際は輪番制)で国王を選出し、任期が5年と明確に定められているのが大きな特徴です。(選挙王制

 

 

(写真2枚目:オリジナルのアップロード者は英語版ウィキペディアのEarthさん - en.wikipedia からコモンズに Leoboudv によって CommonsHelper を用いて移動されました。, CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11067623による)

 

また、国王は立憲君主として行政府の長である首相を任命しますが、現在は2018年5月の総選挙に勝利し、15年ぶりに政権に復帰したマハティール(写真1枚目)が首相を務めています。

 

一方、議会(同2枚目)は元老院(上院)代議院(下院)から成る二院制を採り、前者は国王及び州議会の任命制、後者は小選挙区による直接選挙制により議員が選出されます。

 

ちなみに、国王は下院多数党の党首を慣習上首相に任命するため、実質的には議院内閣制を採用しています。

 

続いて軍事面では、志願制による約11万人の正規軍を擁しており、そのうち陸軍が8万人と大部分を占めています。

 

規模ではベトナム(約48万人)、タイ(約36万人)、インドネシア(約40万人)などの近隣国家と比べて大きく劣りますが、中国とも遠く国内外の関係が安定しているのが理由だそうです。

 

加えて、旧宗主国のイギリスや同じ旧英領のシンガポール、オーストラリア、ニュージーランド相互防衛協定を締結し、周辺を味方で固めている点も大きいと言えます。

 

3 国際関係

(Addicted04 - 投稿者自身による作品この地図は Generic Mapping Tools: https://generic-mapping-tools.org/ で作られました。起伏情報には下記の パブリックドメイン データセットをのうちの1つ以上が使われています。ETOPO2 (地勢/海底地形): http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/global/global.htmlGLOBE (地勢): http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/topo/gltiles.htmlSRTM (地勢): http://www2.jpl.nasa.gov/srtm/বাংলা | English | Español | français | italiano | 日本語 | македонски | sicilianu | 中文 | +/−この文書は、フリーソフトウェア財団発行のGNUフリー文書利用許諾書 (GNU Free Documentation License) 1.2またはそれ以降のバージョンの規約に基づき、複製や再配布、改変が許可されます。不可変更部分、表紙、背表紙はありません。このライセンスの複製は、GNUフリー文書利用許諾書という章に含まれています。, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8008332による)

 

国際関係では、ASEAN(東南アジア諸国連合)の設立当初からの加盟国として近隣諸国との連携を図るとともに、かつて植民地だった国としては珍しく、旧宗主国のイギリスとも良好な関係を維持しています(英連邦にも加盟)。

 

さらに、中東諸国とは同じイスラム教国として、日本・中国とは重要な経済上のパートナーとしていずれも友好関係にあり、どの大国とも等距離外交を展開しているのが大きな特徴です。

 

その絶妙な外交バランスは、あの北朝鮮とも以前は相互査証免除を合意していたほどですが、

 

北朝鮮の最高指導者・金正恩の異母兄金正男が、2017年2月にクアラルンプール国際空港においてVXガスで暗殺されたのを機に急速に関係が悪化し、査証免除の停止・駐箚大使の国外追放に至っています。

 

4 経済・社会

 

最後に、マレーシアの経済・社会に関しては、まず通貨は1975年以来、リンギットが流通しています。

また、補助通貨はセンで1リンギット=100センです。

 

そして、1~100リンギットの6種類の紙幣には、いずれも初代国王アブドゥル・ラーマンの肖像が印刷されています。

 

直近のレートは1リンギット=約25.5円物価は日本と比べると全体では約3分の1とかなり安いそうです。

 

次に、IMFの統計によると2018年時点のマレーシアの名目GDP約3,550億ドルデンマークとほぼ同規模シンガポールや香港と比べると若干劣る水準です。

(東南アジアではインドネシア、シンガポールに次ぐ第3位

 

これを国民1人当たりに換算すると、約11,000ドルシンガポール(約64,000ドル)とは大きな差がありますが、世界銀行の基準では高・中所得国(=高所得国の一歩手前)に分類されます。

 

ちなみに、東南アジアではこちらも第3位なのですが、上にはシンガポール・ブルネイと豊かな小国が位置しています。

 

(Chongkian - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=57387858による)

 

続いて、マレーシアの主要産業に触れると製造業・農林業・鉱業の3本柱が独立以来、国を支えてきました。

 

製造業は、外国企業の誘致だけでなく重工業・インフラ産業に重点を置いた国産化政策を推し進めたことで、旧植民地では珍しく工業化に成功しました。

 

また、植民地時代から続く天然ゴムのプランテーションや林業は、今なお世界で競争力を維持するとともに、単純労働者の雇用の受け皿として重要な役割を果たしています。

(参考:天然ゴムの生産量は世界第5位です。)

 

また、世界的に高いシェアを持つまでではないですが、国内には豊富な天然資源を有しており、植民地時代から採掘が盛んだった(現在の生産量は世界第10位)をはじめ、原油・天然ガス・金・鉄・ボーキサイトなどが有名です。

 

さらに、近年はクアラルンプール周辺においてIT産業の集積が進んでいるほか、近未来都市や歴史ある街並み、美しい自然を活用した観光産業も大きく成長しています。

 

(オリジナルのアップロード者は英語版ウィキペディアのJasy jatereさん - en.wikipedia からコモンズに移動されました。, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9433264による)

 

そして、少し視点を変えてスポーツに目を向けると、マレーシアではバドミントン国民的スポーツとして人気が高く、過去には世界選手権(2007年)が開催され、現在は世界バドミントン連盟のワールドツアーにおいて2大会が開催されています。

 

なお、マレーシアの国技セパタクローだそうです。

…申し訳ないですが、名前しか聞いたことがありません(汗)。

(出典:外務省ウェブサイト)

 

さらに、締めに確認した外務省の海外安全情報では、安全なイメージの強いマレーシアですが、ボルネオ島東部のサハ州沿岸及び周辺島嶼部渡航中止勧告(レベル3)及び不要不急の渡航中止(レベル2)が発令されています。

 

この地域では、イスラム過激派による身代金目的の誘拐や商店等の襲撃、密輸・海賊事案が多発しているためだそうで、今回はマレー半島のみを訪問する予定なので直接の関係はありませんが、過激派の存在を知ること自体が重要と感じた次第です。

 

 

以上、ここまでマレーシアの概要を紹介しましたが、マレーシアは日本人にとってメジャーな旅行先の1つのため、すでにご存じの内容が多いと思われる点は、何卒ご容赦ください。

(写真:クアラルンプール国際空港

 

次回はマレーシアの歴史について、予定では先史時代から戦後の独立までを解説するつもりです。

ではでは。