ジュビロは、J1昇格から首位を走り現在、絶好調の町田とホーム・ヤマハスタジアムで対戦し2-0で勝利ました。

 

昨年8月のJ2での町田とのアウェイゲームでは、PK2本による2失点で1-2で敗れるという非常に悔しい試合となりましたが、その借りを返すためにも現時点の順位とは無関係に絶対に勝ちたい試合でした。ジュビロは4試合ぶりに復帰した松原選手に加えて、町田対策として空中戦に強くロングスルーを持つ西久保選手と走力がストロングの鹿沼選手がスタメンに名を連ねました。

しかしながら、立ち上がりから町田にボールを握られて試合の主導権を取られてしまいます。前からの厳しい守備で高い位置でボールを回収してはジュビロゴールに襲い掛かる。前半はその繰り返しが続く非常に厳しい時間が続きました。それでもジュビロは、リカルド・グラッサ選手、川島選手を中心に前の選手も含めて粘り強く守って、ゴールを割らせずに0-0で前半を折り返します。

苦しい前半を耐え抜いたジュビロは、後半開始から攻撃のギアを変えて前向きの圧力をかけたプレーを見せるようになります。すると後半1分、川島選手から相手陣内への長いキックのクリアボールを松原選手が拾うと、中央でDFの間で受ける動きをしたジャーメイン選手に預けます。ジャーメイン選手は反転しながらボールに触らずに、ボールをキープしながらDF間をすり抜けると、ボックスに走り込んた松本選手にスルーパスを送ります。松本選手のシュートは一度GKにブロックされますが、シュートの跳ね返りを狙って走り込んだ松原選手の目の前にボールがこぼれます。これを冷静にゴール左上隅に蹴り込んで、劣勢だったジュビロに先制点が入ります。

この虎の子の1点を手にしたことで、ジュビロはこの後、カウンター狙いの守備的な戦術にシフトし、その中で追加点が生まれます。

後半19分、FKからのマテウス・ペイショット選手のシュートをGKがゴールラインに弾いて得たCKは、一旦、相手DFがゴールラインに逃れますが、2度目のCKを相手DFが触ってファーサイドに抜けると、それに反応したリカルド・グラッサ選手がヘディングシュートを放ちます。それを町田のDF昌子選手が手で止めてしまいます。最近はボックス内でのDFの反則はVARの目が充実して来たためか、確実性の高いもの以外はプレーを続行して後追いでVARに確認をすることが多いです。このシーンもプレーを続行させてタッチラインを割ったところでVARが介入、OFRの末、ハンドの判定が確定してジュビロにPKが与えられます。このPKを現在リーグトップスコアラーで、もはやPK職人と言っても良いジャーメイン選手が、ゴール右隅に難なく突き刺して試合を決定づける追加点を挙げ、ヤマハスタジアムのボルテージは最高潮に達します。

ジュビロはこの後の長いATを含めた30分間を、相手にある程度ボールを持たせながらも、全員がボックスに入るほどの粘り強い守りで、長い長い守備の時間帯を耐え抜いて、昨シーズンの悔しい敗戦の借りを返す勝利を手にすることができました。

ところで、この試合のジュビロは、試合を通して守備ブロックをしっかり敷いて町田の圧力の高い攻撃を粘り強く跳ね返しました。もちろん守備面でやることは前半も後半も基本的に同だったのですが、前半は町田に持たれてしまい守備の時間を強いられたのに対して、後半は相手にある程度持たせることで、相手の背後を空けての速攻から追加点の狙いで、作戦として意図的に守備の時間を作りました。試合後の町田の黒田監督へのフラッシュインタビューでは、SBSの重長アナからの「後半相手ペースになる時間が多かったが」という問いに、黒田監督が「特にペースを握られたということは無いと思うんですけど」と半笑いで応えていましたが、黒田監督がその点を良くわかっていなかったことが、町田の敗因だったのかなと感じました。

これでジュビロは4月のリーグ戦を3勝1分1敗と素晴らしい結果で終えることができました。5月もGWの連戦から始まり非常に厳しい戦いが続きますが、このまま4月の勢いを継続して勝ち点を積み上げて行って欲しいと思います。了