ラミクタールのまとめ
有効性・利点
①双極性のうつ状態においては第1選択
②種々の疾患で
・思考の整調、意欲の改善
・鬱陶しい不快感、胸のもやもやなど、自覚症状の改善:治療モチベーションに
③少量でASDの情緒安定
④感覚過敏を改善:ASD、知的障害、てんかんの人
⑤統合失調症:ASDから発症したように見えるタイプに少量で(不安定になる場合も)
・抑うつの改善。多飲水やタバコが減ることもある。
・細かい混乱が改善し、思考がスッキリする(認知の改善)
⑥その他
・レビーの幻覚に、少量投与 ←クエチアピン以外はメジャーが使えないこと多く、糖尿病があったり、抑肝散がいまいちの時など
・器質性脳障害の幻覚妄想、気分障害、認知機能の改善
・抗てんかん薬としても効果が高い ←他の抗てんかん薬で精神状態悪化時によい
・ラピッドサイクラーで、他の気分安定薬に追加
・境界例へ →虐待などで脳のダメージがある人も多いから?
・疼痛性障害にも →リリカやトラマールよりは弱いけど
使い方
①双極性障害に、基本は25mgからだが、12.5mg(時に隔日)からスタートしたい。デパケン入ってなくても。
・かなり慎重に増量すべき。25-50mgまでの少量が一番皮疹多い。増量は1か月くらいかけてもよい。50mgから増量する際も、75mgで少しみてから、100mgに増やす。
・双極性障害には、50mgまでいい人もいるが、原則200㎎を目指す
・血中濃度は個人差あり、200㎎前後で有効域になること多いらしい →300-400㎎がよい人
デパケン併用なら濃度が倍増 → 逆にバルプロ酸濃度は25%低下する
・テグレトールでは濃度低下するので、倍量が必要
②注意
・双極性以外の器質性疾患なら、少量で効果が出る場合は無理に増やさなくてよい。
・一旦中止後、再投与するときは、半減期x5日以内なら、そのまま再開=通常7日まで、デパケンあると14日間、テグレトール入りなら2.7日。それを過ぎると最初からやり直し(悲しい・・)
・躁状態も含めて気分障害の再発には、リチウム+ラミクタールの併用がベストという報告もある。
副作用・デメリット
①とにかく皮疹が怖い:発熱、目・口腔内・喉・口唇(粘膜・皮膚・眼)にも注意
・重症皮疹では、皮膚科紹介:ステロイド点滴や内服(30mg/day以上)が必要。
②増量に時間がかかり、効果も緩やか
・急いで治療を要すてんかん発作にもいまいち
③その他
・躁状態には不向き。却って悪化する人も
・傾眠、胃腸障害が時にあるが継続できるレベルのことが多い。まれに、情緒不安定、希死念慮、判断力低下
・服薬遵守が難しい人では、知らない間に止めていて、服薬量が不安的になることも
→薬疹のリスク。
印象
①双極性うつ病治療のエース。長いこと動けない人の救世主、本来の能力低下、重苦しい感などから救ってくれる薬
②色んな場面で活躍できるスーパーな薬:治療に行き詰った時に助けてくれるかも
→一度薬疹出したらもう使えない(原則) =絶対失敗しない覚悟でくれぐれも慎重に増量!
③ASDや器質性疾患では、少量で楽になる人「生活が楽、全然違う」
④皮疹は多めで2割くらい?とのことで、酷い目に合ったことあるが、最近は慎重になったせいか減った(5%以下)
⑤薬疹さえなければ、向精神薬に弱い人でも身体的・精神的副作用が少ないので飲める
⑥デパケン併用で効果が2倍になり、躁への効果あるからいい気もする。薬代も安くなる。
(例)ラミクタール200mg→ラミクタール100mg+デパケン。ただし薬疹が出ると、濃度が下がりにくいので要注意。