ちびタンクのひとりごと -10ページ目

ちびタンクのひとりごと

大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

長くなったので二話に別れています。

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【Day84 2025.11.26 タリファ滞在】


朝7時半

頭が重い。

完全に二日酔いである。

昨日タリファに着いてチェックインを済ませ、海岸沿いを散歩すると、そのままバルを数軒ハシゴした。

おじさんたちが集うバルの居心地が良く飲んだくれていると、一人のおじさんと仲良くなって、彼の行きつけのレストランに行って...


記憶が曖昧である。

とりあえず、ホステルの自分のベットで寝ていることと、失くしたものは何もないことに安堵した。

歩いていない時の私は本当にどうしようもないダメ人間である。


ドミトリーの向かいのベットのお姉さんはまだ就寝中のようだ。

重い頭を起こして物音を立てないように部屋を出ると、少し熱めのシャワーを浴びた。


水をガブガブ飲んで体内の水分を入れ替える。

ウエストポーチだけ持って外に出ると、空は雲一つない快晴である。

昨日と違って風も穏やかだ。


タリファとアルヘシラスはカミーノで繋がっていて、海岸沿いを歩けるよ。

海岸沿いだけなら往復してもそんなに長くないから、歩いてみたら?


ベゴはそう言って、その道上で取ったカミーノサインの写真を送ってくれた。

“Camino de Santiago (Ruta del Estrecho)”と書かれた看板の後ろには海が見えた。


カミーノがあると知れば歩かない訳には行かない。

どうせなんの予定もないのだから、むしろやることができてありがたい。

ルータ・デ・エストレチョの情報は少なく、ほとんどスペイン語だったが、なんとか地図らしきものを見つけると私は出発地点の教会に向かった。


町の中心にある教会は思いのほか大きく、珍しく開いていた。

中に入ると一人のおじさんが動画を観ていた。

不謹慎だなと思いつつ、私はしばしその場に佇んだ。

鳥の声が聞こえるのは、音を流しているのだろうか、それとも実際の鳴き声だろうか。


そろそろ行こうと出口に向かうと、ショーケースに物販があるのが見えた。

何が売っているのだろうと覗くと、書籍とカード類が並んでいた。


興味がないなと行こうとしたタイミングで動画を観ていたおじさんがショーケースにやってきた。

教会の関係者だったのか。


おじさんを前にふと、ショーケースの中の銀色の輪っかが目に留まった。

指輪だろうか?

おじさんに”これはリング?“と聞くと、ロザリオだと言われた。

紐を通して首に掛けるのだろうか?


おじさんは鍵を出してショーケースを開け、違う大きさの輪っかを二つ出した。

指にはめてみると”そうだ“と頷く。

輪っかには小さな十字が付いていた。

指輪タイプのロザリオという事なのだろう。

これも何かのご縁である。

私は右手の人差し指にはまった一つを購入して、教会を出た。


さて、ここから先はどの道を歩けば良いのだろう。

そう思ってネットで調べると、カミーノのシンボルであるホタテ貝のモチーフの下に0kmと書かれた画像が出てきた。


0km

そういう標識に心が動かされてしまう。

一体どこにあるんだろうと検索すると、それはタリファではなく、アルヘシラスの町にあった。


アルヘシラス...

昨日、バスの乗り換えをした町だ。

数日前まで名前も知らなかったその町のその地点に行ってみたい。

そんな欲求に駆られた。


金曜日、歩こうか?


タリファの宿は3泊しか取っておらず、マラガから帰国までのあと2泊をどうするか迷っていた。

タリファが気に入ればもう一泊延長して、土曜日にマラガに戻りマラガで一泊する。

タリファが3泊で十分であれば金曜にマラガに戻り、マラガで2泊する。

そんな風に考えていた。


そこに新たな選択肢が生まれてしまった。

タリファからアルヘシラスまで歩いて行って、アルヘシラスで一泊し、翌日バスでマラガに戻る。


その考えが浮かぶと私は方向を変えてもう一度教会に戻った。

そしてさっきのおじさんを見つけると、クレデンシャルにスタンプを押してもらえないか聞いてみた。

カーリーンがくれた新しいクレデンシャルだ。

その一番初めのスペースは、ベゴが押してくれたロウを垂らしたホタテ貝のシーリングスタンプで始まる。

私に取って特別なクレデンシャルだ。

その二つ目に、ここタリファの教会のスタンプが押された。


道はベラス・マラガでベゴにたちと歩いた平坦な砂浜ではなく、海に面した絶壁でアップダウンをくりかえす。

鮮やかなブルーの海の向こうにはアフリカ大陸がはっきりと見える。

大きな商船が行ったりきたりしていた。


やっとベゴが教えてくれたカミーノの標識を見つけて私は気づいた。

矢印の方向が逆だ。

私は勝手に、道はタリファからアルヘシラスまで、マラガ方面に向かうと思っていたのだが、アルヘシラスからタリファに向かう道だったのだ。


ルータ・デ・エストレチョとは、一体どこからどこへ向かう道なのだろう。


調べて見ると、アルヘシラスからPuerto Realという町まで、地中海岸を西へ向かう道だった。

出発地点だからアルヘシラスに0kmの標識があるのか。


Puerto Realからサンティアゴに行くには、北上してセビージャへ行きvia de plataに入るか、西にもう少し進み、ポルトガルの道に合流するかだろうか。


スペインが好きだけど、歩いたことのない道を歩きたいから、私だったらポルトガルの道を選ぶかな。


もうそんなことを考えている自分がいた。


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つづく