この4試合勝ち星に恵まれないMYFCは、ホーム藤枝総合に徳島を迎えました。徳島は監督の交代などもあって、決して調子が良いとは言えない状態ということで、MYFCらしい攻撃的なサッカーを具現化して、何としても勝ち点3が欲しい試合となりました。

立ち上がりからボールを握って攻めたのはMYFCでした。高い位置からプレッシャーを掛けて、要所を締めてボールを奪うと、人数を掛けた攻撃で相手ボックスまで侵入してシュートを放つシーンまで作ることに成功しますが、シュートがなかなか枠に飛ばせず、ゴールを奪うことができません。

そんな中で前半36分、思わぬ落とし穴が待っていました。MYFCボールでのゴールキック、GKの北村選手がDFラインに短く付けたところからのボール回しで、パスを受けた西矢選手に徳島・児玉選手が猛烈なプレスを掛けると、慌てて新井選手に出したボールがズレてしまい、ルーズになったところを徳島のブラウン・ノア選手に拾われてボックスに持ち込まれ、ワンタッチで持ち替えたボールが長くなったのを見逃さなかったGKの北村選手が、ボールにアタックするために飛び出したまでは良かったのですが、勢い余って体をブラウン・ノア選手に当ててしまい、その衝撃を利用したブラウン・ノア選手が巧みな倒れ方をします。この一連のプレーがPKの判定に (もちろん主審のPKの判定に異論の余地はありませんが)。 このPKをブラウン・ノア選手に決められて、MYFCは与えてはいけない先制点を献上してしまいます。

ただ、この失点でもモチベーションを下げなかったMYFCは、この後の時間帯も攻撃の手を緩めません。しかし、試合を通して14本のシュートを放ちながらも、とにかく枠に飛ばせません。攻めて攻めて攻めながら最後まで得点を奪えなかったMYFCは、徳島にPKでの虎の子の1点を守られて本当に悔しい悔しい敗戦を喫しました。

今シーズンのMYFCは、深刻な得点欠乏に陥っています。現時点でのゴールはJ2最少の4得点。とはいえ、シュート総数は154本とリーグ上位につけていて、間違いなく攻撃はできています。ただ、その内、枠に飛ばせているシュート総数は34本しかなく、総シュート数に占める枠内シュートの割合は22.1%、決定率に至っては2.6%と深刻な状況で、今シーズンのMYFCが勝ち点を積み上げられない最大の要因は、ゴール前でのシュート精度の不足の1点に尽きると言い切っても良いでしょう。ちなみに、昨シーズンのMYFCは、総シュート数に対する枠内シュートの割合は32.5%、決定率が11.1%、参考までに、昨シーズン同じJ2にいた清水とジュビロの決定率は、清水が9.9%、ジュビロが10.9%だったことを考え合わせても、昨シーズンのMYFCは決定力が非常に高く、その分、今シーズンの低さが際立っていて、攻撃陣がシュートを正確に打てていないことが数字上でも明白になっています。ただ、須藤監督としては選手の個人の責任にはしたくないようですし、もちろん誰かひとりだけ決定率が悪い訳ではないので、決定力不足の課題を補うためにどのようなトレーニングを課すのか、メンタル的なフォローアップなど、監督を筆頭としたコーチ陣が責任を持って取り組むべき課題だとは思います。とはいえ、現場で出来ることにも限りがあります。MYFCは決して充分な練習環境だとは言い難く、努力だけでは越えられないものもあります。こういう部分は、フロント側の課題でもあります。例えば、決定力の高いスーパーな選手を誰か1名だけでも良いので契約できれば、周りの選手へのマークが緩み、チーム全体の決定力の改善にもつながります。そういう面からの取り組みも含めて、経営陣を筆頭にクラブ全体で取り組まなければならない課題ということになるでしょう。MYFCがJ2に定着したい、我々としては定着して欲しいというのは、チームとして17位以上の成績を上げて残留するという意味だけでなく、MYFCというクラブが名実共にJ2に相応しい風格とか歴史とか、そういうものをいかにして手にすることが出来るか。サポーターとしてもどのようにかかわっていったらよいのか。そういう課題が、今まさにMYFCに付きつけられているのではないかと強く感じた試合となりました。了