我が家には、樹齢の長いアンズの木。
これが庭に長らくあったのです。
初夏を迎えるころになると、食べきれないほどのたくさんの実を結実させていただのですが、今ではこんな感じ・・・。
新芽が出て、徐々に枝は伸びてはきているものの、一旦は完全に枯れてしまった次第です。
その後、5年間。実をひとつもつけることなく、今日現在に至っているのです。
なぜ樹齢100年を超えるようなアンズの木が枯れてしまったのか?その理由は、
「重機」
重機類を庭に入れた翌年から、幹が枯れ、実が一切つかなくなってしまったのです。
トラクター、コンバイン、畝立て機、スプレイヤー・・・。
農業はもはや機械産業、そんな風に言われたりもするのですが、その重機類が土の生態系をかき乱し、破壊の限りを尽くしてしまっている。
私はその後、一切の農業機械類を畑に入れない。このことを徹底しているのが私の畑のモットーになるのです。
■健全な土とは?
健康で健全。そんな土の中には、多くの隙間があることが言われています。
「水持ちが良く・水はけが良く・暖かくて・柔らかい」
これが農業者にとって理想の土の状態を言い表した言葉。別名、『団粒構造(だんりゅうこうぞう)』の土、そんな風に呼ばれたりもするのです。
わずか1グラムの土の中には、100億~1000億個。種類にして、6000~5万種ほどの微生物がひしめていると解説されます。
そしてその豊富な菌類が土と土とのすき間を縫って菌糸を土中に張り巡らせることで、生きとし生けるものを育むための肥沃な土壌は形成されている。
陽光、雨、風、雪、土などの森羅万象によるものに加えて、あまたの微生物たちの活動。これらの複合体として豊穣なる土は形作られていく。
でも、そこに重機類を載せてしまうと、土と土とのすき間が機械の重みで潰され、不毛の大地と化してしまう。
不毛のままでは困るので、肥料を散々に駆使することで何とか収穫に漕ぎつけているのが現状なのではなかろうか。
当然のことながら肥料使えば矛盾が生じ、農薬を撒き散らかさざるを得なくなる。
こうした悪循環に陥ってしまっているのが現在の農業といえるのではないでしょうか。
※参考:
■効率は悪いけど
甘酸っぱくて香り高い、大好きだったアンズの木。さらにそれと並行するかのようにたくさん採れていたグミの実。
その木が枯れていくサマを目の当たりにしてからの私はハンディ型の草刈り機を除き、畑に一切の農業機械類を持ち込まない。
過去の過ちに学び、このことを徹底することで、今日に至っております。
手作業での土起こし、畝立て作業は時間も労力もかかってしまい、生産性が高い!とはとてもとても言い難い。
でも、なるべく土の中の生態系を健康かつ健全に保ち続けていきたい。こうした思いから、日々、土と格闘し続けているのです。
団粒構造の土、そんな土の状態を目指して、雪が積もるまでの間は今後も努力と精進、そして辛抱とを重ねていく所存です。