【Day82 2025.11.24 ベレス・マラガ滞在三日目】のつづき
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ベゴは午後3時半に家に帰ってきた。
野菜炒めとオーブンで焼いたサーモンとたっぷりのアボカド、ボイルされた小エビで昼食(?)を済ませると、私のビデオを見入った。
日が暮れると車に乗って、また別の町を案内してくれた。
それは、ベゴが生まれて育ったというすぐ近くの山沿いの町だった。
生まれて育った建物、祖父母の八百屋さんがあった場所、通った小学校、結婚式を挙げたシティホール。
ベゴは私に教会を案内したかったようだが、月曜は全て閉まっていた。
“この町より、今住んでいる町の方が私には合っているの。”
そういう彼女に
“わかるよ。生まれ育った町は繋がりが強すぎて、感情が揺さぶられすぎちゃうんだよね。”
そういうと、彼女はその通りねと頷いた。
町を一回りするとまた車に乗り込んで、高台の教会に向かった。
教会は閉まっていたが、広場の展望台から海側を望む。
街全体がオレンジの街灯で彩られ、それはまた美しかった。
帰るとシャワーを浴びて、ビールを飲みながらサラダと生ハムとフルーツの軽い夕食を取った。
最後の晩餐である。
”この旅で、特別な人に出会ったの。”
私はベゴに全てにことを話した。
それは考えていたような爆笑するようなものではなく、ただ坦々と、こんなことがあったのと話をした。
連絡していた歩きの途中経過とマッチするのだろう。
ベゴは深く頷きながら、“あの時ね“とか“こう言ってた人?”とか確認してくれた。
途中、ツインソウルの話や、魂からのメッセージの話など、かなりスピリチュアルな話も帯びていたが、私の意味不明な英語も彼女はよく理解してくれた。
ちょうどその時、サイモンからTV電話が掛かってきた。
出なさいとベゴに促されて、部屋で通話を始めた。
元気にしてる?とか、カミーノトレーナー買ったんだね、とか、タトゥーを入れたんだよ、とか、他愛のない話をする。
バレンシアに来ないかと聞かれ、明日にはタリファに行って、日本に帰ることを伝えた。
またいつか、どこかで会おう。
そう言って、私たちは電話を切った。
早速ベゴに伝えると、
それでよかったんじゃない、と言う。
私もそう思うと答えた。
“もう、私たちのタイミングはずれてしまったの。
それはもうずれたままかもしれないし、またいつか一致するかもしれないけど、少なくとも今じゃない。そう思う”
私はそういうと、
“カミーノにはこんな言葉があるのよ。
Lo que pasa en el Camino, se queda en el Camino.
カミーノで起きたことは、カミーノに残る。
ってね。”
とベゴは答えてくれた。
ベゴと話に夢中になっていて気づかなかったが、電話の前にサイモンからLuclyペンダントの写真が送られてきていた。
なんだか少し疲れているようにも見えたが、少なくとも彼がそれを失くしていないことに私は安堵した。
私はカーリーンとジョンの話もして、ベゴとマルセルとサイモンと、5人の家族と出会う旅だったの、というと、二人で少し涙して、ハグをして眠りについた。
こうしてベゴと過ごす夜も終わりを迎えた。