昔の美人の条件は、
「カラスの濡れ羽色」
の髪。こうしたものであったことが言われています。
髪は黒々としてボリューミー、それでいてしっとり。
美人の欠かせない条件の1つだったと解説されるのです。
髪の毛は美の象徴であることは言うまでもありませんが、それは同時に私たちの体の内部。
内側の健康状態を測るための尺度でもある。このように説明する識者も少なくありません。
体の内側が健康ならば、髪の毛だって健康な状態をキープできる。
そしてそれは特に、食べ物との関係によるところが多いと解説されるのです。
日々、何を食べるのか?の選択次第で髪の毛の質や量は変わってくる。食と髪とは密接不可分の関係である。
こういうことになるのです。
■順番を知ろう!
食べたものを分解するには、酵素の力が不可欠になります。
体内酵素といわれますが、私たちは体の中の酵素を使って食べたものから必要な栄養分を作り出しているのです。
そして体の中で1日に作られる酵素の量はあらかじめ決められている。それは使える酵素の量には
「上限」
があることを意味しているのです。
私たちの体はこの上限ある貴重な酵素を使って、食べたものを分解したり、体や臓器を動かしたり、髪や血液を新たに作ったり、異物の排泄や病気の治癒などを行っています。
酵素とは私たちが生きていく上で、絶対に不可欠なものであると言えるのです。
でもそこに、農薬や添加物、その他薬剤などの人体にとっての
"異物“
これらを多く摂取してしまえば、体は生命維持の都合上、異物の排除に専念せざるを得なくなります。
そこに貴重な酵素の多くを使わざるを得ない。こんな事態に陥ってしまうのです。
そうなると、食べものの分解に使える酵素の量は少なくなり、栄養不足を生じてしまいやすくなる。
体の優先順位は常に決まっていて、生命活動にとって不可欠な部分に栄養を回し、あまり関係のないところには栄養を送らない。
私たちの体は栄養不足を察知すれば、脳や内臓に回す分を最優先にするのです。
他は削ってもココだけはしっかり確保する。そこで常に削られ、切り捨てられるのは、頭皮を含めた
「皮膚」
皮膚への栄養供給を断つことで、生命維持により重要な脳や内臓を守ろうとするのです。
過酷で厳格なダイエットを行った結果、薄毛になる理由はこのメカニズムにあると説明されるのです。
また髪の毛は、異物の解毒器官であり排泄器官であることもいわれています。
それは麻薬の吸引を調べる際に、毛髪検査を行うことでも分かります。
麻薬を吸引すればテキメンに髪の毛に成分が現れ、吸引時期までをも特定できてしまうのです。
美しく自然な髪を保つためには、その大元になる食。そして日々、身の回りで使うものを
「自然に正す!」
この必要がどうしたってあると思うのです。
■枯れ果てて
かつての美人はカラスの濡れ羽色。でも今は
「サラサラヘアー」
これが美の相場になっていると思います。風に髪がなびくと、美しいと感じる。
でも、サラサラヘアーとはいわば乾燥した髪の状態であって、髪から皮脂が抜け落ちてしまっている状態にあるといえます。
自然な髪の状態とは、1本1本が等しく皮脂に覆われている状態。皮脂に含まれるアブラ分が一本一本の髪の毛を優しく
「コーテイング」
している。整髪料などをわざわざ使う必要などは一切なく、まとまりやすくてセットもカンタン。
そして皮脂に覆われた髪に太陽の光が当たることで、ツヤツヤと光り輝く。
さらには椿油などを用いて、皮脂をあえて増量させようとする。こうしたモノだったといえるのです。
天使の輪のキューテイクルの本来の姿は、髪に充分な皮脂が供給されていて、覆われている状態になるのです。
でも今の私たちのあり方は、この皮脂を徹底的に敵視!しています。
シャンプーなどの強力な洗浄力で皮脂を根こそぎ洗い流してしまう。その結果、でき上るのがサラサラヘアー。
『シャンプーをやめると髪が増える』(角川書店)の中で著者の宇津木龍一医師は、サラサラヘアーとは
「皮脂が奪われて乾燥し、カサカサに干からびた状態です」
このように指摘し、過剰なまでのシャンプー信仰に対して警告を発し続けているのです。
シャンプーで皮脂を洗い流すと、キューテイクルはあちこちで剥がれ落ちてしまいます。
それを人工的に塗装する目的で、トリートメントが使われている。それにより、乾燥した髪を艶やかに見せかけようとするのです。
前出の宇津木氏は
「皮脂という整髪料を失った髪は、互いに寄り添うことなく、そよ風にもふわふわとなびきます」
シャンプーなどは必要ない。シャンプーを止めれば、リンスだって不要になる。
多くの人がシャンプーもリンスも使わなくなれば、国のGDPは減少し、製造メーカーの株価も下がっていくことになるのでしょうが、国民の健康を考えれば致し方ない。
このように思うのですが、いかがでしょう?
■美と健康のために!
シャンプーリンスを使う際は注意が必要になりますが、その次の工程の
「ドライヤー」
このマイナス面についても知っておく必要を思います。
髪の毛にドライヤーの熱が加えられると、髪の毛を構成するタンパク質が変性してしまう。
一般的なドライヤーの温度は100~120℃といわれていますが、毛髪の主成分であるタンパク質のケラチン。ケラチンは
"60℃以上″
の熱で変性してしまうことが言われているのです。
シャンプーをなるべく使わないこと。どうしても使うのなら、髪を洗う間隔をできるだけ長く空けること。
また地肌にべっとりと塗布するのではなく、根元部分を回避して使うこと。
指で頭皮に押し込んだりする行為は厳禁になるのでしょう。
そしてドライヤーは一か所に長時間当てるのではなく、温風と冷風とを交互に使い分けること。
そして温風を当てる際には必ず15センチ以上は、離して使うこと。
宇津木氏は、ドライヤーをどうしても使うのなら、
「5分以内」
がリミット。このように注意を促しているのです。
当たり前にやっていることが、体にとっての大きな負担になってしまう。お互いに注意をし、気をつけたいものですね。
■参考文献