清水と甲府の試合は、いつのころからか「富士山ダービー」などととも呼ばれるようになりましたが、静岡県と山梨県で富士山の見えるスタジアムは、たぶん唯一日本平スタジアムだけだと思うので、個人的にはこの呼び方はあまり好きではないのですが、いろいろな動機付けで盛り上げていくことは悪いことではないですし、甲府の篠田監督はかつて清水を指揮したこともあり、また、元清水のピーター・ウタカ選手もいたりと、甲府には負けられない相手であることは確かです。
そんな絶対に勝ち点3が欲しいという期待に、清水から車で1時間ちょっとと、もしかしたら磐田よりも近いアウェイの地に、スタジアムの半分以上を埋め尽くほどの清水サポーターが終結してキックオフの時間を待ちます。

乾選手と北川選手を欠いたこの2試合、勝ち点を1つしか積み上げられなかった中で、Jリーグトップクラスの両選手がベンチ入りしたことは、チームにもサポーターにも明るいニュースとなりました。
そんな中で試合開始から清水はボールを握って甲府陣内へと攻め込みます。しかし、なかなか決定機を得点へと結びつけられません。逆に甲府は、少ないマイボールの時間を生かして清水のボックスまで入り込みますが、こちらも最後は清水が体を張った守備で失点を防ぎます。前半38分には、山原選手からのクロスのこぼれ球に矢島選手がシュートを放ちますが、シュートに力なく得点にはつながりません。この後も一進一退の時間が続き、両チームとも得点が奪えないまま時間だけが過ぎて行きます。
すると秋葉監督が動きます。後半16分に北川選手、後半22分に乾選手を3試合ぶりのピッチへと送り出します。それでも一進一退の攻防が続く中、試合は最後の最後に動きます。
まさにATに差し掛かるろうという後半44分59秒、山原選手の右CKからのボールを一度甲府が触りますが、クリアが中途半端となり左サイドにこぼれたところを乾選手が折り返し、ニアで反応した住吉選手が気迫のヘディングシュートを放ちゴールネットへと突き刺します。
大勢の清水サポーターの目の前で、清水サポーターの勝利への気持ちとか執念めいたものが、住吉選手の得点を呼び込んだといっても過言ではありません。この劇的ゴーで、小瀬のスタジアムがまるで日本平になったかのような興奮と熱狂に包まれます。
最後、7分のATを無失点で締めくくった清水は1-0で3試合ぶりに勝ち点3を手にすることが出来ました。

今節、乾選手と北川選手が後半途中からピッチに帰って来ました。そして、両選手とも30分ほどプレーできたということは、チームにとって非常にポジティブな出来事となりました。次節のアウェイでのいわきFC戦まで中5日空きますので、コンディションを整えれば先発復帰の可能性もありますし、福島遠征も体への負担になると思いますので、ホームでの仙台戦まで温存して万全なコンディションで復帰させるという選択肢もあります。この先のシーズンはまだまだ長いですので、その辺も見据えて最善の選択をして欲しいと思います。