『1話目へ』



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通い慣れた道をいつもより重たい荷物を持って歩く。 



明彩美の学校は8時30分にホームルームが始まる。 



ポケットから携帯を出して時間を見た。 



「7時55分…。ちょっと走るかな」 



家から学校まで25分かかるので 



小走りで学校に向かう事にした。 



ちょっと走っただけなのに、冬の冷たい風が顔にあたってピリピリ痛い。 



「あー!明彩美おはよう!何急いでんの?鼻、赤いよ~。」 



幼なじみの未咲が寒さで赤くなった私の鼻を指差して笑った。 



「何急いでんの?じゃないよ!急がないと遅刻しちゃうよ!」 



明彩美は未咲の腕をひっぱって走ろうとした。 



「イタい!イタい!そんな急がなくて大丈夫だよー。遅刻しないしない!ゆっくり行こうよ~」 



未咲は昔からマイペースでたまに私を困らせる。 



「今日は修学旅行だよ?!遅刻したらみんなに迷惑かかるよ!ほら走る!」 



明彩美はもう一度未咲の手をひっぱった。 



「もぉー。明彩美はせかせかしすぎ~!お母さんみた~い」 



文句を言いながらも小走りでついて来る未咲。 



キーンコーン♪カーンコーン♪  



教室に入った瞬間に予鈴がなった。 



「よし!ギリギリ間に合ったぁ!!」 



教室には既に全員が揃っていた。 



「あー。疲れた~!まだ予鈴なんだから走らなくて大丈夫だったじゃんか~」 



未咲がぶつぶつ文句を言っている。 



いつもの事なので相手にせず席につこうとすると佐代子が話かけてきた。 



「明彩美と未咲ギリギリだったね。遅刻するかと思ったよ。」 



クールな佐代子は修学旅行の日にも関わらず、いつもと変わらず落ち着いている。 



「聞いてよ!時間ギリギリだったのに未咲が走るの嫌がるんだもん!」 



「遅刻させとけばよかったのに。」 



「ひどーい!絶対走らなくても遅刻しなかったよ~」 



3人は幼稚園からの幼なじみで性格は全く違うけど昔から仲がよく毎日一緒にいる。 



明彩美の席の周りで話ていると教室に先生が入ってきた。 



「席に着け!ホームルーム始めるぞ」 



先生がそう言ったのに みんな席に着こうとしない。 



明彩美のクラスは学年の中でも 一番賑やかなクラスなのだ。 



「早く席に座れ!修学旅行だからってうかれるなー」 



先生がもう一度言うと、みんな席に着きはじめた。 



ホームルームの間も1組の教室はガヤガヤと騒がしかった。 



ホームルームが終わってみんな学校の外に停まっているバスに乗り込んだ。 



「なんかワクワクするね!修学旅行楽しみ!」



『3話目へ』