蓬生(よもぎう)は、うっそうと蓬などが
生い茂った荒れ果てた庭のことです。
源氏が訪ねてくれる日を待ち、ひっそりと
住む不細工な末摘花のその後が書かれて
います。
源氏は姫君が皇室と関係がある身分が
高い方で、琴の名手と聞き、忍び込んだ
ものの、馬のように長い顔と長い鼻で
鼻先が赤い風貌にあきれて逃げて帰った
たことは「末摘花」の巻で紹介しました。
その後源氏は、末摘花のことなどすっかり
忘れていたのですが、たまたま末摘花の
屋敷の前を通り、荒れ果てた庭を見て
気の毒に思い、自分が生きている限り一生
彼女の面倒を見ようと決心したのでした。
「ひなびてふるめかしくのどけきひと」
それは、外見の美しさに関係なく、末摘花
の魅力だったようです。