ちびタンクのひとりごと -15ページ目

ちびタンクのひとりごと

大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

長くなったので二話に分かれています。


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【Day81 2025.11.23 ベレス・マラガ滞在二日目】


一昨日と違い、今朝はあまり寝付けなかった。

その理由はわかっていた。

昨日、ベゴとメリダで会った女性の話になった。

彼女は週に1回、カミーノのYouTubeを更新していて、ベゴはそれをみるのが楽しみだったとその動画を見せてくれた。

彼女のYouTube は写り込む人に配慮してほとんど彼女しか写っていなかったし、場合によってはモザイク処理がしてあった。


私は、ベゴに私もYoutubeの配信をしていることが言い出せなくなってしまった。

無断でベゴとマルセルは映してしまっていて、それはもう随分前のことである。

今更その話をしたら、そのことを不快に思うのではないかと怖かった。


それはある意味、出会ったらそれっきりのカミーノの関係性から発展していることを意味していた。

関係性に未来が伴うから、恐れや不安や恐怖が湧いてしまうのだ。


今日はお昼ごろから生ハムパーティに参加させていただく予定であるが、朝のウォーキングは健在だった。


今朝も快晴である。

海から昇る美しい太陽を、ベゴと二人浜辺で眺めた。

イマとラケルと合流するため向きを変えると、視界の左斜め前を捉える背の高いパームヤシの木の上方がぐらりと揺れた。

それは風で木が揺れるようなものではなく、暑い日のアスファルトの上の蜃気楼のような揺れ方だった。

しかも一部だけである。

一瞬、どこかで焚き火でもしているのだろうかと思うが、そんな様子は見当たらない。

仮にそうだとしても、上の方だけぐらりと揺れるなんて、不自然である。


去年、francigenaを歩いた時のことを思い出した。

その時は、ついさっき私を追い越していった自転車の人が、どういうわけかまた私を追い越していって、短い時間で起こるデジャブのような違和感を覚えた。


マトリックスの世界?

そう思ったのを覚えている。

その感覚にいていた。

世界が揺らいでいる?

パラレルワールドに繋がったのか?

そういえば、サイモンはこの世界はマトリックスだと言っていた。


イマとラケルは昨日より私に慣れたせいかあれこれ話しかけてきてくれて、今日はおしゃべりに必死だった。

おかげで今日のウォーキングは昨日より考えごとに集中できなかった。


昨日と同じ店で朝ごはんを食べて同じ道を戻る。

こんなにも美しく、一年中良好な気候だというのに、生活していると不満や問題は絶えない。

価値というのは、時間と共に消費されてしまうのだろう。


お昼少し前にベゴのアパートの駐車場上で別の女性と合流して、パーティ会場であるベゴの友人宅に向かった。

私を含め女性7人の生ハムパーティである。

このうちの3人が買ったオクトーバーフェストのロトが当たって、その賞品がこの生ハムなのだそうだ。

会場の女性宅は丘の上の別荘のような豪邸で、山の斜面に建てられたお宅はプールが付いているだけでなく、大きな敷地にたくさんの果物が植えられていた。

パーティはまず、その収穫から始まった。

レモン、みかんなどの柑橘類、マルメロ、ザクロ、柿、アボカドが山ほど採れた。


収穫が終わるとダイニングで食事の準備だ。

生ハムを切るのに大騒ぎである。

一足分の生ハムを専用の用具に固定して、まずは皮と油の部分を削ぎ落とす。

どうやって切るかみんな心得ていて、薄く薄くカットできるのは小さな頃から手慣れているからだろう。

切ったそばからつまんでしまうので、一向にお皿に並ばない。

ベゴが持ってきた白ワインで乾杯を済ませると、チーズを切って、チップスやナチョスやパンを盛って、誰かが作ってきてくれたサラダを出した。

さらに家主のお姉さんが大きなフライパンでパエリアを作りはじめる。

料理が出揃うと、庭のテーブルを日向に持って行って椅子を並べ直した。

日中は外の方が断然気持ち良い。

山と木々に囲まれたお宅の庭で、円卓をみんなで囲み、生ハムにパエリアにワインである。

最高でない訳がない。

特に自家製のパエリアは本当に美味しくて、まだ残っているのをみると私は何度もお替わりをしてしまった。

食べ終えていないうちから、今度は大ぶりの生のマンゴーが出てくる。

実を格子状にカットしたものを皮付きのまま渡された。

こんなに甘くて香りがよいマンゴーを私は初めて食べた。


女性7人の話は尽きない。

途中で家主が二冊のオラクルカードを持ってきて、一人一枚引いて結果を読みあう。

女子会で話すことは世界共通なのである。


日が翳り始めたのでダイニングに戻り、大方の片付けを済ますとまた席に着いた。

最後は私がサンティアゴで買ってきたタルト・デ・サンティアゴという焼き菓子とお茶で締めた。

サンティアゴの修道院で作られる伝統的なお菓子なのだそうだ。

質問をしてオラクルカードを読んだけど、答えがよくわからなかったという私に、イマが“chat GPTのタロットカードやってみる?”と聞く。

なんだかわからないが“やってみる!”というとベゴを通じてURLを送ってくれた。

その質問と答えは明日の日記のお楽しみにしよう。


夕方、みんなとハグをしてパーティは解散した。

旅人にとって現地のパーティに参加させていただくというのは本当に貴重な経験である。

ベゴには感謝してもし尽くせない。

帰宅の車の中でぼうっと外に目を向けると、山の上に不思議な円盤上の雲が二つ並んでいるのが見えた。

ベゴは私が写真を撮ろうと必死になっていることに気づくと、なんでも写真に撮るのねと笑う。


“あんな雲、ここでは普通なの?”

“普通じゃないけど、そんなに驚くことでもないんじゃない”

“絶対、UFOだと思うの!”


そう言って、私は建物で見えなくなるまでその雲の写真を撮り続けた。

そういえば、みんなで話していたときもパラレルワールドの話になった。

何だかおかしな1日である。


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つづく