シェルター・メディスン獣医師が登壇するセミナーを二本、

日本の動物福祉の第一人者である先生のWEBセミナーを受講しました。

①2024年6月27日

【これからの動物保護活動 殺処分ゼロを超えて~私たちが向かうもの】

主催:酪農学園大学 共催:北海道動物愛護センター

講師:(日米獣医師)西山ゆう子先生

 

②2024年7月6日

【犬にまつわる時事問題】

主催:一般社団法人 優良家庭犬普及協会

講師:山﨑恵子先生(一般社団法人アニマル・リテラシー総研 代表理事))
 

③2024年7月13日

【シェルター・メディスン・セミナー「よりよい譲渡に向けて」】

第1回シェルター・メディスン概論・群管理・犬の行動学・自治体からの報告

主催:公益社団法人 日本動物福祉協会

講師:田中亜紀先生(獣医師)、入交眞巳先生(獣医師)、遠山潤先生(獣医師)

ちなみに①③はオープンセミナーで参加費無料です。

 

素晴らしい講師の先生方、深い内容の講義にただただ感謝しています。

それぞれのセミナーで心に残ったことを忘備録としてまとめ記載します。

 

 

「殺処分ゼロ」という見えないゴールに向かい、自治体職員と愛護団体ボランティアは必死に活動しています。

そもそも「殺処分ゼロ」は誰が、どのような目的で何を目標に掲げたスローガンなのでしょうか?

動愛法改正に伴い、各自治体は飼養者のいる動物の引き取りを拒否できるようになりました。

その結果が現在です。

 

収容相談案件の動物は愛護団体へ移動しています。

それでも移動できない自治体では収容頭数を大幅に超えた動物たちであふれ、またある自治体では立派な施設がありながら少数の動物しか収容されていない。

「殺すな!」という現状を知らない人たちの過激な抗議活動により、ノーキル宣言をした自治体では過剰な頭数の動物に対応している職員は疲弊しています。

 

殺さなければいいのか?

ただ生かすことが本当に犬たちに良いことなのか?

人間と暮らすためにブリーディングされてきた洋犬と異なり、改良せず原種に近い日本犬。

更に「人間は怖いもの」と学習し、血脈に受け継がれているのが野犬なのです。

人間に捕らわれ、狭いケージの多頭で管理されるだけでストレスです。

多くの頭数を抱えている現状では散歩もままならず、一頭一頭と満足に向き合う時間も難しい。

人間と同様で狭い空間に押し込まれ、いつ出られるかわからない状況は犬たちのメンタルに影響を及ぼします。

人なれしない、さらには恐怖から攻撃行動に出る動物は熟練のトレーナーでも対応に苦慮するでしょう。

譲渡できない犬が増えることは殺処分ゼロのゴールが遠のくことを意味します。

この環境を変えるため、今、私たちに何ができるのでしょうか。

 

つづく