ホーム・ヤマハスタジアムで湘南と対戦したジュビロは、前半開始15秒の失点、29分にPKを決められて、2点差を追う非常に苦しい展開となりましたが、前半ATの山田選手のゴールで1点を返すと、終盤に猛反撃を仕掛けて、後半37分、41分の2得点で鮮やかな逆転劇を見せて、3,000人の磐田市内の小学校5、6年生の目の前で、1994年のJリーグ同期参入対決を制しました。

 

5月に入ってから、ゴールの稼ぎ頭のジャーメイン選手が怪我で戦線離脱を余儀なくされ、勝ち星にも見放されて、「泣きっ面に蜂」「弱り目に祟り目」となったジュビロ。この試合もこの悪い流れを断ち切れないままで試合に入りました。

今季のジュビロの試合の入りが悪さが目立ち、開始早々に失点してそのまま試合を落とすことが、何度も繰り返えされて来ました。湘南はジュビロのそういう弱点を突いて試合の主導権を握って勝ち切るプランだったのだと思いますが、ものの見事にそれを遂行し、キックオフ15秒で元ジュビロのルキアン選手が決めて早い時間の先制に成功します。湘南は先制した後も、前線からの厳しいプレスと素早い寄せで、ジュビロのボール保持に厳しい制限を掛けて、ジュビロは思うようにプレーさせてもらえません。前半20分過ぎから湘南の少しプレスが若干緩んで、少しボールを持てる時間を作るまでに改善しましたが、それでも、瞬間的な判断という点では湘南に分があり、そういう試合の流れの中で前半26分にPKを献上、一度目は元日本代表の川島選手が止めたかと思われましたが、先に動いていたという判定でやり直しとなり、二度目を決められてしまい、ここから2点を追う非常に苦しい試合展開となります。

何とかしてまずは1点返したいジュビロでしたが、攻撃の糸口すら見いだせない中で、一人気を吐いたのがゲームキャプテンの山田選手でした。前半AT5分ボックス内での平川選手とのパス交換から個人技で抜け出し、相手4人に囲まれながらも左足を強引に振り抜いて前半のうちに1点を返します。時間帯、得点の取り方、それを山田選手がやってのけたという点で、試合の流れをジュビロに取り戻すプレーとなったことは間違いありません。ジュビロにとって貴重な得点で1-2として前半を折り返します。

 

後半、1点差を追いかけるジュビロはボールを握ってゴールチャンスを覗いますが、湘南がそれを逆手に取ってカウンターを発動する展開となり、ジュビロは、なかなか決定機を演出するまでは至りません。

攻勢に出たいジュビロは、後半16分に金子選手と古川選手を投入します。すると後半20分、最後尾のリカルド・グラッサ選手から右サイド植村選手へのロングサイドチェンジを走り込んだ松本選手に出すと、ダイレクトで入れたクロスにニアで金子選手とマテウス・ペイショット選手がつぶれた裏で古川選手がヘディングシュート、これは相手GKの好セーブに阻まれますが、このプレーを口火にジュビロは湘南陣内で猛攻を仕掛けるようになります。

後半32分にブルーノ・ジョゼ選手が投入されると、今ジュビロは厳しいプレスを仕掛けて高い位置でボールを奪えるようになり、波状攻撃ができるまでに状況が改善すると、後半37分、ブルーノ・ジョゼ選手がロブで裏に出したボールを相手DFが処理に持たつく中、それを奪った金子選手がドリブルを仕掛けて、DF3人を釣ってスペースを作って左アウトで出すと、コソットそのスペースに入っていたマテウス・ペイショット選手がフリーで受け、ダイレクトで右足を振り抜いて冷静にゴールに流し込み同点。そのわずか4分後の後半41分、右サイド植村選手のクロスからの相手DFのクリアボールを、レオ・ゴメス選手が胸でワントラップから右足での強烈なロングシュートを決めて一気に逆転に成功します。これが決勝点となり、ジュビロは欲しかった勝ち星を、磐田市内の小学校5、6年生3,000人の目の前で、劇的な逆転劇という形で見事に手にすることが出来ました。

 

ジュビロは、ジャーメイン選手の顔面骨折での戦線離脱以降、マテウス・ペイショット選手と組む2トップの相棒を誰にするか、試行錯誤を続けてきました。その間、勝ち点を落とし続けていましたが、マテウス・ペイショット選手の1トップに少し下のポジションで山田選手を絡める事で、この形でも行けるという最適解を前節の浦和戦で見出し、今日の湘南戦でついに結果として実を結びました。こういう新たなオプションを持つことは、ジャーメイン選手が復帰した後にも戦況に応じて、2トップと1トップを使い分けたり、選択肢が広がったという点で、勝ち点を落とした期間は少し長かったのと、ジャーメイン選手には非常に申し訳ないですが、結果的に怪我の功名ということで、今後に向けて非常に大きな勝利となったのではないかなと思いました。了