灸治療とは?
お灸は、日本でも古くから民間療法としても親しまれてきたものです。
数十年前までは家庭内でも身近におこなわれていました。
灸痕を残す 有痕灸 と、痕が残らない 無痕灸 の施灸方法があります。
どちらも皮膚に温熱刺激を与えることで、それに伴って生じる生体反応を治療に利用するものです。
大きな意味での治療効果としては鍼のそれとほぼ同じです。
皮膚、筋肉、血流、神経に刺激を与え、
身体をリラックスさせ神経、筋、内臓の働きを整え、免疫力を高めて
身体がもともと持っている自然治癒力を大きく促進する…
身体の表面の一定部位に施灸して刺激をあたえることで、
・ 自律神経の働きを整え、身体をリラックスした状態にします。(鎮静作用)
・ 痛みを抑える体内物質の分泌を促進して、痛みを和らげる効果があります。(鎮痛作用)
・ 組織の再生を促し、免疫力、治癒力を高めます。(防衛(免疫)作用、消炎作用)
・ 血液の誘導を起こし、血行を改善します。(誘導作用)
・ 感覚神経、自律神経を刺激し、内臓の機能を調整します。(調整作用、反射作用)
上記は「鍼治療とは?」の項にあげたものと同様ですが、
灸においては特に、防衛、免疫、消炎の作用が期待されます。
また、施灸後の赤血球量、血色素量、血液凝固時間の短縮、あるいは循環系への作用がみとめられており、
・増血作用
・止血作用
・強心作用
があるとされています。
灸は鍼とおなじく古代の中国に起源があり、一説に中国の北方で発展したといわれています。 冷えた体や患部、疼痛を感じる箇所を火の近くで温める、または火を薪に付けて患部近づけて温める、などの原始的治療方法が起源ではないかと思われますが、いつ頃から乾燥した植物の葉を挽いて「モグサ」とし、それに火をつけて患部に熱刺激を与える現在のお灸の施術方法になったのかは定かではありません。
日本へも鍼と同じくかなり早い時点で伝来したと考えられます。
お灸は鍼にくらべて施術が容易であることから、民間療法としても定着し伝わってきたものと思われます。
一口にお灸と言っても実にさまざまな種類のお灸とその施術方法があります。
以下にその名称を揚げます。
・艾灸(もぐさきゅう)
透熱灸
焦灼灸
知熱灸
打膿灸
・温灸
棒灸
温筒灸
・隔物灸
・紅灸、うるし灸
現在よく行われている灸法にもこれだけあります。
与える効果、患者の状態、好みなどによって様々に使い分けることができます。