「柔をよく剛を制す」
柔道でよく使われる言葉になります。
そもそもの原典は古代中国の思想家の老子で、『三略』の中の一説といわれているのです。
柔軟であること、しなやかであること。それは剛強な者をも制してしまう。
一見、弱々しくも見えるけれども、実際はそうではない。包容力・人間力、そんな言葉が近いのかもしれません。
でも、老子はその後の文章で、柔でも剛でもそればかりでは、国の行く末を
“誤ってしまう”
と述べています。
剛だけではダメなことはもとより、柔一辺倒でもダメである。柔と剛とのバランスが大切。
老子は臨機応変を君主や軍事担当者に求めたことがいわれているのです。
このことは私たちの体にも当てはまるのではないかと思います。
自律神経も、ガンバルとき!踏ん張るとき!は交感神経優位の状態になるし、休息の時、リラックスのときは副交感神経優位の状態に切り替わっていく。
交感神経優位で緊張状態が続いてしまえば、ガン体質になっていく。
反対に、緩めてばかりの副交感神経優位の状態が続けば、今度はアレルギー体質に傾いていく。
昼夜兼行のガンバリ、だらだらグタグタの毎日。どちらに偏っても、人は病的になっていく。
昼働き、夜休む、このことへの戒めであると私的に解釈している次第です。
それは血液と血管の関係も同じ。柔と剛とが絶妙にバランスされている。
私たちの体はもはや神秘としか
“呼びようがない!”
そんな作りになっているのではないかと思うのです。
そこで今回は、「血液と血管」について考えることで、
医者を遠ざけ、クスリを拒む。
そんな生き方のヒントについて述べてみます。
■体の中の柔と剛
私たちの体の血液の総量は5リットルといわれています。
その血液が動脈を通る際の最高時速は
「216㎞」
どんな剛速球の投手でも及ばない。新幹線並みの猛スピードで、全身を駆け巡っていることがいわれているのです。
もちろん部位による違いは出るし、諸説あることも事実なのですが、いずれにしろ超高速。
血液には大量の酸素や栄養、ホルモンや免疫部隊などを含んでいますが、それはあたかも超高速の貨物電車であるかのよう。
そして25秒~30秒という時間で全身の隅々にまで送り届けられていくのです。
各細胞への運搬作業終えた血液はその後、静脈を通って心臓に帰還していきます。その際は
“炭酸ガスや老廃物”
などを細胞や器官から持ち帰ってくれている。このような役割を果たしているのです。
超高速の貨物が走る場所は血管。
血管は血液の流れる強烈な衝撃に耐えられるだけの作りでなければなりません。そうでないと血管は破れ、人体は破綻するに至ってしまう。
実際、私たちの動脈は弾力性に富んだ壁で囲まれた作りになっていて、衝撃をまともに受けずに吸収・分散できるような構造になっている。
血液の剛に対して、血管は柔。それが血液と血管の関係であるというわけです。
でもそれは、若いころに限った話。加齢に応じて、血管の柔軟性は次第に失われていく。
そうなると剛と柔の関係が弱まり、いわば剛と剛のガチンコ勝負のような形になっていきます。
当然、そうれなれば超高速で強い衝撃力を備えた血液が勝るに決まっている。そのままでは血管は破れてしまうことになるのです。
そこで人体はどうするのか?私はココに人体の
「素晴らしさ」
を見るのです。
■二の手、三の手を!
加齢により血管の弾力性が失われてくると、人体は
「コレステロールや中性脂肪」
を血管に付着させようと計ります。
強烈な血流からの圧力に耐えられるように、あえてこれらの物質を血管の内側にペタペタと貼り付けてしまう。
こうすることで、血管が破れないように補強作業をするわけです。
失われたものはもはや元に戻すことはできない。覆水盆に返らずのことわりです。
そうであるならば次なる手段、二の手、三の手を繰り出そうとする。
血液の圧力に負けてしまうことを悟った人体は、負けないように!私たちを元気に末永く生かすように!
実に理に適った補修作業に着手するのです。
こうして老後も元気に楽しく過ごせるように、体は采配の妙を働かせ続けている。
そのことに猛烈に感動してしまう次第です。
コレステロールや中性脂肪が血管内部に溜まる現象を
『動脈硬化』
と言いますが、それは加齢による衰えをカバーするための大切な人体の措置。
決して敵視してはならないものといえるのです。
■血圧と老いの関係
とはいえ、若いころのような弾力性に富んだ血管の姿までには戻らない。
美魔女と呼ばれる人々であっても、健康で若いピチピチの女性の肌にはやはり勝てない。
理屈はこれと同じです。
若いころの血管は弾力性があり、緊張と収縮をしなやかに自在に行うことができてしまう。
そのため若い人の血圧は高齢者よりも低くなることが解説されるのです。
でも加齢で動脈は硬くなり、柔軟に収縮する機能が失われていくと、次第に血液を必要な場所に届けるのが
「困難になっていく」
そこで心臓は脳のテッペンから手足の隅々にまで血液を送り届けるために、あえて血圧を上げようとする。
勢いよく血液を送り出そうとするのです。
特に脳へは重力に逆らって送り届けるワケだから、強い圧力が必要になります。
もし脳への血液供給を充分に行うことができなくなれば、その先に待っているのは
“痴ほう症”
や目眩。
脳は酸素不足、栄養不足を起こしてしまう。当然、手足の末端にも影響は及び、シビレなどが止まらなくなっていくのです。
高齢者の血圧が高くなるのは当たり前、自然現象と考えなくてはならないのです。
高血圧とは動脈硬化によって血管の通り道が狭くなっていることを熟知した、体の適切でありがたい反応。
それは機能の老化を補う、体の防御反応。
血液が私たちを生かそうと懸命にガンバリ続けてくれている証といえるのです。
■寝たきり促進剤?
でも、現代医療は、このような体のガンバリ!を一切評価することなく、高血圧や動脈硬化を
「悪いもの!」
と一方的に判断してしまいます。
それは高齢者から自立を奪い、寝たきりや徘徊を加速化させ、重度の要介護に落とし込むためのもの。
そしてガンなどのより深刻な病気を加速化させるものといわねばならないのです。
降圧剤は日本で最も服用されているクスリといわれますが、その多くに含まれているのが
“カルシウム拮抗剤”
になります。これを飲ませることで、血管の収縮作用を止めてしまう。このような薬効を備えたクスリというわけです。
先に述べたように血管が硬くなっていけば、心臓は圧力を高めて必要な血液を体の隅々にまで送り込もうとします。
現代医療にとってこの体の自然な反応は悪!になります。悪を葬るためには、血管をムリヤリ広げてしまえば良い。
そうすれば血圧は下がっていくことになる。降圧剤とはこのような操作を行うクスリといえるのです。
血管が広い状態だと血液の圧力は低くなります。反対に血管が狭まると血液の圧力は高くなります。前者が低血圧、後者は高血圧。
私たちの体は臨機応変に低血圧にしたり、高血圧にしたりを繰り返して、私たちの心身の状態に合わせて調整作業を行い続けているのです。
それは動脈硬化を起こした血管であっても同じ。機能は鈍くなれども、懸命に広げたり狭めたりを繰り返している。
こういうことになるのです。
■降圧剤とは?
血管の収縮時のカギとなる成分は
「カルシウム」
になります。血管に限ったことではありませんが、私たちの細胞にはカルシウムが出入りするための穴が作られているのです。
この穴をカルシウムが通過すると電気的な変化が伝わり、血管は収縮していきます。
つまるところ、カルシウムが細胞の中に入れば、血液は高血圧に傾くというわけです。
だから血圧を下げるためには、カルシウムの出入り口を塞いでしまえば良い。カルシウムさえを通らなければ、血圧は上がることはない。
そこで、このカルシウムの穴を
“塞いでしまう”
そのクスリがカルシウム拮抗剤というわけです。
こうしてカルシウムは細胞の前で立ち往生することになるので、血圧は上がらなくなっていく。
晴れて高血圧を回避して、低血圧の状態に持っていくことができる。こういうクスリというわけです。
■万病のもと?
でも、カルシウムの出入り口は血管の細胞だけにあるのではありません。
人体を構成する60兆の細胞全てに、この穴は備わっているのです。
カルシウム拮抗剤を飲めば、全身の穴が塞がれてしまうことになってしまう。それは健全な細胞の活動を
「阻害する」
振舞いといわねばならないのです。
特に被害を受けやすいといわれるのが免疫細胞。免疫細胞にも当然、カルシウムの出入り口が備わっているわけです。
カルシウム拮抗剤により穴が塞がれ、免疫反応が低下していく。このような副作用があることはよく指摘される事がらです。
カルシウム拮抗剤飲み続けると、ガンや感染症といった病気に
“かかりやすくなる”
それは免疫低下の結果であると解説されるのです。
さらに血管を広げられたままの状態になるので、必要な血液が頭に回らない。頭がボッーとすることで、注意力が散漫になってしまう。
その結果、転倒して骨折。寝たきりを促進してしまうのです。また運転をすることによるリスクや火の消し忘れなども起こりやすくなる。
さらには歯茎の腫れや吹き出物、便秘、むくみといった軽度な症状から、脳梗塞や心不全、糖尿病などの重篤な症状を起こしやすくなる。
特に脳梗塞は降圧剤を服用していない人に比べて、2倍以上も発症しやすくなることが言われているのです。
※参考:『症状は悪なのか?善なのか?自然な体の仕組みをヒモ解く・ナチュラル人体考!』
日本で最も飲まれ続けているクスリは、血圧を下げる効果はあるのかもしれないけれども、それは万病のもとになってしまう。
このようにいわねばならないのです。
■老化と病気
『高血圧はほっとくのが一番』(講談社α新書)の中で松本光正医師は、
「加齢現象は病気ではない。それは動脈硬化も高血圧も高コレステロールも同じである。薄毛や白髪に対して、『薄毛症』や『白髪症』とは誰も言わない。にもかかわらず、血圧が高いと『高血圧症』、コレステロールが高いと『高脂血症』と言う。加齢現象に病気を意味する『症』をつけること自体、おかしいのだ」
と述べています。
単なる老化現象をあたかもコワイ病気であるかのように騒ぎ立てている。それにより、私たちは不毛で不要な支出を余儀なくされ続けているのです。
自らの体を犠牲にして、医療業界に献金をし続けるばかりの結果となってしまっている。これが今の私たちが置かれた状況なのでしょう。
コロナはますます大騒ぎとなっていますが、免疫力を高めるためにも免疫細胞の穴をクスリで塞いではならない。
降圧剤は飲まないに越したことはない、このように思うのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献
・『9万kmの生命の奔流』
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る